投稿小説だぜ

Mituyaさま作

『戦え! FANG GUNNERS!』外伝

少女が願う未来

エピローグ


「少女の見る夢」

◇20◇


あれから、一週間はあっという間に過ぎていった。

晶が持つ情報網から、『サムライガール』は射殺された、という嘘の情報を流し、各メディアはそれを競って流し始めた。

無論、あの『サムライガール』を殺せる人間なんている訳がなく、かつ射殺されるほど弱くもない。

しかし忌まわしき事件が終ったという噂を鼻先でちらつかされれば、飛びつかないのも無理はなかった。

当然だがこれには表ではなく裏の人間たちが、こぞって疑問を露にしたが、そこは晶の人脈で貫き通すことに成功した。

こうして、この街にも人と活気が戻り、全ては元通りとなっていく。

犠牲は多く、かつ得られたものは何もないこの事件だったが、何もない平和が一番だと、人々は思っていた。

そんな街中を、人間の姿を被った妖怪たちが歩く。

とりあえず揃ったのが、大河、晶、愛、翔子の四人。

アリエルはベルを捕まえて本国へと戻っていったし、ゆきめも妹の安全が確保されたとしった次の日にはもう北にあるという彼女の実家へと戻っていった。

夏海はやはりお嬢様ということもあり、厳重な警備の中で守られているので、大河たちが連れて行くのは無理だった。

残りは今日も、喫茶<ランデヴー>を営業中だ。

「ちょうどゴールデンウィークと重なって、ラッキーだったダスな」

晶の言葉に反応したのは、愛と翔子の二人。

しかし晶の嬉しそうな様子とは正反対で、二人は陰鬱な雰囲気を漂わせていた。

「……よりにもよって、休みの間を休校にしなくても」

「休みが終わってから休校にしてくれれば……」

全ての学生が思うところではあるが、そんな当たり前に大河と晶の二人は苦笑を浮かべた。

今日は、彼らにとって決別の日。

それほど親しくはないが、やはり自分たちが関わった相手である。

だからこそ、<ランデヴー>の代表として、目的の場所へと歩いていった。


「お久しぶりです。<ランデヴー>の皆さん」

ぺこりと会釈をしたのは、一般では死んだとされている少女、黒川千里。

かつての『サムライガール』としての威圧はそこになく、どこにでもいる女子高生はただ微笑んでくれるだけ。

そんな彼女を見て、既にここに来てくれていた憐たちも微笑みを返した。

「……で、結果は?」

「封身刑、というものだそうです。一番重い刑であるのは、当然と言えば当然の結果ですけどね」

千里は人間世界では、既に死者ではあるが、妖怪の世界で見ればまだ生者である。

そして妖怪から見ても、妖怪の存在を知らしめる危険性を持つ千里は、危険因子そのものだった。

千里が今まで犯した罪の分は大きく、例え自首という形であっても軽くはならない。

その結果が封身刑。

封身刑、それは妖怪が犯した罪の中で最も重い罰だった。

人間世界で見れば、死刑が当然最も重い罪に与えられる罰なのだが、妖怪という存在は死しても蘇る可能性があるという話だ。

少し話が逸れるが、千里がその事を知っていたら罪を犯さなかっただろうか……と一度憐たち聞いてみたが、千里はこう返答した。

「多分、それでも人を殺していたと思います」

千里は孤独に耐えられなかったから、少しでも速く龍殺を生き返らせたくなるだろう。

そう予想していたのだ。

話を戻そう。

今の千里は、妖怪の力を持つ人間、つまり半妖という扱いになっている。

ちなみに人間と妖怪の間に生まれた子をハーフと呼ぶらしいから、千里はハーフではなく半妖ということになる。

妖怪という扱いになる以上は、妖怪の刑を受けるのが相応しく、また千里の起こした事件により『サムライガール』の伝説が、新たなる千里を生み出す恐れがあるそうだ。

妖怪というのは、人の思いから生まれる存在なので、千里を殺した時点から千里が完全に妖怪化して復活する可能性だって生まれるのだ。 だからこそ、千里は封身刑を受けることとなる。

この罰は、千里を封印し、その封印を解くまで千里は眠り続ける、そんな罰だ。

人間世界の刑で考えると、終身刑と似ているが、終身刑とは違い、刑が無期限。

長ければ、地球が崩壊するそのときまで眠り続けることとなる。

それでも千里は、その罰を受け入れた。

それが今までしてきた、自分への戒めなのだから。

毎日、憐たちがここへと足を運んできてくれ、短い面会時間であったが、それも今日で終わり。

千里は今日、刑の執行を始めるのだ。

「……千里さん」

「美奈さん。そんな顔、しないでください。私は死ぬわけではないのですから」

千里が少し焦ったような顔をして、美奈の落ち込んだ状態をやわらげようとするのだが、美奈には効果がなかった。

それどころか、美奈だけでなく、憐、修一、麗奈、秋彦、瑠璃華、海里もうつむいて、何かを我慢するかのように堪えていた。

様子のおかしさには、皆が気づいていたが、原因がわからない以上、何を言えばいいのかわからない。

「何よ、何よ? 帰れないっていうなら、私たちが面倒みてあげるわよ?」

翔子は、心配を和らげようと、自らの財力をちらつかせて、憐たちに言う。

しかしそんな翔子の冗談混じりの発言も、憐たちは少し寂しげな表情を見せるだけに終わった。

「いえ、そうではありません……。俺たち、お別れみたいです」

ふと一同が憐たちを見ると、その様子に驚きを見せた。

憐たちの指先が半透明となり、それが腕を侵食し始めている。

ちょっと前まであったはずの指は、もう虚空へと消えている。

「……これに気づいたのは一週間前です」

「私たち、いつか消えるって、何となく悟ってました」

「だが我らは、お主たちには言えなかった」

「仲間が増えるって、晶さんや翔子さんがとても喜んでましたものね」

「ですけどオレたち、もうこの世界にはいられないみたいです」

「師匠。色々と教えてくれてありがとう。楽しかった!!」

「晶。“双剣”のユキメによろしくと伝えといてくれ……」

憐たちの身体は、もうほとんどが消えている。

光となり、消えていく……。

そんな彼らが消える前に、ここにいる誰もが別れの挨拶を済ましたかった。

「じゃあな、皆」

「玲には伝えといてやるダスよ、海里ちゃん」

「向こうの世界のあたしとも、仲良くしてよね」

「瑠璃華と一緒に研究できないのは残念だけど、私も楽しかったよ」

<ランデヴー>が一斉に別れの言葉を口にすると、千里はそんな彼らに続くかのように、おずおずと前に一歩踏み出し、口を開いた。

「一つ……向こうの世界の私に尋ねてくださいませんか? ……貴女は今、幸せですか、って」

今の自分が幸せかどうかはわからない。

だけどせめて、向こうにいるはずの、もう一人の私の幸せを願おう。

<ランデヴー>メンバーと千里は、さっぱりと別れるはずなのに、目からは大粒の涙をぼろぼろとこぼしていた。

ウェットな雰囲気は、憐たちにも影響し、消え始める目から、涙を大量にこぼす。

そんな涙を流す目も光となり、そして憐たちはこの世界から姿を消した。

だが千里たちには、彼らの記憶はしっかり焼きついている。

確かに、千里たちの傍に、彼らはいたのだ。

「『サムライガール』、面会の終了時刻です」

もう孤独は怖くない。

そう確信した千里は、暗雲の道を一歩一歩進んでいった。



◇21◇


そこにあるのは光。

ただ光の奔流が、一同を包み込んでいく。

上もなく、下もなく、左も右もないこの不可思議な世界は、薄れ行く意識の中では妙に心地よかった。

生まれたての赤ん坊がゆりかごにいるのが当然のように、その世界では意識が無くなるのがさも当然のよう。

だけど、皆は確かに光のみが存在しているそこで、黒い髪の少女を見た。

顔は意識が遠くなっていくここでは、見る気力すらもない。

そんな彼らに、少女は優しげに微笑んでくれた。

『……ありがとう。助けてくれて』

その声は、耳に届くか届かないかわからない程度の大きさでしかない。

だけど耳に感じるその声は、妙に安らぎを与えてくれる。

揺れる身体、響く声、そしてぼやけて見える少女の三セットは、ものすごく心地のいいものだった。

『身体のない私じゃ、姉さんは助けてあげることは出来ない。そして姉さんを心から信頼してくれる人もそうはいない。……だけど貴方たちは違った。貴方たちは姉さんを、予想以上の形で助けてくれた。……もう、いくら感謝を言っても尽きないと思う』

一同に襲い掛かってくるのは、猛烈なほどの眠気。

次第に重くなるまぶたは、とても開けてなんかいられない。

薄れ行く意識の中、誰かが声にならないレベルで口を開いた。

貴女は……誰……?

『万里(まり)……』



◇22◇


瑠璃華が目を覚ましたのは、いつも見ている『むつ』の天井だった。

机を囲って、皆は深い眠りについていた。

そうだ、何てことはない、テストを前にしての勉強をして、皆眠ってしまったんだ。

瑠璃華は愛しい彼の寝顔を、聖母のような微笑で一瞥すると、自らは身体を伸ばした。

ずっと眠っていたせいか、身体の筋が妙に痛む。

身体をほぐした後に、再び机にある問題集と対面する。

そのとき、部屋のチャイムが鳴った。

割と大きい音だったのだが、憐たちは起きる様子は見せていない。

起こしては悪いと思った瑠璃華は、そろりと物音を立てずに立ち上がり、急いで玄関へと向かう。

「千里さん」 「こんにちわ。今日はユキメさんは、用事があるそうで、少し遅れてくるそうですよ。あと、これはお土産のケーキです。皆さんで召し上がってください」

千里はいつものように、瑠璃華に向けて笑顔を向けてくれる。

一瞬だけ瑠璃華の頭に、先ほど見た不思議な夢が脳裏をよぎる。

何か言わなきゃいけないような、そんな得体のしれない不思議な思いが、瑠璃華を駆け巡る。

そんな瑠璃華が思考にふける微妙な間隔を不思議に思ったのか、千里は首をかしげて見せる。

「どうかしましたか?」

「唐突ですけど……千里さん。千里さんって……今……幸せですか?」

一瞬だけ戸惑ったような仕草を、千里は見せた。

だがそれは一瞬で、次の瞬間にはいつも以上の笑みを、瑠璃華にさらけだした。

「はいっ!!」


瑠璃華の胸は、紫色の、水晶のような結晶がかけられていた。


おわり




◇あとがき(という名の座談会)◇


大河「えー、本日はお日柄もよく……」

愛「堅ーい」

晶「もう少し、気楽にやりたいダス」

翔子「そうそう。折角の、撮影終了の打ち上げなんだし、気楽にやってよね」

千里「……だそうですよ、地鳥さん」

大河「……わかったわかった。じゃあ、撮影終了を祝して、カンパーイ!」

一同「カンパーイ!」

晶「……ふぅ。逃亡中だったんダスが、この日だけは大河君のところに来てみたダスよ」

翔子「あんたがわざわざここに来るなんてね」

晶「大河君への愛ってヤツダスかな?」

大河「気持ち悪いこと言うな(一同笑)」

愛「晶。綾があんたに話したいことが山ほどあるって……」

晶「それは、今は置いとくダス」

愛「置くなよ……」

千里「折角ですし、私たちで、今回の物語を反芻……というより裏話をしませんか?」

翔子「……何か、作者に言わされた台詞みたいよ、千里」

千里「あ、あはははは……」

愛「なお、イメージCVは、大河が石田彰さん、私が植田佳奈さん、翔子が山崎和佳奈さん、そして千里が久川綾さんでお送りいたしまーす(作者権限でね)。ちょっと、士郎?」

翔子「……誰よそれ?」

愛「秘密」

千里「ところで、晶さんのイメージCVは?」

晶「はっはっは、俺はあって無きが如しダスから、ユキメのを流用して平松晶子さんでお送りするダス」

翔子「……必要経費削減が目的? どうせイメージなのに……」




◇零話◇


大河「……こんな話はないが、まさに物語の原点となるべき話って奴だな」

千里「本当に突き詰めれば、いくらでも言えますが、やはり私と龍くんとの出会いですかね?」

晶「ダスな」

千里「それは……」


黒川の直系は、古くから護身刀を持つというしきたりがある。

そしてそれは、今でも受け継がれている。

千里の祖母、黒川勝子(くろかわ かつこ)は臆病だった。

死を恐れるがあまり、自らの命を重んじて、護身刀を娘に譲るのをためらった。

それ故、千里の母、黒川香織は18歳という若さで生涯を閉じることとなった。

勝子は当然、自らの犯した過ちを激しく後悔することとなる。

そしてそんな自分も、自らの寿命を悟り、死の間近に、千里に護身刀を譲ることとなる。

財産を狙う千里の養父に渡さずに、千里へと絶対に渡るように巧妙に指示し……。

そして千里と龍殺は出会った。

千里15歳、高校一年生になったばかりの頃である。


千里「という感じです。私の一族は呪われていますので、人外の力を持つ龍くんが必須、ということなんですよ」

翔子「千里のお母様は、その力の恩栄を受けなかったがために、死んだわけね」

千里「いいえ。力の恩栄を受けずとも、子を成せるくらいまでは成長するそうです。つまり、そこから先に、龍くんの恩栄が必要な訳なんです。だからお祖母ちゃんは70近くまで生きてましたよ」

愛「あと、千里は元々人間だったのよね?」

千里「はい。一話のプロローグでの裏話ですが、龍くんの死をきっかけに、龍くんは自分の力を私に全て渡し、その影響で私は半妖となったのです」

晶「それと、千里ちゃんが一話のプロローグで戦っていた相手というのが、ベルの言うアスラダス」

大河「ところで、千里と龍殺の関係ってどんな感じなんだ? 本編では恋人なのか、主従なのかわからん」

千里「龍くんが、私のことを仕えるべき主、私は龍くんのことを友達だと思ってます」

愛「ま、もっとも千里はそれ以上の関係を望んでいるみたいだったけどねー」

千里「(顔が真っ赤)」



◇一話◇


大河「最初に捕捉しておくが、この話は作者が、ガープス百鬼夜翔というゲームのシナリオを暖めていた話を使ったものだ。だから本来ならエンディングは三種ほど用意してある」

愛「もっとも、作者はガープスを遊んだことすらないんだけどねー」


いじいじ……


晶「あそこでいじけている作者はほっといて、ダス。エンディングは千里ちゃんの死、封印、それとこの話の終わりみたいなヤツの三つダスな」

大河「最初の目的如何によって、どのエンディングに進むのかは推測は可能だろう。もっとも、この話で使うのは『イクサクニヨロズ』だから、もうエンディングは決まったようなものだ」

晶「ま、小説ダスし」

大河「とにかくこのシナリオでの目的は、殺人鬼千里の存在と、妖怪の存在を認知させることだ。だから読者の皆様にはちょっとわかりづらい話だったかもしれん。この話の妖怪に関して詳しく知りたければ、ガープス百鬼夜翔(ゲームブック)、百鬼夜翔シリーズと妖魔夜行シリーズ(小説)あたりを見ればわかりやすいぞ」

晶「もう一つの目的は、千里ちゃんが妖怪化していて、憐君たちも手を焼く存在だということを知らせることダス」

愛「ん? 手を焼く? てことは、勝てなくは無いってこと?」

晶「まともにやれば。しっかり瑠璃ちゃんを守って、彼女のサポートを得つつ、美奈ちゃんがフィニッシュ決めれば辛うじて、というレベルダスがな」

翔子「それでも、千里の実力は桁違いなんだけどね」

千里「あ、ちなみに、この作品の私のデータはこのような感じです」


黒川千里(1000CP武侠ver)+おまけ


ガープスを知らない人に、説明をしよう。

ここでは、能力値と技能に関しての簡潔な説明だけであるが……。

一般的な能力値というのは10である。

これは、人の平均値を示したもの。

つまり人間時の千里(左側の能力値)は、一般よりちょっと強い筋力を持ち、運動神経抜群、IQ130前後の知力、そして平均的な身体の強さを持つことになる。

なお、体力50というのがどのようなものかというと、600kg相当の物を両手で持ち上げられるレベルです。

他の説明を加えるとすると、千里のダメージが刀を使って9D+2(9個六面体ダイスを振って、その総計に2を足したもの)。

期待値なら33.5ですね。

ダメージタイプが切りとなっていますので、これを1.5倍して、50.25……まあ50としておきましょう。

(本来は、防護点を引いてから1.5倍なのだが、人間には防護点がないので)

一般人が死に至る最小ダメージは20で、運が良くても(一般人512人に1人の割合で)60。

……もうお分かりですね?

つまり、普通の人間なら軽々と一刀両断できるわけですよ。

そして技能ですが、これは15までいけばベテラン、黒帯レベルとなります。

12でも、実は一般人から見ればかなり高い数値です。

花嫁修業をした若奥様の<調理>技能でも、レベルは9〜10くらい。

初期の美亜子のキャラクターシートを見ればわかるかと思いますが、20まで行けば免許皆伝のレベルです。

(現に、美亜子は技能レベル21で、本多流槍術の免許皆伝である)

下手したら、オリンピック出場レベルかもしれません。

……つまるところ、妖怪時の千里の腕前は人外なのです。


愛「にしても、作者、ガープス好きよね」

晶「作者は、ガープスのリプレイ収集が趣味みたいなものダスからな。それに、ガープスはキャラを作りやすいダスし」

大河「暗に、これを見ている人にガープスを宣伝してるんじゃないか?」


……ヒテイハシナイ。

ちなみに、千里以外の四人もデータ化はしてます。

もちろん、この話の中での、ですが。



◇二話◇


大河「ここでの話は調査を主にした。黒川がいじめに耐え切れなくなって殺した、というすぐにわかる程度のミスリードの意味合いと、俺の足跡、一条という協力者が存在するということだ。二人の関係が明らかになる以前から、佐藤と一条の関係はにじませているんだが」

晶「あとは<ランデヴー>メンバーの登場ダスな。最後に翔子ちゃんを登場させて、憐君たちとの融和を図るというのも忘れてねぇダス」

翔子「最初は、地鳥君、最上君、それに愛が『イクサクニヨロズ』に挑むのも考えていたんだけど、長くなったので却下されました」

愛「作者の大雑把な見通しとしては、この話は


 何らかの情報収集→<ランデヴー>と遭遇→翔子との邂逅


という流れよねー」

大河「本編では、『イクサクニヨロズ』と面識があるのは、玲、黒川と五十嵐の三人だけだからな」

晶「しかも、この当時は約一名、<ランデヴー>との関わりすらないダスからなー」

大河「……そうだな」

愛「千里も<ランデヴー>との関わりはなかったよ。本編でも、千里が<ランデヴー>とのつながりを持ったのって5月の下旬だし」

大河「そういや二つ程気になったんだが、千里が住んでたという家での台詞で『ここには悪意がある』みたいなことを言ってたよな。あれって?」

千里「多分、瑠璃華さんって感受性が高いですし、あの一家(名目上の千里の家族)の本質を感じ取ったんだと思います。あの男(義父)はギャンブラーで大酒飲み。その愛人はお水で働く派手好きな女。そしてその息子も、ドラ息子を地で行くような人ですから……」

晶「というのが、千里ちゃんの主観ダス。確かに、千里ちゃんがその家にいるまでは、ハ○ー・ポッターがマグ○の中で暮らすような生活だったのは間違いないみたいダスが、問題は千里ちゃんが出て行った後。父親がその頃から急にギャンブルで失敗し始め、妻を働かせて金を得ようとする。そして妻が働いている間に息子へ暴力を振るうという感じになったんダスよ」

千里「……え?」

晶「つまり、千里ちゃんは関係ねぇダス。悪意というのは、駄目親の欲、妻の苦悩、そして息子の恨みの三つからなっているだけダス」

愛「でも、千里が殺したんでしょ?」

千里「はい。描写でもわかりますが、愛人の人は殺していませんけど」

大河「で、もう一つだ。結局のところ、黒川が殺人を犯す動機は恨みでなく、『龍殺』の復活のためだったんだよな? でも、千里の殺人には恨みのようなものが垣間見える」

千里「そうです。私は表面上では取り繕っていたかもしれませんが、恨みはありました。だから、私は恨みと希望の両方を同時に叶えようとしたわけです」

翔子「うーん……。どっちかっていうと、急所を一撃で貫いた攻撃の方が、僅かに千里の良心を残してる、って取ったほうがいいんじゃない?」

一同「(ぽんっ)」

翔子「そこ、その手があったか、って顔しない! 特に千里!」



◇三話◇


大河「何てことはない。この話は情報整理だ。雨続先生の話で言えば、「名探偵、困難?」みたいな話か?」

晶「ちょっとだけ違うような気もするダス」

翔子「この話、なーんか晶が際立ってるわよねぇ」

晶「いやー、それほどでもダス」

愛「晶と玲の関係を滲ませてるもんね」

晶「それを言えば、綾もダスよ。俺と綾、それに玲がどのような関係であるか……。ま、どちらにせよ、四話で否定してるんダスがな」

大河「まあ、晶が主に会話の主導権を握るのは、いくらか訳がある」

晶「そのいちぃ」

大河「エピローグにも語られている描写だが、晶は情報屋へのコネがある」

千里「というか、本人が情報屋そのもののような気もしますが……」

晶「はっはっは。それは、エピローグをいくらか過ぎた後の話ダスよ。俺はしがない怪盗さんダス」

愛「(某シーンを真似して)今はこれが精一杯」

千里「カリオス○ロの城ですね。二年に一回は、金曜ロードショ○でやるって言われている(笑)」

大河「晶は髭も生やしているし、ルパ○じゃないが、おじさまそのものじゃないか」

晶「偽物ダスがな(笑)」

翔子「どっちかっていうと、お姉さま?」

晶「ええ、よくってよ」

愛「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ! スーパー!」

晶「イナヅマ!」

千里「キィィィィィィィィック!!(晶と愛を吹っ飛ばす)」

翔子「……確かにそのネタ、よく雨続先生が使ってるけどさ」

晶「(復活して)まあそれは置いといて、ダス」

大河「相変わらず、復活が早いな」

晶「そのにぃ」

大河「情報を手に入れた後の応用力が随一」

晶「怪盗してると、その場の状況に応じて、個々が臨機応変に対処する能力が磨かれるんダスよ」

翔子「……適当?」

晶「適当って、適度に当たる、って書くんダスよ」

千里「ものは言いようですねぇ」

大河「ま、つまるところ、晶は情報屋としてのスキルを持っている、ってことだ。俺から妖怪のことを知った後<ランデヴー>づてで、色々な方面の情報を集めた結果というわけだな」

晶「そのさん」

大河「単純に、交渉事が上手い」

翔子「この辺も、玲と通じるところがあるわよね」

晶「どうせ、あの世界だったら俺はあの後、大鳥さんに情報屋としてスカウトされてるダスよ」

千里「ともあれ、この話で<ランデヴー>妖怪側の情報と、憐さんたちが持つ情報とが交じり合い、さらなる調査の道しるべが出来たわけですね」

大河「作者が用意したシナリオでも、協力者からの情報で道を増やすネタはあったしな」



◇四話◇


大河「で、この話がミステリーのラストを飾るところだな」

晶「作者の愚痴を言わせて貰うダスが、書きたいことをつめすぎて大容量になってしまったんダスが」

大河「とりあえず想定していたシナリオは、一条からの、黒川の情報が一つ、黒川が大怪我を負ったにも関わらずすぐに退院したところが一つ、そしてその後の黒川の行動が一つ、そしてそれらをまとめた結果導き出される黒川の動機、ってところか。黒川の動機がわかったところで裏をもばらしているのは、きっと作者が面倒くさくなったんだろうが(笑)」

晶「そして、情報屋関連のキャラ、大鳥さんダスが、作者がユキメのプロローグシナリオを脳内構成していて、そのキャラの一人ダス。彼女が語った友人たちも、それらのキャラダスよ」

翔子「ま、どーでもいいけどね」

愛「名前は思いっきり種デスだけど(笑)」

晶「ちなみに喜屋武さんは、優輝少尉さんの話を見てから付け加えたダス。ネタ提供感謝ダスよ〜」

千里「でも、偶然にもユキメさんの本名でしっくりくる点があったらしいですから、それを元ネタにしたそうです」

愛「進藤明日香→シ○・アスカ、西条玲→レ○・ザ・バレル、飛鷹瑠奈→ルナマ○ア・ホーク、飛鷹芽衣→○イリン・ホーク、大鳥蘭→ギルバー○・デュランダル、喜屋武美弥→ミーア・キャンベルね。これは、まるえさんの話からもネタにしてるよ」

大河「なんせ、聖ルシファーが思いっきり種ネタだしなぁ(笑)」

翔子「……にしても、大鳥蘭だけは無理矢理ね」

大河「それは置いといて、だ。<摩訶>の襲撃に関してだが……」

晶「あれは、二章の最後に書かれていた部分の内容ダス。ベルがいなかったのは、単なる偶然」

愛「一応、<ランデヴー>のライバルにあたるんだけど、流石に気分が悪いわよねぇ」

翔子「慎也君をネタにしたエリクサ(翔子の作っている薬の総称)だけど、掲示板の方に、効果時間が短い、って言われてたわね」

愛「しょうがないじゃん。元ネタはガープスなんだし」

翔子「まあね(苦笑)。でも強化型<治癒>にしろ、他のガープスのサプリメントにも出ていないエリクサだってあるんだし、多少効果時間を長くする方法くらいは考えてあるかもしれない」

千里「効果が薄くなるけど、時間延長とかですか?」

翔子「ガープスでは効果は一時間だけど、多分四時間とか六時間とかくらいには延ばせてるんじゃない? ちなみに私の作った強化型<治癒>だけど、効果はダメージ2D回復、ダメージなしのときにはFP(疲労点)を2D回復だから」

愛「第四版になってから、疲労点の回復割合が減ったのよねー」

大河「話を戻すぞ。続いて、愛の幼馴染兼恋人である一条だけど……」

愛「千里の襲撃以前は、友達以上恋人未満の関係だったよ。そこからサキュバスの力に目覚めて……その……何だ……肉体関係に発展したんだけど……」

晶「オーナーもそうダスが、性の悪魔だからっていって、きわどい表現多すぎダスよ。本来、この小説はCEROでの制限はないんダスから」


どーせろっちゅーんじゃ……


一同「さぶっ」


ふ、ギャグもさえねぇぜ(泣)。


大河「まあこれは裏設定だが、オーナーは元人間だ。インキュバスの淫気に長い間当てられた結果、妖怪化して不老の身体を手に入れたという設定」

千里「はっきりと言ってしまえば、長い間性交渉を行うと、ですけど」

晶「つまりは、いずれヒデも妖怪化するということダス」

愛「でも私も知らされてないっす。はっはっは(乾笑)」

翔子「そういえばさ、図書館での話の流れは? ベルとかアスラとか千里とかがごっちゃになっててちょっと不明瞭よ」

大河「まずベルとアスラが館長を操り、彼らの主を復活させる資料を見つける。その後、復活の可能性を探すために傷がいえていない黒川が探す。そして千里の襲撃事件を間に挟み、俺たちが捜査にくるという流れだが」

晶「資料を探す際、本来はアスラが主の器となる予定だったんダスが、千里ちゃんという人物が意図せず邪魔に入ったんダスな」

千里「そうです。ですが、器としての能力は十分すぎて、私は大怪我、龍くんは死んでしまいました……」

晶「そこでアスラは目的を果たすべく、千里に嘘情報を流し、千里ちゃんを器にするようにしむけた、というとこダスかな?」

大河「最期の力を振り絞ってな。敵ながらあっぱれ」

愛「てことはさ、ベルとアスラはあの普通に置いてあった方の本の所在は知ってたんだ」

大河&晶「……多分」

翔子「……作者の後付設定ってこと?」



◇五話◇


大河「何てことはない。戦って終わり」

翔子「それは説明が簡潔すぎ」

大河「冗談だ。美奈と千里の戦い、千里の暴走、ベルの反撃、千里の復活を流れに置いといて、それをまとめたものだ」

晶「ベルという名前からもわかる人はいるかも知れねぇダスが、ベルの名前は蝿の王ベルゼブブからとってるダス」

愛「けど、ベルは蝿には変身しなかったけど?」

晶「千里ちゃん復活からさらにそれやると、文量が膨大になるダスからボツりました(笑)」

千里「ぶっちゃけすぎです」

翔子「確かに、蝿の王と人間の格好をした妖怪とのすぺくたくる映像は絵になるんだけどさ」

大河「ここでの質問となると、黒川のファーストキスはいつなのか、先代魔王とベルの主の関係、何故龍殺は砕けたか、てとこか?」

愛&翔子「千里〜。教えなさいよ〜」

千里「た、大したことはありませんっ!! 龍くんって……ほら、刀でしょう? いつも一緒に食事してたんだけど、口ってどこなのかなって思いまして。それで大まかな位置を教えてもらって……つい成り行きで……」

晶「お熱いダスな」

大河「若さなんだろ?」

千里「そして、龍くんが砕けた理由ですが……実は本編での龍くんは仮死状態だったんです」

大河「……何ですと?」

千里「アスラから受けた大怪我と、私に力の一部を与えた影響で急激に力を失い、仮死状態となったんです。そして、ベルとの戦いのおりに私に更なる力を与えてくれて……そして完全に死を迎えた、という設定なのです。刀身が砕けたのは、死を意味してる訳です」

晶「千里ちゃん……」

千里「でも私の中に、龍くんはいます。だから、さみしくありません」

愛「じゃあ、先代魔王と奴の関係ってのは?」

翔子「それは私が説明するわ。実は、先代魔王と勇者って幼馴染なのよ」

大河&晶&愛「うわ、ベタな設定」

翔子「今の愛と私の関係みたいな、ホットなライバル関係ね。それで、ベルの主を二人で協力して封印した」

愛「そして二人はいつしかオトナの関係に!!」

翔子「惜しいけど違う(笑)。私は、魔王の遺産から、勇者と魔王は千日の間戦い続け、共倒れになった、って記述されたことを鵜呑みにした」

晶「ってことは、実際は違うんダスな」

翔子「ええ。敵同士なのに愛し合った。だけど敵同士だから、愛する人でも殺しあわなければならない。後世の魔王にはそういう風になってほしくなかったから、実際とは違う記録を残したってこと。もっとも、私は知らないんだけどさ」

千里「それ以前に、この話とはあんまり関係ない話ですね」

翔子「それを言ったらおしまいなんだけど」



◇エピローグ◇


大河「黒幕登場……って誰だよ、万里って」

晶「ぱぱらぱっぱぱ〜、裏設定ぶっく〜」

大河「そういうのは早めに出せ(笑)」

晶「伝家の宝刀は最後に出すものダスよ。実は彼女は、千里の双子の妹という設定ダス。五話の冒頭に、それらしい記述があったダスよ」 愛「あ〜。でも死産って……」

晶「だから彼女は精神体となっても姉を心配し、憐君たちに助けを求めたダス。時空を越えて、ね」

翔子「じゃあ何で、あの子たちなの?」

晶「俺たちじゃあ、歴史の重なりがあって、歪みが生じてしまう可能性があるからダス。というのは後付設定ダスが」

千里「そういうことは言わないでください」

晶「あの歴史には存在せず、かつ千里ちゃんを知っている人物が呼ばれたということダスな。余談ダスが、かいちゃんもあの歴史には存在しないダスよ。それと、本編での世界では、万里ちゃんに関しての設定は、作者は全て放棄してるダス」

一同「なんですとー!!」

晶「一応千里ちゃんは一人っ子という設定はあるダスが、養女として送り出していない、という設定はないダスからな。だからあの世界と同じように、万里ちゃんは存在しないかもしれない、もしくは養女として送り出されて生きてるかもしれない、もしかしたら今生きてる千里ちゃんは万里ちゃんで(名前は千里で)、千里ちゃんがどこかで生きているかもしれない……色々あるダス」

千里「でも私の立場は変わりません」

愛「あ、そうそう。あの世界とこの世界を渡って来たんでしょ、憐たちって」

翔子「そうね。でも、記憶は夢で見たのと同程度でしかないわよ」


最後に余談。

翔子の作ったマナ・クリスタルの設定ですが、魔法及び陰陽術に関わる疲労消費で使う術の消費を肩代わりしてくれるものです。

パワーストーンと違う点は、一切のチャージが不可能、一点消費で二点分の疲労点を使えること。

ただし、三点消費の魔法で、マナ・クリスタルのエネルギーを二点使って余った分は切り捨てられます。

最後の最後までガープスで突っ走って、申し訳ありません。

そして、最後までお読みいただき、ありがとうございました。


一同「かたーい!」

晶「さーて、話も終わったことダスし、飲めー、食えーダス」

翔子「犯罪者が、こんなところで悠長にしててええんかい!」

愛「ていうか、綾が会いたがっていたわよ」

晶「(愛の言葉を聞き)戦略的撤退!」

一同「逃げるなぁぁぁぁっ!!」


ホントの終わり


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