Mituyaさま作
『戦え! FANG GUNNERS!』外伝
堕天使たちの協奏曲(コンツェルト)
May
| 「学生たちの序曲(オーバーチュア)」 |
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先輩はまだ存在し、それでいて後輩に対しては強く出なければならない。 中間管理職の宿命。 しかしこの学校の三年生は、実質としてその手の権利を二年生に譲るしきたりだった。 本来それは、三年生が受験に集中するために作られたしきたりだが、それは自分にとっては本来の用途など関係なく、ありがたいものだった。 だがそれも、「向こう側」にも三年生がいなければの話。 「向こう側」は三年生も参加するのだろう。 そして自分たちを、高いところが見下すのだろう。去年のように。 そう考えると、頭が痛かった。
明日香はそこから先を告げることが出来ずに、校門の前で立ち尽くしていた。 玲とて明日香の気持ちがわからないでもないが、感情の薄さから、明日香がそこまで呆然とするのが理解しきれなかった。 校門の横には、聖ガブリエル女学院高等部、といかにもお偉いさんが書いたかのような、少なくとも明日香と玲には読みきれない、蛇がうねったかのような文字で書かれていた。 東京都豊島区にある聖ガブリエル女学院は、「お嬢様女子校」との評判が高い、中高一貫の私立女子校で、二人が通う聖ルシファー女子高等学校とは姉妹校の関係にある。 創立は明治40年。それから激動の大正・昭和時代を経て今日に至り、その間、政財界の大物の夫人を始めとして、華道・茶道の大流派の会長、料理学校やインテリアデザインの会社を興して成功している者、また、官僚や議員として活躍している者を多数輩出している。 およそ12ヘクタールある敷地の中には、創立当初に建設され、現在では明治期の洋館建築の好例として都の重要文化財に指定されている本館、中等部と高等部の校舎、聖堂、グラウンド、体育館、温水プール、武道場、そして生徒会室とサークル棟を兼ねている『百合の館』と呼ばれる洋館が建てられている。 ともあれ二人は部外者であることも気にせず中に入り、入り口から少し先にあったマリア像前で、手を組んでお祈りを捧げた。 (……あー、めんど。いちいちこんなことしなきゃいけないなんて……はぁ) もちろん明日香の思っていたことを口にすれば、キリストへの不敬もいいところだ。 「それにしても、何だって私たちが合同生徒会に出なきゃいけないわけ? 私ら、教師に目ぇつけられてるくらいなんだから、絶対にこんなのには呼ばれないと思ってたのに。それに、それによ。学級委員から生徒会役員が選出されるからって、他に人なんているでしょうに!!」 「聞いてなかったの、教諭の話?」 玲の一言で明日香はぐっと言葉に詰まりつつ、かつ内心で教師たちを恨み、また奥歯をぎりっとすり潰す。 理由は覚えている。 ただ、一年の学級委員の面子全員が皆、放課後に用があるという話で、必然的に自分たちに白羽の矢が立っただけ。 何でもお嬢様全員が集う集会のようなものがあるそうで、その影響からか、今日は出席した生徒も少なく、また出席してもすぐさま帰宅する生徒ばかりだった。 二年や三年もほとんどが同じらしい。 二人はもちろん反論をした。 だが、どういう理由でかは知らないが、この日以外でガブリエル、ルシファーの両校が集える日が存在しないそうだ。 「三年が一人、二年が二人、そして一年が三人。過去最低の出席状況だそうよ」 「そんな日にやらせるなーっ!!」 があっ、と吼える明日香。 だが今の玲の言葉が少々気になったのか、はっとした表情を見せたらすぐさま明日香は玲の方を向く。 「ん。てことはもう一人の一年は?」 「大鳥蘭(おおとり らん)。中等部からの人」 「私らと違って、エセじゃない子か……」 「あと向こう側は、こっちと違って一年から二年、それにそんなに数が多くないらしい、との話」 「れーちゃん、詳しいねぇ」 「仕事柄、こういうことを調べる癖があるから」 「仕事?」 「そう、仕事。親の手伝い」 「れーちゃんも大変なんだねぇ。私なんか、父親の顔も見たくないってぇのに」 「なんで?」 「だってだらしないし、臭いし、不潔だし。れーちゃんだって、父親をそう思うでしょ?」 「別に」 「えー?」 「私、親に逆らえないから」 「……実はれーちゃんってお嬢様?」 「違うわ」 「うわ、あっさり切り捨てられた。……うーん、じゃあ親が死ねって言ったら?」 「死ぬわ」 「うわー、きちゃった。某青髪美少女的な台詞」 「……」 「なーんかこう、れーちゃんを自分色に染め上げたくなってきちゃった」 などとくだらない会話をしながら、目的の場所へと足を進める。 目的の場所は、生徒会室とサークル棟を兼ねている『百合の館』だ。 芽衣なんかは、その名を聞いた途端に顔を輝かせ、それを見て双子の姉である瑠奈はびしっとツッコミを入れていた。 流石に明日香はそれを聞いて、芽衣から二、三歩ほど距離を離したというのは余談である。 しかしその芽衣が引き起こした連想によって、それ以外の思考に行き着かなくなっていたため、明日香は少しだけ複雑な表情を浮かべていた。 二人がそこについたときには、既に多くの生徒たちが集まっていた。 自分たちが着る制服の他に、緑を基調としたセーラー服、そして灰色のセーラー服といういでたちの少女たち。 三校で集って生徒会を行うのかと明日香は一瞬疑問に思ったが、緑と灰色のセーラー服は細部が変わらず色違いなだけだったため、その疑問を解消してほっと一息をつく。 「遅いわよ、貴女たち」 「会長。まだ開始まで一分あります。それで遅い、と言われるのは不適当。比較だけで非難するのは如何なものかと」 相変わらず、偉そうな相手にも一歩も引く様子のない玲に、明日香はやきもきさせられる。 そしてその論理は、現時点では玲に理があるため、明日香は心情的にはもちろん玲の味方だ。 会長ももっともたる意見に言葉を詰まらせ、その代わりその不機嫌さを、明日香と玲を睨みつけることによって解消しようとする。 明日香はその視線に苦笑いを浮かべるしかなく、玲は平然とした様子で席の一つにつく。 明日香も玲にならい、席についた。 そして会が始まる。 先ほどの玲と会長のやりとりもあって、少しだけギスギスとした雰囲気が残っていたため、少々空気が重い。 「……えー、それでは聖ガブリエル、聖ルシファーの合同生徒会を始めたいと思います。ルシファーの方は新入生、こちらにも新入生、そして会長の引継ぎもございましたので、自己紹介から始めたいと思います」 『百合の館』は拍手に包まれる。 「自分は、今年から会長を務めさせていただきます、聖ガブリエル二年、高直美(こうの なおみ)です」 そして直美がぺこりと一同に向けて会釈して席につくと、次は彼女の隣の少女が立ち上がった。 聖ガブリエル側は、全員で六人。 二年が会長を務めている以上、三年が出ていないと仮定すると、一年と二年。 そして自分同様に初々しい少女が三人、となると明日香は一年と二年が三人ずつ、と想像した。 対して自分たちは、聖ガブリエル同様六人だが、こちらは一年が三人、二年が二人、三年が一人。 三年がいることと、今回の会議に出席していない他の生徒たちを考えてみると、こちら側は圧倒的に多い。 無論、向こうもお嬢様ばかりなのだから、人数は多いのだろうが。 「副会長、聖ガブリエル二年、仁木頼子(につき よりこ)です」 「会計、聖ガブリエル二年、六角貴子(ろっかく たかこ)です」 「せ、聖ガブリエル一年、藤原八重子(ふじわら やえこ)っ!!」 「お、同じくせ、聖ガブリエル一年、犬養亜紀(いぬかい あき)ですぅっ!!」 「一年、片桐芳乃(かたぎり よしの)どす。よろしゅう」 (一年生、芳乃って子以外はテンパってるなぁ) 自分も似たようなものだが、明日香は特に声が裏返っている二人、八重子、亜紀に哀れみの視線を向けていた。 無論、向こうはいっぱいいっぱいなために、そんな明日香の同情混じりの視線に気づくこともなかった。 「ではこちらも。二年生の方は存じているかと思われますが、わたくしは会長を務めさせていただいている聖ルシファー三年、星優奈(せい ゆうな)ですわ。一年の方は始めまして」 「副会長、聖ルシファー二年、江間灯菜(えま とうな)です」 「書記、聖ルシファー二年、辰宮アリス(たつみや ありす)と申します」 続いて、一年。 すなわち自分たちの番となると、先ほどのガブリエル側の一年同様に無様な姿を見せるかもしれないと考えると、不安でたまらなくなる。 だがこんなときに頼りになるのは、やはり友人の玲の存在だった。 鉄の如き心の持ち主である少女は、ちょっとのことで動揺する明日香にとっては頼もしかった。 「西条玲」 ただそれだけ言うと、すぐ席につく玲。 あまりにも愛想のない自己紹介にこの場はざわつき、会長である優奈の刺す様な視線が痛い。 ただ、向こうの視線は負の感情ではなく、興味に似た視線なのが幸いか。 ともあれ、これ以上ないほどの「最低」な自己紹介故に自分が針のむしろにさらされる可能性がなくなったこともあり、明日香にとっては胸を撫で下ろすような感覚であった。 「え……と、進藤明日香です。よ……」 と、ここで明日香はハッと気がつく。 先月に瑠奈から、自分たちは上にあまり良く思われていないと聞いた。 大体この生徒会ですら、数合わせなのだ。 優奈の、どこか他人を蔑むような視線からもわかるように、再び自分たちがここに呼ばれることはないだろう。 だからこの自己紹介には意味なんて……ない。 そう思った明日香は言おうとした「よろしく」を急遽取りやめ、ただぺこりと会釈するだけに留めておいた。 どうせ忘れ去られるなら、蛇足を加える必要もないのだから。 恐らく、同じことを考えていたであろう玲の方を見る。 いつもの鉄仮面だった。 「わたしは大鳥蘭です。短い間かもしれませんが、よろしくおねがいいたします」 典型的ないい子ちゃんな発言にも、明日香も玲も何にも思うことはなかった。 ただ何となしに蘭の姿を眺めていた二人に、蘭はにっこりと微笑みかける。 それに、明日香は曖昧な笑みを浮かべ、玲はそっぽを向く。 明日香は玲ほど、もう関わりがない、ときっぱりと割り切ることができないため、玲ほどは愛想を捨てきれない。 どうやってこの子をごまかそうと考え、その度に普通でない反応を返す玲を、少しだけ恨む明日香だった。 「それでは本題に入りたいと思います。始めに……」 直美が、資料片手に説明し、さらにホワイトボードにその補足のようなものを書き込んでいく。 その内容は、今学期に行われるであろう両校のイベントだ。 とはいえ二学期ほどイベントが充実しているわけでもないため、そのポツポツと点在するイベントの数々の詳細をこなすだけなのだが。 気になるイベントと言えば、球技大会とインターハイくらい。 もっともインターハイに関しては、武道関係の部活が充実しているガブリエルのみ。 ガブリエルもルシファーも、スポーツ関係は高校の中でも下の下というランクで、ルシファーは武道に関しても並程度。 お嬢様が通う学校なのだから、むしろ武道が充実しているガブリエルがおかしい、と明日香は思う。 「……というわけですので、今回も体育祭のような大掛かりなものではなく、代わりに球技大会を行いたいと思っています」 まあこれも仕方ないかな、と明日香は思った。 50m走を14秒とかで走られても、何のギャグかとツッコミを入れたくもなるし。 四月の終わり際に、ルシファーでもスポーツテストが行われたのだが、そのレベルははっきり言って最低だった。 女性で懸垂が出来ないのは見るけど、斜こう懸垂を一回も出来ない女子がいるのを間近で見たときは開いた顎がふさがらないほどだ。 はっきり言って、明日香はスポーツの出来も一般女性並と言えたが、ここでは間違いなく運動神経抜群で通ることが出来るだろう。 同様の感想は、芽衣も瑠奈も持っていたようで、二人ともクラスではトップクラスの運動神経だった。 話が逸れたが、こんな弱弱しいお嬢様方が運動したところで、見るに耐えない。 故に直美の意見には、心から同意していたのであった。 (どーせ、れーちゃんがダントツだし) スポーツテストを行って、クラスの中でもトップクラスの明日香より遥かにレベルの高い位置にいる玲を見て、呆れながら思う。 「続いて、部費や会費に関してですが……」 次の話に移り、明日香は目の前にある資料に目を通した。 表には数字の羅列があり、目が痛くもなる光景だが頑張って目を通してみる。 明日香は、別段それになんとも思わなかったが、玲は僅かながら眉をひそめた。 そして次の瞬間、挙手をした。 「この部費に関して意見があります」 「西条さん!」 意見があると言われ、直美たちガブリエル側は玲の方を向いたのだが、まるでそれを諌めるかのように優奈が厳しい口調で咎めた。 明日香はその口調にびくっと震わせ、よく見るとガブリエル側の一年ズ(芳乃除く)も明日香以上に激しい反応を見せていた。 「貴女のような一年に何がわかるといいますの? 何もわからない子どもが口を挟んで、会議の邪魔をしてほしくはありません」 「……話にならない」 「……何ですって?」 「話にならない。そう言っている。元々、私と進藤さんは数合わせでここに来た、というのに数すら必要としていないじゃない。ただ言いたいことを言うだけなら貴女だけでやった方がすこぶる効率がいいわ。わざわざ頭数そろえるなんて労力の無駄」 明日香は怯えながらも咄嗟に優奈の方を見る。 彼女は、玲の鋭い刀で切り込むかのようなズバッと食い込む言葉に面白いように顔色を変え、その顔色は真っ赤に染め上がる。 肩をいからせ、その憎悪に似た光線を放ちそうな目つきで玲を焼き焦がそうとし、その自ら放つ熱で怒髪が天をつきそうな様子だった。 対照的に、玲はまるでそれに反応を示さないどころか、冷気すらも感じさせる蔑みの視線で優奈を見ていた。 「出て行きなさい!!」 「言われるまでもなく。ままごとは、子どものときだけにしときなさい」 資料を無造作に机に放り投げ、すっと席を立つと、玲は手を振ることもなく捨て台詞だけを残し、部屋を後にした。 優奈の怒りの飛び火は、友人である明日香に届き、優奈は再び玲に向けたような視線で明日香を貫く。 明日香もいたたまれなくなり、席を立ってぺこりと一礼を残し、玲の後を追った。
「無駄よ、そんなの」 明日香は、ガブリエルの一角にある自動販売機のボタンを押し、ついさっき出てきたのと今回のとを取り出した。 その一つを玲に投げ渡し、玲は無言でそれを受け取った。 明日香はイチゴ味、玲にはヨーグルト味の、紙パックのジュース。 「あーあ、これで先生たちから完璧に目ぇつけられるのね……」 「校則に違反してなきゃ、問題ないわよ」 「そーゆー問題じゃねーっ! こうして、先生や他の生徒たちから無視されて、いじめに発達していくとかいう恐怖はないの、れーちゃん?」 「ないわ」 「……本当にさっぱりしてるね、れーちゃん」 ストローをパックに刺し、ちゅー、とストローを吸う。 緊張からか、思いのほか喉が渇いていたようで、その水分が身体全体に染み渡るかのような感覚を、明日香は覚えた。 「ふー。落ち着く」 ベンチに腰を落とし、壁に寄りかかると、今までの疲れからかどうかは知らないが、急激に身体から力が抜けていく。 お腹がちゃぽんと音を立てたのを感じたが、あんまり気にしない。 ふと足音が聞こえ、二人はそちらを見た。 そこにいたのは、先ほどの会議のガブリエル側の会長、直美。 彼女はぎょっとした明日香を尻目に自動販売機に小銭を入れ、明日香が買った種類と同じタイプのジュースを購入した。 味はメロンだった。 「いきなり、壮絶な生徒会デビューだったわねぇ、そっちのポニテの子。えーっと……」 「西条玲。れーちゃん。で、私は進藤明日香」 自己紹介なぞしないと予想して、玲の代わりに明日香が簡潔な自己紹介をした。 会議のときのようなノリでやらせたら、玲が自己紹介しない可能性も考慮してのことである。 すると案の定、玲は直美の方を振り向きもせずにストローに口をつけている。 「あ、そうだ南さん。私ら、学校からあんまし良く思われてないんで、多分生徒会に参加するのは今日限りかと」 「それについては後で言うんだけど……ねえ西条さん。さっき、会議で何を言おうとしてたの?」 「……費用の打ち分けで、疑問に思うことがあったの。ガブリエルは武道を主軸と置いていて、なおかつ文化系の部活動にもそこそこの力を加えていると聞いていたわ。だけど、球技や陸上といった部活への費用の割り当てが多すぎるのよ。他にも、その大目に割り当てられている部活の顧問が担当している委員会。これも少し、多すぎるきらいがある」 「うわ、れーちゃん。それって何やら怪しげな犯罪の臭い?」 「その可能性もあるわ」 「……一応あたしも新聞部の端くれだからわかるけど、この面子って慰安旅行企画組」 「南さん。ということは、その費用は教師の自腹ではなく、学校の運営費用から賄われているってこと……だよね?」 「ありがと、西条さん、進藤さん。こりゃ、新聞部のネタにもなるし、少し赤字気味なウチの救いになるよ」 ぺこりと深くお辞儀され、明日香は顔の前で手を振り、玲は一言「別に」と気にかけるようすもない。 というか、明日香は一歳年上にこうも感謝をされるのが気恥ずかしいようだ。 そうしていると再び足音が聞こえ、三人はそちらを振り向いた。 今度は複数の足音みたいだ。 「あ」 「うお」 「あらぁ」 玲の顔を見ると、三者三様でリアクションを返す。 「ガブリエルの一年ズじゃん。えーと、確か藤原さんと犬養さんと片桐さん」 「え、ええ。よろしくおねがいします、し、進藤さんと西条さん」 「すげーよなぁ。あたしじゃ、先輩にあーはでき……」 ちらりと亜紀は、先輩を見て、 「……ませんわ」 急にしおらしくして、直美の反応を見る。 そんな様子に、八重子はうんうんと頷いた。 「大したことじゃないわ。間違っていることを、ただ間違っていると言っただけ」 「それを言える勇気がすごいんだって、れーちゃん」 「そうどす。上下関係があるさかい、八重子はん、亜紀はん、それにうちなんかやと、発言権なんて……」 明日香は玲との関係が少し長いだけあって呆れながら、芳乃は少し興奮した様子で玲に反論した。 玲は鼻で一息つくだけで、反応は返さなかった。 直美は鉄の心臓を持つ玲を見て、改めて彼女への評価を確固たるものとする。 「あ、それとさっき進藤さんが懸念してたことなんだけどね」 「?」 「あれだけしっかりとした意見を言える人がいるなら、あたしたちにとっても貴重な人材だし、なるべく会議に出られるように取り計らってみるよ。毎年、向こうの三年生が高圧的に押し付けてくるから、毎年こっちの二年にとっては頭が痛い話でねぇ」 「同感〜。ああいう先輩を持つと、後輩が苦労するのよねぇ」 一瞬、明日香は生徒会という面倒な仕事を押し付けられることに「げっ」とも思ったが、それよりは今、直美と先輩に対する愚痴をこぼしたい気分なので、忘れ去ることにした。 話してみると、なかなか話が通じる人間で、一応お嬢様らしいのだが、貴族的な雰囲気が苦手らしいので明日香とは気が合った。 すると、同様の意見を持っていたのか、亜紀も二人に呼応するかのように、気軽に話しかけ始める。 八重子がそんな様子に不機嫌な様子を見せたが、三人は気にすることなく会話に没頭した。 「あらあら。仲良くなって」 「大鳥さん。いつの間に?」 気配を感じなかったこともあって、少々睨みつけるように見ていた玲だったが、蘭は空気を読んでいないのか、にこりと笑みを返すだけだった。 「ついさっきですわ、玲さん。わたしも先輩方がこうも大きな顔をされるのは、少々不快に感じておりましたもの」 その場は、ルシファーの二、三年に対する愚痴で盛り上がる。 特に愚痴が激しい明日香と直美なんかは、年功序列など気にすることなく肩を組む始末だ。 「というわけで、私らはもうダチ〜。ランラン、直みん、八重っち、アッキー、芳乃っち、よろしく♪」 「って、貴女は勝手に!! 大体ですね、進藤さんは由緒ある聖ルシファーの生徒なのですから、もう少し気品のある言葉遣いを……」 「藤原さん。プライベートにまで口出しをするのは越権行為よ」 玲がそう言った瞬間、和やかな雰囲気に亀裂が生じた。 先ほどの生徒会でもそうだったが、玲はあまり場の雰囲気を気にしないらしい。 八重子はむっとした様子を見せて、即座に反論する。 「いいえ!! どのような相手にも、上品であるべきです。無作法ですと、相手に失礼です」 「それは人よりけり。むしろそれは相手との壁をつくる結果にもなりかねないし、相手に意見を押し付けるところでもない」 「親しき仲にも礼儀あり、です!!」 「自分の思い通りに人を操る。それが親しい人にするべき行為?」 「大体っ! わたくしのことを八重っちって……」 「ええ、センスないわね」 「れーちゃん。それ酷い」 「えー、いいじゃん八重っち。ねえ明日香」 「ねー、アッキー」 「あーきーさーん……」 「きゃー、八重っちが怒ったー」 「きゃー、八重っちが怒ったー」 「亜紀さんだけでなく、梨壷様(直美のこと)まで……」 こうして、最後は丸く収まり、今年度初の合同生徒会は終了した。 明日香は友人を得て、玲は理解者を得て。 そしてそれが、後の実りになることを、今の二人は知らない。
明日香、玲、瑠奈、芽衣、そして生徒会関係で知り合ってそのまま仲良くなった蘭、そして蘭の友人が一室に集まった。 一応八畳はあるため、これだけの人数が集まってもさほど気にはならない。 だがその一室の大半をクローゼットやベッドで占めているため、一概に広いとも言えなかった。 どこにでもいる少女、明日香の自室である。 「さあて皆様。私たち、聖ルシファー女子高等学校の生徒は、現在苦境にたたされております」 「はあ、べべんべんべん♪」 閉じた扇子を片手に拳を利かせた声をあげ、妙なノリで訴えかけているのは明日香、変な相槌を加えているのが瑠奈である。 「だがそれは仕方のないこと。あえて言おう、私たちは学生であると」 「べべんべ♪」 その明らかにずれたノリに、蘭の友人は苦笑いを浮かべて様子を見るしかなかった。 蘭自身は、明日香のノリというのを理解してきたせいか、笑顔で「あらあら」と呟くのみ。 「だからこそ我々は、真っ向からそれと立ち向かおう。そう。学生最強の敵、テストと!!」 「べん、べん、べん、べん、べん、べん、べん、べべん♪」 「というわけだから、ランランのお友達、みーやんにも参加願った訳であります」 「は、初めまして。わたくし、喜屋武美弥(きゃん みや)と申しますわ」 蘭の友人、美弥は美人という訳でもなく、かといって平凡でもない、魅力的という言葉が似合う少女だった。 その点では、蘭を除く全員がそうだったりもするのだが、まあどうでもいい。 ちなみに蘭に関しては、ここにいる全員が思うに、間違いなく美少女である。 「で?」 「もー、相変わらずれーちゃんノリ悪いなー」 「そうそう。玲は今の状況わかってるの? テストだよ?」 「ええ。そういうわけですから、頭のいい美弥さんにさりげなく知恵をお借りしまして、さらに過去問を元にして練習問題を作ってみたのです」 「「「グッジョブ!!」」」 蘭が、学校に持ってきたバッグの中から取り出した、人数分のコピー用紙を取り出すと、明日香、瑠奈、芽衣の三人が口々に蘭を褒め称えた。 蘭自身も恥ずかしいのかマイペースなのか知らないが、「うふふ」と一言言いながら頬に手を当てる。 それを全員に配ると、明日香が部屋の一角にある時計を、部屋の中央にある折りたたみ式の机の上に置いて時間を確認。 皆が皆、バッグから筆記用具を取り出し、一拍遅れて玲がそれにならう。 「じゃあ今から一教科四十五分。とりあえず今日は二教科ってことで、合間に休みを十分挟んでやろう」
蘭が皆が行った練習問題を回収し、赤いペンで正否を書き込んでいく。 一同に安堵の雰囲気が漂い、特に勉強慣れしていないであろう明日香と瑠奈の二人は机の上に突っ伏している。 「どうだった、瑠奈っち? 私は全っ然……」 「あたしも……。芽衣は?」 「そ、そこそこ、かな? き、喜屋武さんは?」 「わ、わたくしですか? そうですね……まあまあでしょうか。西条さんは?」 「知らない」 弛緩した空気の中で、明日香と瑠奈は机につっぷしていたのだが、ここにきて身体を横にしてリラックスモードとなる。 芽衣はもともと生真面目な気質だからか、足こそ崩しているが、姉のような真似はしないみたいだ。 そしてそんな真似を呆れたような目で見るのは、生粋のお嬢様だという美弥だった。 玲はというと、正座をぴしっとしていて、まるで茶道か弓道なんかをやっているかのように、ただじっと座っているだけだった。 むしろ美弥にとってはそんな玲の方が見慣れていたので、玲を見てちょっとだけほっとした様子を見せていた。 そんな中、部屋をノックする音が響いた。 「明日香。おやつ、持ってきたわよ」 「あ、はーい」 明日香は起き上がり、扉の向こうにいる母親との小声の会話の後、机の上に大きめのお皿を置いた。 どこにでもある市販のお菓子が、適当に盛り付けられている。 現在添削をしている蘭、そして玲と美弥は動かないが、残りの三人は即座にその皿に手を伸ばした。 玲もそれにならってぽつぽつと手を伸ばし、美弥は何故かきょとんとした様子でお菓子を見つめている。 「あ、おいしい」 「そう、れーちゃん? どこにでもある普通のお菓子だと思うけど……」 「私、お菓子って食べたことないから」 「……それって」 「母が四六時中そういうのをむさぼってるのを物心がついたころから見てるから、あんまりいいイメージがないの」 「……あたし、玲の家族を見たくなってきちゃった」 「瑠奈っち、それ同感」 「あ、あの、さ、西条さん。も、もしかしてお母さん……」 「過食症よ、芽衣さん。食べるとこと寝るとこしか見たことないし、生まれてから一度も言葉を交わした覚えもない」 玲はいつものペースで喋っているが、その瞬間、空気が凍りついた。 母親と言葉を交わしたことのない子どもが、今の世の中にどれくらいいるのだろうか? 特に美弥は一人っ子だからか、母親の愛を一身に受けている身であるが故に、玲の言葉は冗談としか思えない。 「……じゃ、じゃあれーちゃんっていつもレトルト食品でも食べてたりする?」 「自分で作るわよ。レトルトは栄養が偏るし」 「てことは、いつもれーちゃんが食べてる弁当って」 「他に誰が作るというの?」 「……れーちゃんって、見かけによらず家庭的なんだね」 そこで玲は「そう?」と軽く首を傾げたが、皆が皆、料理すら作ったことのない人間の集まりだったため、うんうんと深く、そして何度も頷いた。 というか玲は料理どころか、掃除、洗濯などの家事全般をこなしていると聞いて、さらに一同の関心を浴びた。 明日香は一般的な、母親に家事を全て任せる娘。 瑠奈、芽衣姉妹に関してもそれは同様だ。 蘭や美弥に関してはお嬢様ということもあって、家事全般を任されたことなんてないし、したこともない。 そういう点では、玲は特異な存在であった。 もともと、ここまでクールでドライな性格は特異なものであるが。 「添削、完了しましたわ」 世間話に花を咲かせていたが、蘭の一言で全員の視線は蘭の方を向く。 そんな蘭はまず、明日香に視線を合わせた。 「明日香さんは……えーと、努力次第でしょうか?」 勉強する期間に入ったとはいえ、まだ時間があるため、勉強をしていなかった明日香の点は、ほとんどがテストの四分の一しか取れていなかった。 勉強をすればマシになるとはいえ、これだけの点しか取れない事実に、明日香は笑うしかない。 「美弥さん。いいですね! 流石は学年13位です」 「大鳥様の方が、すばらしいのではありません? 学年3位ですし」 「うふふ。わたしは、過去問を手に入れられますからね」 美弥は授業の中で理解するタイプらしく、多少勉強しなくてもそこそこの点は取れる。 さらに彼女は予習も欠かしていないことから、当然といえば当然の結果である。 「瑠奈さん……もう少し頑張りましょう」 「……はーい」 瑠奈は、明日香と大差なく、まあほんのちょっとだけよかった程度である。 例え自分より悪い明日香を笑ったところで、五十歩百歩なのだから。 「芽衣さんは……普通?」 明日香や瑠奈よりも、いい点を取っているのが芽衣だ。 ただ要領が悪いだけなのだから、勉強の仕方さえよければこのくらいは当然なのかもしれない。 そんな芽衣は、姉に向けて「どーだ!」と言わんばかりに胸を張っていた。 微妙に内弁慶らしく、そんな芽衣を見て明日香は苦笑いを浮かべる。 「で、玲さん。……本気ですか?」 「ええ」 その意味深な蘭の言葉に、玲と蘭以外の面々は首をかしげる。 蘭の様子はどこか呆れているのか、同情でもしているのか、判断がつきにくい表情だし、玲はいつもの鉄面皮なので判断のしようがない。 で、蘭が差し出したテストの数々を見て、一同は蘭の表情の意味に気づくのであった。 「れーちゃん……」 「これって……」 「なんか、凄く意外……」 「あ、あの……西条様?」 玲が行ったテストは、全部が一桁で、最悪0というものまで存在していた。 いくら難しいテストでも、生徒の基礎を見るべく簡単な問題はいくつか存在するはずだ。 だが玲はそれすらもまったく当たる要素がなく、見当違いの解答だった。 間違いなく、ここにいる中で最低であった。 「わからないものを、正しく答えられるはずもないでしょう?」 「いや、そーいう問題じゃないって、れーちゃん。この問題って、受験とかでもやるような問題もあるよ?」 「だって私、裏口入学だから」 玲の発言に、一同がぎょっとした表情で玲を見た。 次の瞬間、玲はしれっと、 「嘘よ」 「……真に受ける冗談はやめて」 呆れながら、瑠奈は冗談が下手な玲を諌めた。 常に真顔で、傍から見ればジョークの一つも言わないようなタイプであるがために、一同はシンクロして頷いた。 「ええと、ですね」 玲のことをからかったりと、日常的な談笑が行われ始めたすぐに、蘭が口を挟むように言う。 玲が行ったテストのうち、現代文を取り出して、それを玲に見せるようにして机において注目させた。 「漢字の問題は、まあまあの出来みたいです。ですが、他が……」 「人の気持ちなんて、そう簡単にわかるものじゃない。人によって感じ方なんて千差万別。答えなんてないわ」 漢文。 「……コメントの仕様もないです」 「何語、って感じね」 古典。 「……」 「……」 その他、数学T、A、物理、化学、生物、日本史(ちなみに、玲と蘭が日本史、他四人は世界史専攻である)と、全てがぼろぼろであった。 唯一マトモそうな英語は、書いてある意味がわからない、と日本語の説明の方を批判していた。 何でも、関係代名詞などとかを知らないらしい。 「もしかして、玲さんって英語、話せます?」 「ええ。父からクィーンズ・イングリッシュを習ったわ。書きは習ってないけど」 実際、帰国子女とかは、日本で習う関係代名詞などといった用語に関して、知識のない者は少なからずおり、玲もその一人のようだ。 蘭も英語は達者で、外人との接触もあるが故に、すぐに玲が言う意味を理解したのである。 しかも書きを習っていないとなると、書きを重視する日本の英語勉強に関して言えば絶望的である。 もっとも、何故日本が英語勉強に書きを重視しているかというと、明治時代に海外の学問を取り入れる際に書物から知識を手に入れていたからという背景があるのだが、まあそれは関係のない話である。 兎にも角にも、コミュニケーションのみに英語を使う玲では日本の英語は取っ付きにくいものだということだ。 「流石にこれは重症ですねぇ。明日香さんたちには悪いですけど、わたしと美弥さんでつきっきりで教えないと進級も危ういかもしれません」 「蘭様、わたくしは強制!?」 「美弥さんは、ご一緒なさってはいただけませんの?」 「あ、いえ、そういうわけではないのですが、唐突だったもので」 というわけで、玲をみっちりしごく蘭先生と美弥先生のスパルタ授業が始まるのであった。 明日香たちも、玲の勉強の出来を見ていたからこそ、仕方ないと思う。 三人は今回の過去問を再び見直して、そこから類推される問題やその傾向をチェックする。 しばらくは、お菓子をつまみながらそんな状況が続いた。
「ねー、明日香。ゲームやろ」 「お、いいねぇ」 早速ダウンしたのは、明日香と瑠奈の二人だった。 何もわからなければ、我武者羅に勉強するしかないため勉強量が増加するのは必定なのだが、逆に問題傾向がわかると勉強の内容が絞ることができ、それ故に出来る気になってしまうものだ。 この二人もその例に漏れず、もう大丈夫的な感想を抱いてしまっていた。 「もう……お姉ちゃんったら」 全員が、根気のない二人に呆れていたが、特に芽衣はその傾向が強い。 日ごろから姉が、適度に手を抜き、それでいて自分と同じくらいの成績を取っているからこその嫉妬も混じっていて、芽衣の表情には呆れの他にも怒りの色も混じっている。 玲は勉強が出来ないとはいえ、文句一つ言わずに黙々とこなしている。 二人の様子にも、顔色一つ変えず、またいらない紙に蘭や美弥が言う重要なことを書き込んでいく速度の遅滞もない。 表情も不機嫌なものでなく、むしろいつもの無表情に比べると柔らかなものだ。 「あらあら。玲さんはやる気になっているというのに」 「あ、あ、あの、お、大鳥さん。そ、その、ですね、ここなのですけど……」 「芽衣さん、ここですか? そこはですね……」 「喜屋武さん。これでいいの?」 「あ、はい。いいと思いますよ、西条様」 「別に、様なんてつけなくてもいい。私は偉い人間って訳でもないし」 「……では……西条さ……ん」 こんな調子で、合同勉強の一日は終了したのであった。
最初の内、明日香と瑠奈の二人はまだ大丈夫だろうと考えていて、時折ゲームや漫画やらに手を出して勉強をストップしていたのだが、テストが近づくにつれてその頻度は減っていった。 蘭と美弥の二人は顔を出さないこともあったが、出たら出たで玲や芽衣から質問の嵐が舞い込んでくる。 本人の復習も兼ねて、二人は玲たちの質問にしっかりと応じていた。 そしてテストの日もあっという間に過ぎていき、テストも返却。 今日は、明日香の家で成績の見せ合いっこだ。 「いっせ〜の……」 「「「「「「せっ!」」」」」」 一斉に出されるテストの点を見比べる一同。 不思議な沈黙が辺りを包み、心地よい緊張感が漂う。 「一番ですね」 蘭はピースして、胸元に自分のテストを引き入れた。 ほとんどが90点台半ばであり、英語に至っては100点なのだから当然かもしれない。 「二番ですわ」 続いたのは、美弥。 美弥はほとんどが90点台で、時折80点台程度のものなのだから、順当な順番である。 「胸を撫で下ろす三番」 ほっと一息ついて、自分の点数に満足しているのは芽衣。 元々勉強が出来ないのではなく、要領の悪い彼女なのだから、要領の面を蘭たちにカバーして貰った結果、といったところか。 「あ、あぶな……。ぎりぎり四番」 点数に関しては妹同様に満足いくところだが、彼女に続く面々がほぼ横一線ということもあり、瑠奈は冷や汗をかいた。 学年での平均点は超えているのだが。 「なんとか五番」 そしてそれに続いたのは、意外にも玲だった。 蘭が実施したテストで最悪だった点数は姿を消し、玲の点数は明日香や瑠奈のそれと大差ない。 平均点は二人に劣るが、やはり英語の98点が大きかった。 「ビリッケツ……」 そして、絶対に玲に勝てる自信があった明日香は途方にくれていた。 彼女も平均点はそこそこだったはずなのだが、玲の成績が伸びすぎているのが敗因であった。 もっとも、時折勉強をさぼっていた明日香と、暇があったら勉強をしていた玲だったので、この差は決して埋まらないだろう。 「だー! もうヤケよヤケ!! 『カフェ・ド・リリアン』でケーキをヤケ食いする!!」 「そういや、ケーキバイキングのイベントがあったっけ。テストも終わったし、明日香の案に一票」 「わ、私も行きたい……」 「じゃ、瑠奈っちと芽衣っちは参加、と。れーちゃん、ランラン、みーやんはどうするの?」 「別に構わないわ」 「おいしい紅茶が飲みたいですし、構いません」 「わたくし、そのような店はあまり……」 「ふーん。でもみーやん。ああいう店で食べるケーキって格別よ! 瑠奈っちと芽衣っちの誕生日もテスト前でいけなかったから、そのついでも兼ねて、皆でレッツラゴゥ!!」 「「ついでなの!?」」 こうして、高校生たちの第一次テスト大戦は終わった。 その開放感に浮かれる者、呆れる者と六人は様々。 だからこそ一人一人の違う音色は、互いを際立たせ、また自らをも際立たせる。 時はまだ五月。 その六つの音色は、さらに美しく鳴り響く……。
一人称が「アタシ」だった人がいたので……って、瑠奈の一人称は「あたし」じゃないかっ!(本当にこれを書いてて気づいた・笑) まあ、平仮名だろうが片仮名だろうが、発音は同じなんだし、まあいいか。 ともあれそれを考えて、少し言葉遣いを明日香よりくだけて見せたのが瑠奈である。 そこから性格をいじるものの、彼女も明日香と同じくごく普通の女の子。 というわけで明日香とはよくウマが合う。 家族は両親と双子の妹(芽衣)の核家族。明日香同様に祖父母も生きてます。 髪短めだけど、明日香と違ってタッパがあり、身長は165あったりします。 体重は55kgで、少々お腹周りを気にするお年頃。 好きなものは某グループ“無礼”、嫌いなものは腐女子。 実はツッコミ役だったりします。
芽衣「お、お姉ちゃん……」 瑠奈「あーいいよ、フォローはいらないから。何かと明日香とかぶるところも多いし。違うところって言ったらツッコミ?」 芽衣「し、進藤さんもツッコむよね」 瑠奈「……」 芽衣「……」 瑠奈「あ、あとだけど、髪型も面倒だからって言われて、名前の元ネタからショートでいいやって……」 芽衣「わ、私も……」 瑠奈「……」 芽衣「……」 瑠奈&芽衣「作者のバカー!!」 芽衣「……わ、忘れてました。じ、次回第三章「飛鷹芽衣」を、お、お楽しみください」
「学生にとっては退屈な一ヶ月、それは六月。 |