投稿小説だぜ

優輝少尉さま作

『戦え! FANG GUNNERS!』外伝

T・S・C物語

第七話


◇T・S・C決着◇


◇1◇


「これから富山地区大会決勝戦を行います。まず最初に昨年度優勝チーム『T・S・C』入場!!!!」

司会者はいつも以上に気合が入っている。そして『T・S・C』の面々はメリッサの曲に合わせて宮本を先頭に雛姫、猪狩、慎一、悠木、四十間の順に登場する。その瞬間、宮本と雛姫のファンから歓喜がフィールド一帯につつまれる。

「もっとあの格好したかったのに…。でも、さすがに歌って踊ったあとにサバゲーは疲れたけど…」

雛姫は英語でぶつぶつ言いながら入場する。ちなみに前回のコスプレ衣装は親友の阿部からレンタルしたらしい。また、『Fin@l F@nt@sy』の衣装調達も阿部が行っている。噂によると愛恋高校の裁縫部の人が趣味で作ってるものを借りたり、交渉してもらったりしているらしい。

「文句言わんでくれよ…。綾香みたいに危ないファンをつかないようにお前を思ってコスプレ反対してるんだからさ」

猪狩は少し怯えつつも雛姫をなだめながら小声で一般の人より発音がいい英語で言う。雛姫はもともと才色兼備だけにファンはいるのだがあのコスプレによってファンが増えたのは間違い無しである。

「(コスプレによる『T・S・C』のファン増加は通常の3倍…)」

浅野は赤色の軍服を見につけ、シャ@になりきって観客席から『T・S・C』のファンが増えた様子をみてこう思っていた。

「そのときは私が半殺しかぶっ飛ばしてあげるからいいじゃん〜♪」

雛姫は可愛い声で何気にひどい事をさらっと英語で言う。すでに銃を握っているのでブラックモード全開である。

「「(なんて言ってるんだ?)」」

悠木と慎一は入場しながら2人の会話をまったく理解できないでいた。2人は中学校から英語の評価は1に限りなく近い2がつく。英語の能力は一般動詞とBe動詞の文法の区別すらできないほどの重症ある。

「ちなみに、2人は特待生で正義学院を入学。一般受験なら100%合格しない。2人の凄いところは記号問題を中心に点数を稼いでいるのと先生の恩恵で赤点スレスレだけどこの調子でも卒業できるところだ」

四十間は独り言のように小説を読んでいる読者のPC画面に向かって説明する。

「…(だめだこりゃ)」

猪狩は呆れながら思う。その瞬間、雛姫は振り向いて右フックがマッハのごとく猪狩のボディーに命中していた。殴った本人は笑顔であった…。

「がふっ…」

猪狩は胸の痛みを抑えながら歩きはじめた。自分では何が起こったかわからなかったが誰の仕業かは理解した。

「(手を抜かないとサバゲーに支障が出るからね)」

振り向くところは一般観客でもわかったがフックを観客で唯一見ぬけたのは阿部だけであった。

「大丈夫か兄貴?」

慎一は猪狩を心配そうに言う。

「な、なんとかな…」

猪狩は情けないと思いながら慎一に向かって言う。

「…(やれやれ)」

宮本は呆れながら思う。チームで唯一見ぬけたのはこの2人であった。そして、『T・S・C』の入場が終わった。

「初登場で昨年度準優勝の『チーム☆ジオン公国』を破ったダークホース、『地球防衛ケ@ロ部隊』を圧勝で勝ちあがった『帝王学院サバゲー部』入場!!!」

司会者はチームの紹介をまじえながらハキハキした声で言う。

「帝学!!! 帝学!!! 帝学!!!」

観客席から20人以上のサバゲー部のメンバーが帝学コールをする。そして、『帝王学院サバゲー部』が入場する。ちなみに入場曲は流れているのだが聞こえないほどの応援である。

「勝つのは『帝王学院サバゲー部』!! 負けるのは『T・S・C』!!」

さらに応援の熱が高まり、フィールドにこだまする。

「勝つのは俺様達だ」

跡島が天高く指パッチンをしてから言う。また、指パッチンと同時に観客席からのコールと入場曲がぴたりと止む。

「注文の多い男だ…」

舞台裏で入場曲を切った大会スタッフが跡島の愚痴を言っていた。

「このナルシストめ…」

悠木が小声で跡島に聞こえないように言う。

「うわ〜、こいつナルシストだよ…。」

慎一も似たようなことを本人に聞こえない声で言う。

「…(相変わらずだな。)夏の大会以来だな」

宮本が跡島に歩みながら言う。大会とは甲子園につながる重要な大会である。

「(あの宮本から話しかけるなんて珍しい…)」

猪狩は宮本の行動にふと思う。

「あのときは俺様達が決勝戦で勝利したがな」

跡島は宮本に対して見下したような口調で言う。詳しい試合内容は外伝で暇があれば書くかも…。

「なによ、あのナルシスト」

宮本ファンクラブの数人がぼそぼそと言う。

「なによ、あの宮本っていう奴。跡島様にきやすく話しかけるなんて」

『帝王学院サバゲー部』の女性の数人がぼそぼそと言う。一歩間違えれば女の戦いである。そんな中、猪狩達と跡島達は握手を交わす。すると…

「富山県の決勝戦は特別ルールになること忘れてました…」

前回、入場曲の機械の故障で先輩大会スタッフに怒られた若手大会スタッフが走りながら猪狩達のところへ来る。そのとき、猪狩達は跡島達と握手を交わし終えて試合開始になるところだった。

「両チーム、フラッグを自由に配置できるようにします。もちろん、所持するのもOKです」

大会スタッフは息切れしながらも今回の特別ルールを説明すると同時にフラッグを代表者2人(猪狩、跡島)に渡す。そして、フィールドから退散しようとするが

「(おもしろそうだな)そうなるとスタート位置はどうなるんだ? いままでフラッグのある自陣からのスタートだったが」

猪狩は大会スタッフに鋭い質問をする。

「俺様もそれを思った」

跡島は猪狩の質問に同感する。

「特別ルールになった理由は?」

悠木はぼそっといったが猪狩と跡島によってかき消されてしまう。なんでそうなったかというと最後くらい変則ルールで盛り上げようという本部の思惑、地元のTV局が視聴率を高めるという思惑が合致したからというのは読者と作者だけの秘密である。

「それは、『T・S・C』は赤のライン、『帝王学院サバゲー部』は青のラインからのスタートとなっています。その為、スタートの合図がなるまでそのラインから出ると失格になりますので注意してください。ほんとうは控え室で変更を伝える予定でしたがこちらの手違いでこうなってしまったので作戦タイムを20分設けますので」

さきほどより息が整いながら猪狩の質問に適切に解答する。そして、フィールドから退散する。

「いい試合にしよう」

猪狩は跡島に改めて握手を求める。

「俺様達を楽しませてくれよ」

跡島は猪狩と握手を交わす。そして、各自の持ち場へ向かう。

今回のフィールドは小山が3つ存在し、重要な戦略拠点となりえる。また、草が1m〜2m生い茂る為に視界が悪いが高い所から見れば場所にもよるが視界が良い。つまり、このフィールドは一般のサバゲーゲーマーから見ても攻めるより守るほうがしやすいということだ。


◇2◇


「今回の作戦は…」

猪狩は数分間、黙祷をしながら作戦内容を頭で考える。そして、目をあけるとメンバーに今回の作戦について話しかけようとすると

「待った、兄貴。いつも思うがどうやって相手の動きを読んでるんだ? 今回は上杉さんが不在で盗聴なしなのに」

慎一が猪狩の作戦を言うときに突如猪狩に向かって言う。

「今更何言ってるんだよ! 猪狩はいままでの作戦の傾向からデータを組んで作戦を組んでるんじゃないか」

四十間は自分なりの見解を言う。

「俺もそう思うが」

悠木も四十間の見解に賛成する。

「四十間の見解は半分あってて半分違うわね」

雛姫は真面目な表情で四十間達に言う。

「「「どういう事?」」」

3人は雛姫の否定的な発言に対して質問する。

「つまり、試合の傾向だけで試合が読めると思ってるの? 状況によって戦略が変わる場合もあるからそう上手くいかないわ」

雛姫は猪狩の作戦の秘密を知っているようだ。

「さすが雛姫、まったくその通りだ。地区予選で浅野との試合で予想外の展開があったのは事実だ。なぜかと言うと…」

猪狩は雛姫に拍手を送りながら説明しようとするが

「…時間が10分切ったぞ」

宮本は銀の腕時計を見ながらクールに猪狩達に警告を促す。それを話すと作戦を言う時間が足りなくなると悟ったようだ。

「もうそんな時間か。作戦だがおそらく跡島と熊島の2人かもう1人加わって3人であの高い小山にフラッグをキープすると思って間違いないだろう。利点としてまず攻めにくく、守りやすいからな。俺でも重要拠点として100%使うだろう」

猪狩は捕捉しながら相手の動きの予測を説明する。

「それならどうやって攻めにくい跡島達からフラッグを奪うんだ?」

慎一は猪狩に質問をする。

「跡島達を攻撃してフラッグを奪うよりも周りを制圧して動きを制限するんだ。そして、囲んでしまえばこちらの勝ちだ」

猪狩は自信満々に慎一を中心にみんなに説明する。そして、一旦ブレスをいれて話しを続ける。

「周りを囲んでの攻撃はサバゲーの戦略で基本だ。だから多い人数で囲めば囲むほど有利になり、勝利を掴める。どんな作戦でもこれが俺の作戦を立てるうえでの1番重要視している事だ。作戦だが…」

猪狩は長々と自分の作戦のことについて話す。猪狩の作戦をおおまかに説明すると

@猪狩、慎一、四十間の部隊編成で左のエリアを制圧しつつ、相手フラッグ陣営に雛姫と悠木が攻撃を加え、宮本はブッシュに隠れて援護をする。

A雛姫達の攻撃で気をとられているところを猪狩達が側面又は背後から奇襲攻撃

B殲滅又はフラッグ奪取で勝利

はたして猪狩の作戦通りになるのだろうか? そして、試合開始の笛の合図が鳴る。


◇3◇


開始してから10分が経ち、戦闘がないまま膠着状態が続くと思われたそのときだった。

「一球入魂!!!」

鵬(おおとり)は茂み越しからから猪狩を捕捉して待機していたニーリング(膝射)の姿勢から立ちあがって茂みを盾にしたスタンディング(立射)で大声で叫び、AK−47をフルオートで左エリア制圧担当である猪狩に先手必勝といわんばかりに攻撃をしかける。

「(反応が遅れたらヒットだった…、周りに警戒せよ)」

猪狩はポイントマンとして先頭に立って中腰程度にかがんで慎重に進撃をしていたがアンブッシュしていた鵬に攻撃を受けた。だが、猪狩は少し慌てながらも回避に成功すると同時にハンドシグナルで後ろで援護についている2人(慎一、四十間)に警戒を促す。

「(あんまり単独行動をしたくないが俺の位置がばれているから動かないとまずいからな。それに俺には時間がない…)」

その後猪狩は鵬の横をとるべく移動を行う。その結果、猪狩は茂みによって2人の視界から消える。そして数分後…

「(そこだ!!)」

慎一は猪狩のハンドシグナルによって警戒を強めていたときに茂みの不自然な動きをする。それに反応して慎一から見て右の方にニーリング(膝射)の態勢でファマスを構え、その茂みに向かってフルオートで撃つ。けたたましいギアの音がフィールドに響く。

「激ダサだな」

雛姫が見かけたときに帽子のつばを逆にしていた男性は慎一からの茂みから少しずれていた位置から上半身だけが突如現れてフルオートで反撃する。どうやら相手はゲリラ戦法で数を減らしていく作戦のようだ。

「(くっ、反撃が間に合わない)ヒット」

慎一はニーリング(膝射)の態勢から反射的に避けたがフルフェイスゴーグルにかすってヒットする。人間離れした反射神経の持ち主である慎一でも回避できないほどの見事なカウンター攻撃である。

「チッ、近くに仲間がいたのか。ヒット」

慎一の近くでニーリング(膝射)の姿勢で警戒をしていた四十間は慎一がヒットしてしまったが無駄死にせず、冷静に慎一をヒットさせた男性を仕留めて援護の役目をこなす。援護は味方の支援だけでなく、カバーすることも援護の重要な役目である。その男性は慎一と共に悔しそうにフィールドを去る。

「(よし、これで…)」

四十間は鵬を警戒し、首は固定しつつ目を左右にずらして探る。これは首を動かして探すよりも目立ちにくいのだ。

ここで一旦、慎一達が戦闘するちょっと前に戻る。その頃、猪狩は一人で行動していた。

「(一対一とはいえ電動ガン相手にどう戦うかな)」

猪狩は汗を流しながら冷静にどう対処するかニーリング(膝射)の姿勢で考えていた。同時になにか焦っている様子でもある

「(宍戸先輩から援護がないとうことは猪狩以外の人に迎撃態勢に入ったのかな)」

鵬も同じくニーリング(膝射)の構えで猪狩の動きを警戒しながらその場で待機する。

「(危険だがもっと左に回って攻めるかな)」

猪狩は少し考えてからニーリング(膝射)からほふく前進で慎重に左に進む。そのとき、ファマスの発砲音が聞こえ、別の電動ガンの発砲音と同時に慎一のヒットコールが聞こえる。そして、少しの間が相手から移動中に四十間の発砲音が間を置いて猪狩の聞きなれない人のヒットコールが聞こえた。

「(これで有利にすすめられる)」

猪狩は状況をさきほどの様子から把握して慎重に前進していく。

「え、援護お願いします」

鵬もその様子を猪狩と同じく状況を把握し、慌ててフルフェイスゴーグルに備え付けている小型無線で援護を求める。もちろん猪狩に位置を悟られないように小声である。

「(いた)」

猪狩は視界が悪い中で移動中に鵬を発見し、約15〜20m前後まで間合いを詰めようとする。

「(何処だ?)」

鵬はいまだにニーリングの姿勢を崩さずに猪狩と猪狩の援護を恐れてその場から動けないでいた。また、周りを警戒していたが猪狩を発見できていないようだった。

「(よし)」

猪狩は見事間合いを詰めることに成功し、手作りのサイレンサーを迷彩柄の胸ポケットから取り出す。そして、愛銃のブローニング・ハイパワーに装着し、プローン(伏射)で狙い定めて撃つ。

「えっ、ヒット」

鵬は何が起こったのかわからずヒットコールをする。これは反射的に出た言葉だった。辺りを慌てて見渡すと猪狩が仕留めたことを理解した。

「(サイレンサーの予想以上の性能だったな。これで合流だ)」

猪狩はひと安心して合流しようと四十間の方向を向こうとほふく前進で移動しようすると背後から1発のBB弾が猪狩の背中を襲った。

「油断したか…ヒット。(20分のせいで計算が狂っていたがなんとかなったかな。チームにとっては好ましくないが…)」

猪狩は悔しそうにセフティーゾーンに向かうが何処かほっとしていた。その後、猪狩を仕留めた男は猪狩が向かおうとしていた方向に向かってほふく前進で移動していた。この男はさきほどの鵬の援護要請できたようだ。

ここで四十間が警戒していたところに話しを戻す。

「!!!」

四十間は辺りを警戒していたときに衝撃をうけた。なぜなら両手をあげて歩く猪狩の姿があったのだ。猪狩と目が合い、目からはすまないという気持ちが伝わってきた。

「(上杉さんの協力があればもっと完璧だったかな)」

猪狩は悔しそうにこう思いセフティーゾーンへと向かう。

「(『帝王学院サバゲー部』が誇る最強ペア鵬、宍戸(ししど)を仕留めるのはたいしたもんや…)」

数分後、猪狩をヒットさせた関西弁の男性が猪狩の狙撃地点から進撃し、四十間を発見した。そして、猪狩に気を取られているうちにスコープから狙いを定めてトリガーを引こうとする。その銃は銃身が長く、小回りがきかない銃だがそのぶん距離と命中精度は非常に高い。

「…スナイパーとしての技術、素質ともに充分あるが詰めが甘いな」

単独行動をしていた宮本はプローン(伏射)でその男性をヒットさせてからクールに背後から言う。雛姫と悠木の援護につく予定だったが戦局を見極めて猪狩達の援護に回ったようだ。

「そ、そんなアホな・・・」

完全に背後をとられてのヒットに動揺してつい漏らす。そしてプローン(伏射)から立ちあがり、茂みから姿を現す。

「…(あのスナイパーライフルは使い勝手がいいものだな)」

宮本は関西弁の隠密行動と銃を感心しながら思っていた。

「(こんな近くから狙われてたけどなんで僕はヒットしてないんだ? 猪狩が仕留めれるわけないし…)」

四十間はこのヒットしてもおかしくない状況だったので驚きながら思うと同時に疑問が浮かぶ。

「…もっと周りに気をつけろ、雛姫達は攻撃にいたるまでに時間がかかっているようだ。あと、左エリアはおそらくあと1人が側面又は背後からの攻撃を恐れて潜んでいる可能性があるから気を付けろ」

宮本は溜息をしてからフルフェイスゴーグルにつけている上杉特製の無線で四十間に伝言を伝え、跡島達の側面に向かってほふく前進で進む。

「(まさか、宮本に持たせるなんてなんちゅう奴や)」

関西弁の男性はセフティーゾーンに向かってる間、猪狩の戦略に衝撃をうけていた。

「(1人でも頑張らないと…)」

四十間は宮本にも気付かずこんなことを思いながら中腰で前進する。その瞬間、四十間の中で何かが変わった。


◇4◇


その頃、悠木は進撃中に跡島と熊島に発見されて攻撃をうける。

「俺様の美技に酔いな」

「バー」

跡島と熊島の連携攻撃にフラッグの姿を確認できているが手も足もでない悠木。

「(あの火力は化け物かよ…)」

悠木はニーリング(膝射)の構えで茂みに隠れる。また、2人の集中砲火を浴びて顔を出すことも難しい状況で茂みから一歩も動けない状態である。一般ゲーマーならすぐに撤退するであろうが悠木はその場にとどまる。

「(私が少し右に回り込むから気をひいて)」

雛姫は悠木と一緒に進撃していたが悠木よりも隠密行動が得意な為に現在、跡島と熊島に姿を見られていない。そして、手ごろなブッシュに身を潜めてニーリング(膝射)の姿勢でハンドシグナルを行い、悠木に攻撃に転じるようにと伝え終えると慎重に移動を始める。

「うぉ〜〜〜〜!!」

悠木はハンドシグナルを受けて、左に少し移動してた茂みから移動して反撃を試みる。

「イー」

悠木の攻撃は脅威の火力の前では狙いは定めることはできず、威嚇発砲程度である。熊島は奇声ともにM60の反撃が悠木に襲いかかる。

「(あわわわ…)」

悠木は慌てて伏せると同時に今までの逆の立場に戸惑いと焦りを感じて思う。

「(もう…)」

雛姫は悠木があてにならないと判断して、まだ射程内から少し遠かったが茂みから奇襲をしかける。スペツナズからフルオートで中心人物である跡島に正確な狙いで襲いかかる。

「おっと、悠木と一緒に行動していることは予想済みだ)」

跡島は奇襲を予測してたかのように回避をする。どうやら予測したのではなく、周りを警戒して回避したようだ。

「(これが跡島の実力…)」

雛姫は完璧な射撃を回避されて動揺する。一般のサバゲーゲーマーなら100%ヒットだったからだ。

「攻めろ!!」

悠木は茂みを盾にしたスタンディング(立射)でさきほどまで弱気だったが雛姫の頑張る姿に刺激されていつもの調子を取り戻す。

「チッ」

跡島は悠木の攻撃を避ける為にしゃがむ。

「バー」

跡島が攻撃できないカバーする為に熊島が悠木に攻撃をしかける。

「(危なっ、もう少しで当たるところだった)」

悠木は熊島の攻撃を危なげに伏せて回避に成功する。

「私もいるのよ!」

「俺様を甘く見るなよ!!」

雛姫は悠木の援護を跡島は熊島の援護をする。一方的な展開から互角の展開になる。

「(俺の戦略にくるいはなかったようだな。そして、<克服>の効果もさっきトイレに行くふりをして再び服用したから今日はこれで安心だな)」

猪狩はセフティーゾーンで試合の様子を見ながら思う。観客席の巨大スクリーンから戦闘の様子がフィールドに設置されているカメラから映りだされる。また、この様子がメインにテレビの映像が流れている。

「(余裕な奴だな)」

宍戸は猪狩が微笑んでいるように見えて思う。

「(兄貴がこんなに微笑んでいるのは珍しい、というか気味が悪い…)」

慎一は猪狩の様子を見て不気味に思う。

「(宮本は手強い相手やった…)」

さきほど宮本に仕留められた『帝王学院サバゲー部』の関西弁スナイパーはこう思いながらセフティーゾーンまでやってきて思っていた。

「お疲れ様です、忍(しのぶ)さん」

鵬がセフティーゾーンに来た関西弁スナイパーに向かって言う、この関西弁の男性の名前は忍という名前らしい。同時刻、観客席からとある男性が席を立って外に出る。

「こちら翼(つばさ)、現在試合は30分を切っても勝負はつかず」

観客席の1人が席を立ち、外に出て携帯で連絡をいれる。

「ご苦労様、翼。面倒な仕事を任せてすまないな」

電話の相手は申し訳なさそうな声で翼に言う。

「と、とんでもない。竜司令官の頼みならなんなりと」

翼は言葉をつまらせながら言う。

「(やれやれ…)竜司令官はやめてくれ、今の俺は鷹見(たかみ)だ」

翼の電話の相手が呆れながら言う。

「申し訳ございません」

携帯電話越しで頭を下げながら言う。他の人から見たらサラリーマンが契約会社に頭を下げている感じである。

「以後気を付けてくればいいよ。結果がわかりしだいまた連絡してくれ」

電話の相手はそう言って電話を切る。

「(仕事、仕事〜♪)」

翼は鼻歌をまじえながらさっきの観客席へ向かう。すると観客席への扉を開けたとたん、いままでにないほどの歓声に包まれていた。そう数分の間に戦局が動いたのだ。


◇5◇


「下剋上!!」

最後の跡島と熊島を守るディフェンダーの男性が宮本を発見し、AK−47でとある剣豪漫画に登場する斉@一(さい@@はじめ)のような独特の構えで攻撃を仕掛ける。この男性は『帝王学院サバゲー部』のルーキーにして次期部長候補の実力者三好(みよし)である。特徴はきのこ頭。

「…(こ、こいつ移動ルートを予測してアンブッシュか)」

宮本はほふく前進の態勢から一回転で回避し、近くの草むらに飛び込み身を潜める。同時に宮本が赤色のフラッグを持っていることを三好は確認した。完璧な進撃だからこそ三好は進撃を予測できたようだ。

「(宮本を仕留めてフラッグを奪取して試合終了)終わりだ!!!」

三好は頭に勝利を確信して特攻する。なぜなら宮本が反撃できる事が不可能とわかっての攻撃だったからだ。説明するとスキを完全についた攻撃なので宮本は銃身が長いスナイパーライフルやサイドアームをフォルダーから抜いて反撃をすることは時間がかかるからだ。

「…」

宮本はメイン武器での反撃は不可能と咄嗟に判断してサイドアームを抜いて反撃をしようと試みるが三好の思惑通り間に合わなかった。宮本は初めて自分のせいで『T・S・C』の敗北を認めるしかなかった。

「くっ」

ところが三好は特攻をしかけていたところを途中で中断して茂みに飛び込み、身を潜めた。そして、狙われていた方向に銃を構える。

「…(雛姫?)」

宮本はこの特攻を阻止できるほどのチーム1の正確な攻撃ができる人物の名前を思う。

「(跡島の情報では援護の名手と聞いたがここまで高等な技術はもっていないはずだが…)」

三好は予想外の展開に舌打ちをしながら思う。

「…」

四十間は無言で三好がそう思う直前で茂みから飛び出し、アメリカ式の突撃姿勢で熟練した短連射で三好の身を潜めている茂みに向かって歩み、攻撃する。

「馬鹿な…」

四十間の攻撃は当たらないが徐々に三好を正確に捉えられてきていると同時に近づいてきている。三好は茂みから反撃をするが当たらない。それがどうしてなのかは本人にはわからなかった。

「…(これは五十嵐の十八番の突撃攻撃)」

宮本はただこの2人の戦いを眺めるしかなかった。

「うぉ〜!!!」

三好は真っ向から四十間に勝負を仕掛ける。だがその瞬間、服に着弾する。

「…悪いな」

宮本は見惚れていたが咄嗟に、長年の経験から体が勝手に反応してニーリング(膝射)で狙撃したのだ。

「宮本、大丈夫だった? これで借りは返したよ」

四十間は宮本に近づいて話しかける。

「…ありがとう、俺達の勝利は確実だ」

宮本はクールに四十間に言う。そして、跡島と熊島が待ちうける小山の側面へ中腰姿勢で2人は進撃を開始する。

「…四十間ってこんなに技術あったんだね」

リ@アのコスプレで観戦していた阿部が感心しながら章吾に言う。

「おそらく、『T・S・C』の中で1番の曲者だろ」

章吾はス@ールのコスプレで冷静に阿部に対して言う。

「この2人はまだコスプレしているのかよ…」

前回、バ@ッドのコスプレをしていた山崎は呆れながら思う。他のメンバーは私服に着替えているからである。

「(輝羅、頑張って)」

山崎の近くで影で四十間を応援している女性がいた。

「裕美、裕美」

恵理はうわの空の裕美を呼びかける。

「えっ、なに?」

裕美は恵理の呼びかけから数秒後に反応する。

「『T・S・C』の試合から何考えてたの?」

恵理は裕美の問いかけをする。

「べべべ、別になにも。ただ試合を集中してみてただけ」

裕美は動揺しながら恵理に言う。

「(これで田中達と俺達(『チーム☆ジオン公国』)の登場はもうなさそうだな)」

武藤は私服に戻って観戦していて思った。ちなみにここでの観戦は巨大スクリーンに映り出されている様子を見てである。また、このスクリーンはフィールドからは見ることは不可能である。

「熊島、一旦ひくぞ」

跡島は状況を判断して後ろに撤退を始める。

「逃がすか!!」

悠木は気持ちが先走り、茂みから出て攻撃を試みる。

「ば、馬鹿」

雛姫は止めようとしたが間に合わなかった。

「単純な奴だ」

跡島は倒れている木を利用して身体に負担がかからないように工夫している迎撃態勢で飛び出してきた悠木をM60によるフルオートで容赦なく命中させる。

「痛っ、痛たたたたたた、ヒット」

悠木は叫びながら服にもろに着弾する。跡島のM60は1Jギリギリでかつ、距離が近いのでとてつもなく痛いのだ。

「(マガジンにもう弾がほとんど残っていない…。まさか相手がBOXマガジンを予備にもってるなんて不覚だわ)」

雛姫は相手の予想外の弾補充で配分の見積もりが狂い、弾はほとんど尽きていた。

「熊島、この女の相手をしろ。あの自分の力を過信しすぎた馬鹿1年が敗れた今、側面と背後は俺が警戒する」

跡島は熊島に指示を出す。

「(悔しいけどもう弾がない…)」

雛姫は250連射マガジン4つを使いきった。だが、雛姫はあることを考えた。

「(俺様達の勝ちだな)」

跡島は勝利を確信していた。なぜなら、雛姫は弾が切れて戦線復帰は不可能であり、単発の宮本と援護の四十間という組み合わせは跡島にとって有利だからである。

すると、茂みからフルオートが跡島から大きくはずれたところにある木に着弾する。

「何処を狙って…、はっ」

跡島はとっさにおもいっきり茂みに伏せた。しかし、そのBB弾は跡島の検討違いの場所へ跳弾する。

「(これは結構前に言ってた兄貴のリフレクトショット?)」

慎一は焦りながら思う。リフレクトショットとは障害物を利用とした攻撃である。

「(本家本元の俺の技までするとはな…)」

猪狩は四十間の活躍には驚かずに自分の技を真似されたことに驚いていた。同時に狙いは甘いと思っていた。

「(わいが仕留めれば…)」

忍は宮本にヒットされたことを悔やんでいた。

「終わったら特訓だ、鵬」

「はい」

鵬と宍戸は気持ちを切り替えて2人は練習について話していた。

「(俺が逆に下剋上されるとはな…)」

三好はさきほどセフティーゾーンに来て、ベンチに腰を下ろして落ち込んでいた。

セフティーゾーンにいるメンバーが色々言ったり、思っているときに四十間は再び五十嵐の十八番であるアメリカ式の突撃姿勢で熟練した短連射を跡島にする。四十間の目はいつもと違うような様子を跡島は悟っていた。

「俺様を甘く見るな!!」

跡島は感情をあらわにしなが茂みを盾にしてスタンディング(立射)で四十間に反撃をする。

「…」

四十間は無言で着弾寸前近くで伏せて回避を伏せた状態から再び狙いを定めて攻撃をする。その結果、跡島を仕留める。これは、慎一がみせた緊急回避である。

「この俺様がヒットだと…」

「ヒット」

跡島と四十間はヒットコールを宣言する。四十間は伏せたところを熊島がフルフェイスゴーグルに当てて仕留めたのだ。そのスキをついて雛姫は茂みから飛びだし、特攻をしかける。

「くたばれ!」

雛姫は英語で叫び、弾切れをしていたはずだがスペツナズからは弾が出ていた。

「バー」

熊島の奇声とともに四十間がみせたアメリカ式突撃姿勢で熟練した短連射で反撃をする。

「痛っ、ヒット」

熊島の攻撃をうけてヒットを宣言する。熊島は着弾寸前で伏せて回避をした。

雛姫は弾切れをしていたのになぜ撃てたのかというと標準マガジン以外の多連装マガジンはBB弾が数十発残るのでそれを利用して余った弾を1つのマガジンに移したので撃てるようにいたのであった。

「…」

熊島は咄嗟に伏せた状態で素早く振り向き、宮本に攻撃対象を変えようとするが

「残念だったな」

振り向く前に宮本は雛姫の特攻で気をとられている瞬間にニーリング(膝射)の構えで狙いを定め、熊島が伏せた瞬間にトリガーを引き、狙撃したからだ。その瞬間、試合終了の笛の合図がなった。

その後表彰式が行われ、『T・S・C』は富山県代表となり県大会は無事に閉幕した。


◇6◇


『T・S・C』控え室にて

「ご苦労様」

猪狩は控え室のドアから入ってきた四十間に対して言う。

「お疲れ、四十間。大活躍だな!!」

慎一は満面の笑みで四十間に対して言う。

「いいところをもっていきやがって!!」

悠木は内心は悔しそうに言う。

「…1人で流れを変えるなんてな」

宮本はクールに四十間に対して言う。

「見なおしたわ」

銃を握っている雛姫でも今回ばかりいつもより優しい口調で言う。

「宮本から無線をもらってから記憶がない…。勝ったのはわかるけど」

四十間の第一声がこれだった。

「「「「「はい?」」」」」

5人は衝撃をうけた。あんなに活躍していた四十間は自分の活躍を覚えていないのだ。同時刻

「もしもし、『新潟連合軍』偵察役の相川(あいかわ)だけどさ〜。『T・S・C』が県大会優勝したわ」

猪狩の父が経営するインドドアフィールド近くにある公園の女子トイレで愛恋高校のセーラー服の女性が携帯電話で誰かに連絡をいれていた。名前は相川らしいが偵察役と名乗っているのだけに偽名の可能性もある。

「やはり猪狩が勝ちあがったか。明日、合流する」

電話の相手が嬉しそうに言う。また、その隣の男子トイレでは

「さすが鷹見さんが見込んだチームですね。地区大会優勝しましたよ」

翼は再びさきほど電話をかけていた鷹見に携帯電話で連絡をいれていた。

「俺も今終わって県大会を作戦通り無事2位になった。あとは新潟代表の『新潟連合軍』が甲信越大会代表チームになってもらうだけだ」

鷹見は不適な笑みをしながら翼にこんなことを携帯から言っていた。

「最新情報ですけど甲信越大会は北陸大会と同時に行い、猪狩の父が建てたインドドアフィールドでするようです」

翼は鷹見に重要情報を小声で言う。

「(猪狩に俺の正体ばれないといいが…)情報提供ご苦労。また連絡よろしく」

鷹見は翼にそう言って電話を切る。

猪狩の作戦、四十間の活躍で勝利を掴んだ『T・S・C』。いよいよ北陸大会に突入。どんな強豪、ユーモア溢れるチームが彼らを待ちうけているのだろうか?

次回、T・S・C研究。お楽しみに〜♪


◇あとがき◇


作者「はい、優輝少尉です(携帯の電話にでる)」

謎の男「『T・S・C』所属の猪狩慎也(いかりしんや)ですが作者の優輝少尉さんですか?」

作者「はい? あなたは誰ですか」

自称猪狩「だからあなたの書いてる『T・S・C物語』の主人公の猪狩慎也です」

作者「…悪ふざけの電話なら切りますよ。猪狩のモデル声優は一応遊@王に出ていた主人公のライバルでコーポレーション社長の人です。あなたの声は誰が聞いても40代後半の男性の声だ」

自称猪狩「わしはたしかに40代後半だけどちゃんと建設会社に務めているから猪狩慎也だ。弟の慎也も一緒に働いている」

作者「…今、慎一は何処へ?」

自称猪狩「慎一は秋葉のメイドカフェへ行って萌えを求めて。富山にもあるけどさ」

作者「…四十間は?」

自称猪狩「大学進学の為に家で勉強」

作者「(普通…)雛姫は?」

自称猪狩「たしかメイドカフェかファミレスのアルバイト」

作者「…(四十間を除いてヲタク回答ばっかりの奴だな。)悠木と宮本は?」

自称猪狩「野球の練習合宿へ後輩達と一緒に行ったらしいです」

作者「上杉は?」

自称猪狩「銃刀法違反で富山県警で補導をうけたけど逃走。上杉さんの実力から言って警察相手じゃ無理だから自衛隊出動まではいかなくても特殊部隊の出動が見られるかもしれませんよ」

作者「総合的に判断して…そんなわけあるか! 切るね(呆れながら)」

自称猪狩「ま、まった。今回、四十間の活躍はいつも援護によって『T・S・C』メンバーの技術を見てきたからこそできたという設定。そして、それは完璧ではないということ。さらに次の話で本家本元の小説(映画化、ドラマ化された)をモデルにしたチームの登場する事も知ってますよ」

作者「そ、それは俺と愛犬だけが知ってる設定をなぜあなたが?」

自称猪狩「さらに四十間の記憶が飛んでいるのは試合にいつも以上に集中していたので覚えていなかったという設定でしょ? だから俺は猪狩慎也なんだって」

作者「…凄い、凄い本物だ。ぜひ北陸大会に出場するサバゲーチームのネタが思い浮かばないからなにかアイディアをください」

自称猪狩「そろそろ行かないと…。(上杉の声がして上杉の愛車のエンジンとパトカーのサイレンが電話ごしから聞こえる)」

作者「ま、まって!! せめて今後の展開を…」

自称猪狩「(上杉の愛車のエンジンとパトカーのサイレンがどんどん小さくなる)ツーツー」

作者「…」

T・S・Cナレーター「これは作者の夢でした。(一部事実が含まれていますがどこまで本当なのかは読者にお任せしますw)」

作者「本当の最後に捕捉ですが射撃姿勢で難しい表現が3つあったと思いますが改めて紹介します。1つめはスタンディング(立射)。これは立っている状態で銃を構えている射撃姿勢。2つめはニーリング(膝射)。これは右膝を地面につけておしりは右足のかかと近くにうかばせて、左足は足立ちしている状態で銃を構える射撃姿勢。3つめはプローン(伏射)。これは、はらばいの状態で銃を構えている射撃姿勢です。以上で捕捉を終わりますがこれからの射撃姿勢はサバゲーにおいておもな射撃姿勢なので描写に役立ててください。また、応用すれば木立を利用したニーリング(膝射)、スタンディング(立射)と使えます。また、この話ではニーリング(膝射)をよく待機や警戒姿勢として応用しました。他にも応用した表現が何ヶ所あります」



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