投稿小説だぜ

火山十三さま作

『戦え! FANG GUNNERS!』外伝

天国なんて待たせておけ! 明日よりも友を選んだ男(+女一人)たち

第一話


◇ワイルド!ワイルド!ウエスタン!◇


◇1◇


栃木県日光市。

ここは古来より徳川家ゆかりの地として知られているが、日本随一の温泉郷としても知られている。

鬼怒川温泉は美しい渓谷に囲まれた歴史ある名湯である。

そしてここに、二人の男がその美しい渓谷を眺めつつ、頭に手ぬぐいを乗っけて「いい湯だな〜♪ ビバノン♪」と温泉でくつろいでいた。

だが二人とも日本人ではない。

「う〜ん、やっぱりバイトの後の一風呂は良いな。なぁワイアット?」

温和そうな顔つきだが、妙に頭に乗っけた手ぬぐいが似合っている少年である。

彼はバット・マスターソン五世、アメリカ西部開拓時代、ダッジ・シティの保安官として活躍したバット・マスターソンの子孫である。

「ああ、まったくだな」

もう一人、まるでバスケットボールやバレーボールをやっていても不思議ではないくらいの長身のこの男はワイアット・アープ五世、アメリカの伝説の保安官、ワイアット・アープの子孫なのである。

「こうやってくつろいでいると、この町の学校を選んで本当に良かったと思うよ」

「ねぇ〜。ワイアット、バット、そっちもくつろいでいる〜?」

と隣の女湯から二人に話してくるのは同じ学校の後輩、ケイト・ホリディ、通称“ドク”・ホリディ五世である。

彼女も西部劇でおなじみ、ワイアット・アープの親友として知られる、ドク・ホリディの子孫である。

「ああ、鬼怒川とこの渓谷を眺めながらの風呂は絶品だな」

と、まるで日本人のように温泉にくつろぎつつ、ワイアットは満足そうな表情でつぶやいた。

「そうよね〜☆ やっぱりワイアットが選んだだけのことはあるわ〜」

これまた温泉をすっかり気に入っているケイトが、ワイアットに同意する。

金髪で長身の美女が、頭にタオルを乗せてゆったりと露天風呂に浸かっている図は、なかなか妙なものがあるが…。

「そういや〜ドク、今日のお前のスタント、すごかったなぁ〜」

ここで話題を変えたのはバット。

このままではまったり温泉トークになってしまうからと、変に気を遣ったのかもしれない。

「あら、バット。あなたの馬術もなかなかだったじゃな〜い。ワイアットももう少しバットに教えてもらったら〜?」

バットにほめられてまんざらでもなくいつになく上機嫌のドク。

「……俺はあの馬と気が合わないんだ!」

不機嫌そうにそう返したワイアットは、今日はその馬、ハイヨーシルバーのせいで落馬し、相当肝を冷やしたのであった。

そんな会話からわかるように彼らはつい1時間ほど前まで、鬼怒川温泉の有名なレジャースポット、「日光ウエスタン村」のワイルド・ウエストショーに出演していたのだ。

ご存知の方もいるだろうが、ワイルド・ウエストショーは「日光ウエスタン村」の目玉アトラクションである。

ワイルド・ウエストショーは正義の保安官が悪党一味をやっつけるという単純なストーリーであるが、実際に馬で疾走したり、建物の上から撃たれて落下したりと映画顔負けのスタントが売り物なのである。

彼らはここで俳優のアルバイトをしているのである。

実際、本国アメリカの荒野を馬で駆けていた彼らは馬術もプロ並で、プロデューサーから二つ返事で採用されたのだった。

余談ではあるが、このワイルド・ウエストショーは俳優萩原流行も無名時代、同じく俳優のアルバイトをしていたことでも有名である。

「そういえば、今度の大会の件はどうなったんだ?」

と、ここでバットがワイアットにある大会について確認した。

「ビルとジョニー、それにアイクには言ってある。明日『ジャージー・リリー』で打ち合わせの予定だ」

ビル、ジョニー、アイクとはいつもつるんでいる仲間である。彼らについては後々、説明しよう。

「わかった。待ち合わせはいつもの時間でいいよな?」

なるほど、といった感じでバットが確認する。ちなみにいつもの時間とは午後7時のことである。

「ああ、ドクも遅れるなよ」

「何よー! それひどくない! ワイアット!」

「まあまあまあ…」

とここでバットが仲裁に入る。ここでとめておかないと女湯から風呂桶や何やらが飛んできそうな予感がしたからである。

「すまん、すまん。じゃ、明日な」

彼らが言っている「今度の大会」とは、全国高等学校サバイバルゲーム選手権大会のこと。

この大会は我こそはと思う高校生サバイバルゲーマーが、6人で1チームを作り、そのチーム単位で戦い、日本一を決める大会である。

その模様はミリタリー雑誌『月刊種子島』にも毎号掲載されるほど、日本のサバゲー界でも屈指の一大イベントなのだ。

彼らは来週から始まるそのサバイバルゲーム全国大会の予選である、栃木県大会にエントリーしているのであった。

「ま、西部劇の本場アメリカの実力をやつらに見せてやるさ」

と、これはワイアットである。彼らは自分たちの先祖が活躍する西部劇を心から愛している。いやがおうにも士気が上がるというものである。

「そうだな。西部劇なんか古臭いと思っているやつらを全員のしてやるか」

バットはそういうと指をポキポキ鳴らした。

「ふふふ、楽しみね。さて何のお弁当を持っていくか考えなきゃ」

と、ドクはなにやら間の抜けた考えをしていたようである。余談ではあるがドクは料理の腕も一級品である。

「これはピクニックなのか?」

「いや、ピクニックというものはもっとまじめにやるものだ」

実は彼ら、鬼怒川、日光界隈じゃ彼らのことを知らないサバイバルゲーマーはいないというほどの、名うてのサバイバルゲーマーなのである。

しかも、彼らは迷彩服など一切着ず、西部劇に出てくるようなガンマンの格好をして戦うのだ。

そんな彼らを“時代遅れ”と侮って痛い目を見たサバイバルゲームチームはいまや30を超える。

それもそのはず、彼らは本国アメリカの西部出身で子供のころから乗馬、射撃と本当の西部劇のような生活を送ってきたのである。

日本では銃など撃てるはずなどなく、彼らの興味がサバイバルゲームへと向くのは必然であったといえよう。

「ま、とにかく明日だな」



◇2◇


〜翌日、午後7時。ディスコ「ジャージー・リリー」〜


「おお! ワイアット。やっと来たか」

これはビル・ブローシアス五世、通称“カーリー”・ビル五世。アメリカ最初のギャング団『カウボーイズ』の首領として名高いカーリー・ビルの子孫である。

「ち、待ちくたびれたぞ」

彼はジョニー・リンゴ五世。『カウボーイズ』の早撃ちガンマンとして恐れられたジョニー・リンゴの子孫である。

「おせいぞ! アイスコーヒーくらいおごれ!」

と、さっきからプンスカプンスカしているこの男、アイク・クラントン五世。西部開拓時代、ワイアット・アープ一族と対立した大牛泥棒、アイク・クラントンの子孫である。

「すまんな、ビル、ジョニー、アイク」

ワイアットが『ジャージー・リリー』で先に待っていた3人に詫びながら席に着く。

「またこいつがバイトで落馬してな。おかげでこっちまでとばっちりだよ」

と、これはバット。二日連続でワイアットは馬から落っこちたのである。しかも、乗った馬も昨日と同じハイヨーシルバー。

「そうなのよ! まったく笑えたわ〜」

ドクは腹を抱えて、ついさっきの事であったかのように大笑いをしながら言った。

「ははは! そりゃあ災難だったな!バット、ドク」

と、ビルは自慢の(?)ちり毛の黒髪をいじりながら言った。

「とにかく、さっさと話を進めようぜ」

ジョニーはつまらないとばかりに、さっさと話を進めようとした。

「おまえらー!!」

ワイアットは今にも泣き出しそうな顔で叫んだ。

彼らが来ているこのディスコ『ジャージー・リリー』は名物親父ロイ・ビーン三世が経営する、未成年でもOKなディスコである。

ロイ・ビーン三世は御年70歳の老人であるが、まだまだ元気で雷親父の異名を持つ。

しかし、ロイ・ビーン三世は日本で不慣れなワイアットらアメリカからの留学生たちの世話をよく見てくれる、やさしいおじさんでもある。

「あ、そうだ一応『月刊種子島』もってきたぞ。これで他の代表がどれくらいのレベルか研究しとこうぜ」

と、ワイアットはようやく落ち着きを取り戻し、バックから『月刊種子島』を取り出した。

「お、準備いいな、ワイアット。う〜ん、なになに、北海道大会の特集は『FANG GUNNERS』か」

ビルはパラパラとページをめくり、全国高等学校サバイバルゲーム選手権大会のページを探した。最初のページは北海道大会の地区予選道南地区代表の記事が載っていた。

「北海道の道南地区代表か。そういえばそろそろ北海道でも本大会の予選が始まるんだな。……なんだこのチームは」

バットが驚くのも無理はない。『FANG GUNNERS』の面々のコスチュームはみなバラバラで、しかもバラバラのコスプレをしているのだ。

スコ@ル、ルパ@三世、名探偵コ@ン、ラ@、新撰組、セーラー服とまったく統一性がない。

「これじゃあ、アンブッシュしてもすぐ見つかんじゃねえか?」

アイクは『FANG GUNNERS』のコスチュームを見てせせら笑った。

「それを言うなら俺たちだってアンブッシュしないんだから、人のことを言えんな」

と、ジョニーがアイクをいさめた。先ほども説明したが『OK牧場の血統』のコスチュームは、西部開拓時代のガンマンであるため迷彩にもなっておらず、アンブッシュしても目立ってしまうのだ。

「ほ〜、このラ@のコスプレしている子、なかなかかわいい…ギャ!」

このとき、ドクがワイアットの脛に思いっきり蹴りを入れたのだ。

「いててて、いてぇなぁ〜。なにすんだよ!ドク!」

「あら? 私何かした?」

フン!とドクは完璧に白を切っている。

「……(ドク、完璧に嫉妬しているな)」

これはバットである。ドクはワイアットのことが好きで、ワイアットを追っかけて日本に来たようなものである(笑)。

しかし、ちゃんと自分の気持ちを伝えることが出来ず、ワイアット自身もドクの行為に気づいていないのだ。

そのためバットはワイアットにドクの気持ちをわからせようと、いろいろ画策しているのである。

いまだ痛がるワイアットを無視して

「あら、このサムライガール、特技は早撃ちなのね。ぜひ全国で勝負してみたいわね。ふふふ」

と、ドクは自分と同じような特技を持つこの相手に目をキラキラさせた。

「はぁ〜、このコ@ンがスナイパー? ほんとかよ?」

アイクは春樹を見て首をひねった。どう見ても春樹は道南地区最強といわれたスナイパーに見えなかったのである。

「アイク、人は見た目で判断するもんじゃねぁよ。まぁたっぷり可愛がってやりゃあいいさ。なぁ、ジョニー?」

ここでアイクに忠告を入れたのはビルである。そしてビルをすでに春樹をどう“可愛がる”かを考えているようである。

「無粋なことを聞くな。それが俺たちの戦い方だろ?」

と、ジョニーはフ、とニヒルな笑いをして一言。

「そりゃそうだ」

妙に納得したのはビルである。

「ビル、ジョニー、たとえ全国大会でここと当たっても、この坊やをあんまり虐めちゃだめだぞ。フィールドの真ん中で小便でも漏らされたらたまんないからな」

「「「「「「はははは!」」」」」」←(一同)

ここで話題は次の『聖ガブリエル女学園高等部サバイバルゲーム愛好会』へと移っていった。

「それと東東京は『聖ガブリエル女学院高等部サバイバルゲーム愛好会』?」

「今年の大会はやけに女の参加チームが多いな」

「まぁ、時代の変化ってとこね。でもアメリカじゃあ別に変なことじゃないじゃない」

ドクがそうつぶやくと横からジョニーが突っついた。

「お前と日本の女の子を比べるもんじゃないな」

「ちょっとジョニー! それどういう意味よ!!」

「まぁまぁ、おさえておさえて…」

と、ここでバットが助け舟を出し、一応ドクとジョニーの喧嘩は終了した。

「う〜ん、富山は『T・S・C』か。う〜む、厄介だな」

バットはそういうと一人考え込んだ。『T・S・C』は富山の強豪チームとして全国にそれなりに知られているのである。当然、バットらもそのうわさは耳にしている。

「まぁ、作戦がすばらしいというがいくら良い作戦でもメンバーがついてこれるかな。ま、お手並み拝見」

と、バットは先ほどとは打って変って全国で『T・S・C』と戦うのを楽しみにしているようである。

「うん? なんだぁ? おい、みんな!ちょっとこれを見てくれよ」

別のページを見ていたワイアット驚きの声を上げて、みんなにそのページを見せた。

「あー? なんじゃこりゃ? こいつらチーム名だけで何の情報もないじゃないか!」

ビルが驚くのも無理はない。そこにはチーム名『イクサクニヨロズ』としか書かれていなかったのである

「ええ、と。なになに、青森大会『イクサクニヨロズ』?」

バットもかなり驚いたようだ。サバゲーに限らず、勝負事では情報が重要で、孫子曰く「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」

バットはそのため「イクサクニヨロズ、侮り難し」と日記に記したのであった。

「まぁ、全国大会まで時間があるんだからそのうち情報を収集すればいいじゃない。私たちが今考えるべきは来週の予選でしょ?」

と、ドクがまともな意見を出し、みんなもひとまず納得し、ここからはより直接的な話となった。



◇3◇


「ひとまず装備は今の装備でいいよな?」

「あたりまえだろ! 装備を変えたら俺たちの戦いじゃなくなっちゃうじゃないか!」

彼らの装備は前記したとおり西部劇のガンマンである。そのためマシンガンやオートマチックライフルなどはまったく使用しないのである。

「まぁ、そうだな。この日本に第三の西部劇ブームをもたらす俺たちの野望のためにも、ここはこのままだな」

これは真実である。50〜70年代にかけて『シェーン』や『駅馬車』など傑作西部劇の上陸に第一次、第二次西部劇ブームが訪れ日本人の大多数がテンガロンハットにガンベルトといったものを持っていたものである。

「ワイアット、日本だけじゃないぞ。全世界に西部劇ブームをもたらすんだ!」

かなり突拍子もないことだがビルの顔は大真面目である。

「…だんだんとサバイバルゲームの話から遠ざかっているような」

ここで彼らの装備を確認しておこう。

まず、リーダーであるワイアットは16インチ、12インチのコルトSAA、通称『バントラインスペシャル』と呼ばれている銃である。

ワイアットはこの2丁の銃を極限までカスタムし、最新のスナイパーライフルに劣らない性能にしている。

ワイアット自身の射撃のテクニックも加わって、まさに「百発百中」である。

ドクは4・7インチコルトSAA『シビリアン』の二丁拳銃である。

その類まれな早撃ちは、相手に息をさせる暇も与えないほどの神速である。

このニッケルシルバーのコルトに撃墜されたゲーマーは数知れず……。

バットはドクと同じコルトSAAシビリアンを使うのだが、そのコルトには特徴的な象牙細工のいかにも高そうなグリップをつけている。

実はこのグリップ、彼の先祖であるバット・マスターソンが実際に使っていたグリップなのである。

わざわざアメリカからこのグリップを持ってきたところに、バットの今大会への意気込みが感じられる。

だが、バットのコルトはサイドアームで、メインウェポンはダブルバレルショットガンである。

この銃は飛距離こそあまりないものの、散弾はかなりの範囲に散らばるため、ディフェンダーも兼ねるバットにはちょうど良い銃である。

ビルは7・5インチコルトSAA『キャバルリー』の二丁拳銃。

この銃は銃身も長く、飛距離も中々あり中距離戦に力を発揮する。

また、ドクのようにハンドガンナーであるため身軽な動きが出来、その機動力を生かして臨機応変に戦う。

ちなみにビルも銃の腕はワイアットに負けないほどの名手である。

ジョニーは4・7インチコルトSAAシビリアン一丁。

ジョニーの得意技も早撃ちで、その速さはドクとチーム1、2を争うほど。

戦い方もハンドガンナーの長所を遺憾なく発揮して、神出鬼没の遊撃戦を得意とする。

しかし、敵を撃墜した後華麗なガン・スピンをするのだが、ガン・スピンに夢中になってその隙に敵に撃たれてしまったことが1度や2度ではないのが玉に瑕。

アイクは5・5インチコルトSAA『アーティラリー』にウインチェスターM73ライフル。

アイクはライフルを握らせたらチーム1である。

特に、本当にレバーアクションライフルか! と思うほどの連射は見事。

ワイアットには及ばないまでも、命中率はすばらしく、その連射を生かし、近〜中距離に強い。

「そういえば一つ一つの予選試合の前に、プロレスみたいなチーム紹介があるんだろ?」

ここで話題を変えたのはビルである。この大会はギャラリーを強く意識したプログラムになっており対戦チームはプロレスやK−1のように各テーマ曲を流しつつ入場してくるのである。

「ああ、そこではそのチームのテーマを流すのだそうだ」

「で、俺たちのテーマはなんか考えたのか、ワイアット?」

と、ジョニーが頭をかしげながらワイアットにたずねた。

「少し考えたよ、ジョニー。一応、俺たちに先祖をモデルにした映画『トゥームストーン』のメインテーマでいいかなと思うんだが」

「まぁ、そこらへんが無難だな。でも予選は3試合くらいはやるんだろ? 一曲だけでいいのか?」

と、これはビルである。ビルにしてみればメインテーマがたった一曲と言うのもつまらんではないか!というのである。

「ああ、それは俺も考えたんだが…みんなはなんか良いアイディアあるか?」

ここでワイアットがみんなに妙案がないかとたずねた。

「う〜ん…マカロニウエスタンの『さすらいの口笛』はどう?」

ドクはマカロニウエスタンの最高傑作『荒野の用心棒』のメインテーマ『さすらいの口笛』を提案したがワイアットは

「確かに『さすらいの口笛』は良いと思うけど俺たちは一応、『正統的な西部劇』だからな、マカロニはちょっとな…」

ワイアットは渋い顔をした。マカロニウエスタンはアメリカでも“スパゲッティウエスタン”として知られているが、本場西部劇の国としては異国が作った“偽物”に好意を持っていないものもいる。

いわば、日本の時代劇をハリウッドで作るようなものである。

「じゃあ「OK牧場の決闘」の主題歌は?」

と、これを提案したのはアイクである。『OK牧場の決闘』はバート・ランカスター、カーク・ダグラス主演の日本でも大ヒットした傑作西部劇である。

「お! アイク、お前にしては良いこと思いついたじゃないか!」

「よし、2曲目は『OK牧場の決闘』にしよう」

「あとは『リオ・ブラボー』の『皆殺しの歌』とか『荒野の七人』のメインテーマなんかもいいな」

ジョニーが提案した『リオ・ブラボー』と『荒野の七人』も名作と称される西部劇である。

『リオ・ブラボー』はアメリカが生んだ大スター、ジョン・ウェイン主演の映画で、町の保安官と悪徳牧場主の戦いという西部劇の典型的な物語であるが、ジョン・ウェインのライフルさばき、女ギャンブラーとの恋となかなか見所が多い。

『荒野の七人』は日本の名匠、故黒澤明監督の傑作『七人の侍』のハリウッド版リメイクである。

『荒野の七人』は第四作まであり、その第一作と第二作で主人公クリスを演じた俳優ユル・ブリンナーが黒澤明監督の「七人の侍」を見て感動し、黒澤明監督に直談判してアメリカでのリメイク権を買い取ったという逸話が残っている。

「そうね、この2曲も一応リストに入れておいたら?」

「そうだな、4曲くらいあれば大丈夫だろう」

そのほか入場の仕方や細かな戦術、全国大会を見通しての戦略的な話へと移っていった。(戦術などは第二話以降、予選大会のほうで遂次お伝えます)

「おい! お前ら、もう10時過ぎたぞ!」

「あ! ビーンの親父さん! あ〜、もうそんな時間ですか」

『ジャージー・リリー』の店主、ロイ・ビーン三世が10時を過ぎたことを告げに来た。

「お前ら、サバイバルゲームの話か?」

「ええ、来週から全国大会の予選があるんです。そのための打ち合わせをしていたんです」

と、バットは屈託もなく話した。ロイ・ビーン(以下略)は彼らが興じているサバイバルゲームにも理解を示している。実際、ロイ・ビーンは軍に入っていたことがあり、そういったものに興味を持っていた。

「なぁ、お前ら。高校生じゃなきゃ参加できんのか?」

そういうとロイ・ビーンはカウンターの下から、M60やミニガン(歩兵用の小型バルカン砲。映画「ターミネーター2」でシュワちゃんがぶっ放していたのがこれ)、グレネードランチャーとありとあらゆる重火器を取り出してきた。

「ええ、高校生しか出られないんですよ。…それにそんなものぶっ放したら死人が出ちゃいますよ(笑)」

と、ワイアットは笑いながら冗談にならないこと言った。

「そうか、残念だな。わしもあと50年若かったらなぁ〜。それにしても、お前らちゃんと先祖の血を受け継いでいるな。うん! がんばれよ!」

「はい!」

「よし! 今日はわしのおごりだ! どれでも好きなもの注文しろ!」

「「「「「「ThankYou!」」」」」」

こうして夜も更けていった。『OK牧場の血統』にどんな運命が待ち構えているのか。

現時点で知るものは誰もいない……


次回予告

「故郷アメリカを離れて幾千里。
遠く海を渡り、たどり着いた先は日いずる国『日本』
そこで彼らは祖先の熱き血を蘇らせる。
今、この『日本』で馬が駆け、銃声がこだまするとき、熱き男たち(+女一人)はサバイバルゲーマーの挽歌を奏でる!!
次回、天国なんて待たせておけ!明日よりも友を選んだ男(+女一人)たち第二話『馬上の決闘』

駆けろ! 撃て! 情けは無用だ!」


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