投稿小説だぜ

松永和泉さま作

『戦え! FANG GUNNERS!』外伝

Nuova Legenda〜新しい伝説〜

第一話


「人間集めて結成の巻」

◇とある日の夜◇


県立六甲山高校に通う朝霧舞子は自宅の部屋でぼーっと本を読んでいた。

亜麻色の髪の下の顔はスッキリと整っているがやや大人びて見える。

コンコン、ドアをノックする音が聞こえた。

「入るでー」

兄の声だ。ガチャリ、ドアが開き兄が入ってきた。

「あ、勉強中か。すまんな。これを渡してすぐ出るわ」

と一枚の紙を舞子に手渡した。

『全国高等学校サバイバルゲーム選手権大会』と書かれてありその下には色々と字が並んでいる。

「こないだ模型屋行った時にあの店長さんから貰うてん。けど俺は出られんからお前にどう、て思たんやけど」

兄は大学生なので高校生対抗と銘打ってある大会には出られない。

「…考えてみるわ」

「そうか。出るんやったらある程度のフォローはするで」」

兄はサバゲーに関しての知識は舞子より多い。舞子も人並み以上の知識と腕はあるが。

「ほな、邪魔したな」と兄はそそくさと部屋を出て行った。

舞子はレギュレーションで「メンバーは6人」という文を見てひっかかった。

「6人…私を除けばあと5人、か…面白そうやん」


◇翌日◇


県立六甲山高校に通う楠多聞は駅のホームで列車を待っていた。

身長はやや高め、眼鏡をかけていて少し線が細い感じだがどこにでもいそうなごく普通の高校生である。

ただ関西弁と広島弁が混ざった変な喋り方をする事以外は。

その手には吉川英治の小説「三国志」を持って文を眼で追っていた。

平時の通勤通学時間にはまだ少し早いためホームはあまり混雑していなかったが程々に電車を待つ列ができていた。

「電車が参りまーす」というアナウンスの後、すぐ近くで「どこ触ってんのよ!」と女性の声が聞こえた。

多聞は思わず顔を上げた。無意識にどっか触れてしまったのではないかと思ったからだ。

しかしその直後、多聞の斜め前に立っていた女子高生がすぐ後ろに立っていた(多聞の隣になる)背広姿の男性に向って上段廻し蹴りを放っ ていた。

すらりと伸びた足から繰り出された蹴りは男の頭にクリーンヒット。

蹴られた男性は失神KO。

何故か多聞も失神KOするところを何とか堪えた。

というのは多聞が顔を上げた時に蹴りを放った女子高生のスカートの中が見えてしまったからである。

(*#%$&!)

中が見えた瞬間本を落としそうになったがとにかく平静を装う。

列車が止まりドアが開き降りる人の波ができる。

波が途切れたところで列車に乗り空いてる席を探す。

ラッシュ時間とずれているため空席が目立ち簡単に座れた。

(朝っぱらから激しいなぁ・・・けどちぃとよかったかも・・・)

少しぼーっと考えたあと持っていた本を広げようとすると男性をKOさせた女子高生が横に座った。

ショートカットの髪、長い手足、いかにも活発そうである。

多聞に向ってこっそり一言、

「さっきウチが蹴りいれた時スカートの中見たでしょ」

目の動きが止まり多聞は女子高生の顔を見て慌てて否定した。

「!! 見てません見とらん見とりゃあせん!」

「見えてしまった」のだが「見た」と言ってしまうと一撃で男性を倒した蹴りがまた飛んできそうだ。

「じゃあ何色やった?」

「えっと…(確か…)」

「考えてるって事は見たんやね…」

その女子高生の声は笑っているが顔を見ると目は笑っていない。

多聞は相手の術(誘導尋問)に落ちてしまった。

「はっ! え〜、あの〜、それは…」

口ではしどろもどろに言い訳をするが体は無意識に何が来てもいいように「受け」の構えを作っていた。

小さい頃より少林寺拳法を習っており腕っ節もそれなりにある。

ちなみに少林寺拳法は「攻撃」よりも「防御」を重視している。

多聞が蹴りを覚悟した時、女子高生から発する殺気が消えた。

「ん? うっとこと同じか、それも1年か。んー、同じ高校の後輩という事で今回は特に許してつかわす」

制服についてた校章が目に止まったようだ。

「へ?」

事情がよくわからず頭から「?」がいくつか浮んでいる。

「クラスと名前は?」

多聞にしてみれば先輩に当たる女子高生が聞いた。

「1年3組、楠多聞ですが…」

「そっか、覚えとくわ」

やがて電車が駅に止まりドアが開くと同時にその女子高生は降りていった。

(ふぅ…何やよぉわからんけど助かった…)

多聞はそう思いつつまた本を読もうと取り出そうとした時に動き出している電車の窓から駅の名前が見えた。

「!! ちょっ、ちょお…」

降りるべき学校の最寄駅だったのだ。

だから女子高生が降りたのである。

朝から大変な一日になった多聞であった。


◇その日の放課後◇


高校の放課後、生徒は三々五々と散っていく。

クラブに参加する者、そのまま帰る者。

グラウンドでは生徒がクラブ活動に勤しんでいる。

グラウンドの隅のテニスコートにいる舞子もクラブ活動に参加する一人であった。

彼女はテニス部に所属している。

練習の合間の休憩でぼんやり休んでいると声をかけられた。

「何ぼーっとしてるの?」
 
同じクラスの友達、3年の有馬摩耶だった。

長く黒い髪をなびかせておしとやかにやってきた。

1年の時に同じクラスで出席番号が1番2番だった事で会話が始まり中学時代はお互いテニスをしていたという事で一気に打ち解けた。

面倒見がよく姉御肌な舞子、お嬢様でややか弱い感じのある舞子、不思議とウマが合った。

それ以来親友と呼べる仲である。

「摩耶か、何でもないよ」

その時昨日のサバゲーの事でちょっと考えていたのだが誰を加えるかで悩んでいた。

『人数が揃えば出てもええが…心当たりは一人おるが他は厳しぃやろなぁ…』

有馬摩耶をサバゲーに誘おうという考えはない。

おっとりお嬢様タイプの彼女が銃を持った姿は全く想像できない。

「舞子先輩、摩耶先輩、どうしたんですか?」

とやって来たのは後輩の2年小野柄若菜である。

猪突猛進、竹を割ったような性格で何も考えずに発言、行動してはたまにトラブルを起こす事で有名。

空手の有段者でもあるので軟弱な男よりも強いかもしれない。

「あ、ちょっと聞いて下さい。ウチ今朝また痴漢をやっつけたんです」

「おー、また退治したんか。どんどんやってよし」

と上機嫌の舞子。

「この前は『腹立ったから病院送りにしてやった』って言ってたけど今日は手加減したの?」

と痴漢か若菜、どちらを心配しているのかわからない摩耶。

二人とも「またか」という表情で特に驚きはしない。

「今朝は蹴り1発だけなんでべっちょないと思うんですが…それでー、その時…」
 
「おーい、練習始めるでー」

その時周りから声をかけられ話は中断してしまった。

『若菜はまず確定やな』舞子は決めた。

こんなに元気が余ってるなら使ってやろう。

「若菜、練習終わったらマクダに寄ろう。ちょっと話がある」

「いいですよ、その代わりおごって下さいねー」

「抜け目ないな」

「わたくしも一緒に行ってもいい?」

とおもむろに摩耶が言った。若菜への話が気になるのだろうか舞子は少し意外だった。

「うーん、ま、いいか。3人で一緒に行こ」

話がまとまり3人は練習を始めた。


◇練習終了後◇


駅にあるハンバーガーショップ「マクダニエル」でそれぞれハンバーガーとドリンクを持って席に着いた。

「舞子先輩、ごちになります」

「よろしゅおあがり」

「ところで話って、なんですか?」

ハンバーガーとドリンクをそれぞれの手に持ちつつ若菜が聞いた。

「サバゲー、サバイバルゲームって知っとぉかな?」

「何か、銃で撃ち合うヤツですか?」

「銃で撃ち合う戦争ごっこをスポーツにしたようなもんやね」

「ちょっと面白そうですね」

若菜は少し反応した。

(やっぱ食いついたか、もちょっと乗り気にさせよ)舞子は心の中で思った。

「今度その高校生の大会があるんやわー、それに出ようか思ってんやけどメンバーがおらんくてなー」

「大会て事は全国大会もあるんですか? それで優勝したら日本一ですか?!」

若菜は一人で興奮し始めた。男勝りな性格は「優勝」とか「日本一」という単語に反応するのだろうか。

「もちろんあるし優勝したら日本一になれる、けど…ぽっと出て優勝でけるほど甘ないで」

「そりゃそうでしょうねぇ、ウチなんかルールすら知らんのですから」

「ルールは後でええよ、とりあえず一緒に出てくれんなら私が色々と教えたげるけどさ」

「よっしゃー、頑張りますー」

小野柄若菜、確定の赤ランプ。

今まで横でずっと黙って聞いていた摩耶が口を開いた。

「わたくしもやってみたいけどいい?」

「へ?」

「え?」

舞子と若菜は驚いた。お嬢様な摩耶がサバゲーしたいという。

「うーん、結構キツいで。動き回ってしんどいし銃は重いし弾は当たったら痛いし…」

舞子は驚きを隠せない様子でやや否定的に喋った。

「構いませんよ。話を聞いてたら興味が湧いてきたんでやってみたいな、と…人数は何人いるの?」

摩耶の意思は硬いようだ。このお嬢様は頭の回転は割と速い方である。

「6人が一チーム、この3人がメンバーになってもあと3人はいるね」

「あと3人」と言われて少し考えていた若菜が唐突に言った。

「美幸と郁華を誘いましょう! 彼女らは結構体力あるし体動かすん好きやし」

「呼べるん?」

舞子は半信半疑である。

「大丈夫です! これで5人…あと一人はウチが心当たりあるんで引っ張ってきますけどいいですか?」

「んー、じゃあ若菜に任せるわ。これでうまい事いったら6人揃ってチーム結成にこぎつけそやな」

若菜に太鼓判を押されて舞子もその気になってしまいメンバーに入れてくれた摩耶もニコニコとうなずいている。

「もうこんな時間、そろそろ帰りましょうか」

ふと時計を見た摩耶はいそいそと帰り支度を始めた。

それにつられて舞子も若菜もテーブルの上を片付け始めた。

その日の夜、摩耶も若菜もインターネットで『サバイバルゲーム』と検索したのはいうまでもない。


◇次の日の朝◇


楠多聞は昨日とほぼ同じ時間に駅のホームで列車を待っていた。

手にはもちろん「三国志」である。場面は関羽千里行である。

アナウンスのあと列車がホームに入りドアが開き本を読みながら空いている席に座った。

「おっはよ! なかなか熱心やねぇ」

突然横に座った若菜が声をかけてきた。

「(ビクッ)!! お、おはようございます」

全く気付かなかった多聞はビックリして思わず本を落としてしまった。

自分の世界に入っているときに横から突然声をかけられると誰でも驚くであろう。

本を拾いつつ若菜の顔を見る多聞。

「突然やけどー、『サバイバルゲーム』って知っとぉー?」

少し甘えた声で若菜が多聞に聞く。

「おもちゃの銃で撃ち合う戦争ごっこの事ですか?」

「ご名答。そのくらい本読んでればわかってるわね。どぉ、やってみぃひん?」

「へ?」

多聞はまたも驚いて本を落とした。

「ウチらと一緒にサバゲーせぇへんかー、って事」

「う、ウチらって…誰ですか?」

「ウチとぉー、ウチの先輩二人とぉー、同級生二人と、多聞君とで、さ」

既に頭数に入れられてるようだ。

しかも同級生二人はまだサバゲーの「サ」の字も話していないのに、である。

「と、ところで先輩のお名前は?」

「ウチの名前? 小野柄若菜よ。そぉゆう本読んどったら戦術とか戦略とかに応用できるやん」

サバゲーには戦術や戦略も必要というのも昨日ネットで調べていた事である。

「君を三顧の礼で軍師として迎えてあげようじゃないか!! 君は孔明、私は劉備!」

多聞が「三国志」を持っているのを見た若菜の口からとっさに出た言葉である。

若菜も「三国志」について少しは知っている。

そこで多聞は少し考えた。

(軍師…ええ響きやなぁ…ワシが諸先輩方を動かすんか…ちとええかも…ところで関羽と張飛はどこの誰?)

一方こんな考えも浮んでいた。

(この場で断ったら昨日のオッサンみたいに失神KOさせられるかもしれん…)

(かといって戦うわけにゃあいけん、仮にも一つ上の先輩やし…)

すばやく頭を回転させて一つの結論を導いた。

「わかりました。その話確かに承りました」

「て事は、すんの?」

(「する」ぅて何かヤらしい表現やなぁ)「です」

(とりあえずその場では一緒にするて返事しといて後々うまい事言うて断ろ)

これが多聞の本音である。

拉致同然にメンバーに入れられて「サバゲーしよう」って言われても誰だって面食らうだろう。

しかし多聞自身体を動かす事は嫌いではない。

「何故そんなめんどくさい事をせにゃいけんのや。嫌やな」と思う気持ちの方が強かった。

「そーゆうてくれる思うたわ。ほな一緒にがんばろや。目標は高校『日本一』やで!」

若菜はそう言って慌てて電車から降りた。

(え…『日本一』て、あの人本気で言うてんか…? ひょんな事からエラい事に関わってしもたなぁ、ふぅ…)

電車が動き出し本を読み出そうとした時、電車の窓から駅の名前が見えた。

「えっ?! ちょっ、ちょおー! またかー!」

昨日同様乗り越した…

朝から精神的に疲れた多聞であった。


◇その日の昼休み◇


若菜は舞子に『美幸と郁華を必ず引っ張ってくる!』と大見得を切ってしまったので二人の了解を取り付けねばならない。

東雲美幸と神仙寺郁華は若菜と同じクラスである。

若菜と美幸&郁華とはものすごく親しいわけではないが同じクラスという事で持ちつ持たれつ(ノートの貸し借りなど)のお友達である。

東雲美幸は物静かでおっとりタイプ、背中まで届く黒髪と穏やかで整った顔立ちは着物を着て演歌を歌わせたらさぞ似合うに違いない。

一方の神仙寺郁華はいつも明るく冗談を言っては周りをよく笑わせるのだが身長がやや低く童顔のため中学生に間違われる事もしばしば。

以前親戚から「まだ小学生か」と聞かれた時はかなりへこんだらしい。

この二人は家が近所で幼馴染、同じ幼稚園、同じ小学校、同じ中学校、同じ高校、と10年来一緒である。

そのためいつも二人一緒に行動する事が多い。

この日の昼食の時間に若菜はいつものように美幸と郁華が隣り合って弁当を食べようとするところにお邪魔をした。

「一緒にえーかな?」

「あー、どーぞどーぞ」

郁華が鷹揚に応じる。

「どうしたの若菜ちゃん、いつもは食堂に行くのに?」

美幸が不思議がる。

「今日はちょっと、ね。君達を親友と見込んで頼みがある」

「何で今頃改まってんのさー、熱でもあるんじゃないの?」

郁華が茶化す。

「じゃ、単刀直入に聞くわ、サバゲーて興味ある?」

美幸「何それ?」

郁華「聞いた事ある、した事はないけど」

「聞いた事あるんやったら話が早い。どぉ、せぇへん?」

「私聞いた事ないんやけど…」

おずおずと美幸が反応する。

「実はウチも全然知らんくて昨日初めてクラブの先輩に『せぇへんか?』言われたんよ。けどさ、ウチてこんな性格やから即答で『やりま す!』て言うてしもうたんよ」

「ふんふん」

郁華が相槌を打つ。

「それでネットで調べてたらなかなか面白そうや思たんよ。銃で撃ったら気持ちよさそやし。映画みたいにマシンガンでダダダダダーッて ね」

「それはちょっと面白そう」

食いついたのは「興味がある」と言った郁華ではなく「何それ?」と言っていた美幸だった。

「女の子がしない事をするのも面白いかもしれないね」

「う、うん。面白いと思うで。郁華はどう?」

自分の予想した展開と少々異なってやや動揺しながらも若菜は相槌を打つ。

「美幸と若菜がするんなら私もやってみよっかな」

「よっしゃ!決まった。これで全員揃った!」


◇その日の放課後◇


クラブ活動、というよりメンバーが揃った事を舞子に伝える為に若菜は練習に参加した。

「残り3人の了解を取り付けました」

「! でかした、ほめてつかわすぞ」

6人揃って大会に参加できる事になったので舞子も少しうれしそうだ。

「ありがたき幸せにござる」

若菜も合わせる。

「そしたら一度集まっていろいろ打ち合わせとかしたいね」

すかさず摩耶が提案した。

ただメンバーが6人揃っただけで装備はおろかチーム名すら決まってないのだ。

大会出場云々以前の問題である。

「そうやな、チームのメンバーを集めて色々相談せなあかん事がようけあるさかい」

舞子は打ち合わせをする事に賛成した。

「それじゃ次の日曜日はどうでしょうか?」

「そうやな、メンバーの気の変わらんうちにさっさと決めてしまおか、摩耶はどう?」

「わたくしは大丈夫、他の方はどうかなぁ?」

「べっちょないです!有無を言わせず首根っこ掴んで引っ張ってきますから!」

舞子にほめられて若菜も強気になっている。

「よっしゃ!次の日曜日、駅前のファミレス『ロイヤルゲスト』に1時集合、でどや?」

「わっかりました!他のメンバーに伝えておきます」

3人は練習に参加し始めた。


◇次の日の朝◇


楠多聞は昨日とほぼ同じ時間に駅のホームで電車を待っていた。

手には「三国志」を持ち活字を目で追っている。

が、あまり集中できない。

(いつもこの時間には若菜ねーさんが来てあれこれしゃべるんやけど今日はおらんみたいやな…おらん方が静かでええけど)

何事もなく電車が来て乗った。電車が動き出すと安堵したのか本に集中し始めた。

この日は結局若菜は現れず久しぶりに学校の最寄駅で降りる事ができた。

これが当り前なのだが。

駅を出たところでちょうど同じ列車に乗り合わせていたと思われる友人に出会い話しながら学校に向った。

10分ほど歩いて学校に辿り着き校舎の玄関にある下駄箱で上履きに履き替える。

上履きを取ろうと下駄箱の扉を開けると手紙がひらりと出てきて多聞の足元に落ちた。

「?」

封筒には何も書いていない。

「何? 今時ラブレター? 何て書いてあんの?」

友人が茶化し拾おうとする。

(もしかして…)

この時多聞の頭の中を一瞬嫌な考えがよぎったが友人の手より早くすばやく拾い上げ平静を装い上履きに履き替える。

「後で読む…」

「つまんねぇな」

友人はさっさと行ってしまった。


その日の昼休み、多聞は教室を離れ一人グラウンドの隅のベンチでパンをかじりながら朝の手紙を開いた。

グラウンドには人がぱらぱらといるが多聞のいるベンチには人はいない。

人がいると何を言われるかわからないからである。

「…やはり…」

予想してた事が的中したとはいえうれしくはなかった。

「次の日曜日の昼の1時半、駅前のファミレス『ロイヤルゲスト』に来てね(はぁと) 若菜」

若菜からのラブレターというより呼び出し状に近い…。

しかも知ってか知らずか赤い紙に書かれてあるのでまさに「赤紙」である。

これこそ召集令状、敵前逃亡(?)には失神KOの刑が待っているだろう。

「ふぅ…」

週末が一気に憂鬱になった多聞であった。


続く



☆オマケ☆


とある日曜日の明石市内の某ファミレス、昼の12時半。お昼時という事もあり店の中はかなり混雑している。

松永和泉(以下松):遅れてごめんよー。姫路(競馬場)に馬券買いに行ってたら時間かかってしもてねぇ…

朝霧舞子(以下朝):時間に正確な松永さんが遅れるなんて珍しい(とニヤニヤ笑う)。待たせたんやからお昼ぐらいはご馳走してもらわん とねぇ。

松:それぐらいはしますがな。(店員が注文を取りに来る)あ、ビーフカレーとドリンクバー。

朝:奢りだから…スパゲティアラビアータとポテトサラダ(ドリンクバーを既に注文済み)。 (二人ともドリンクを入れに中座)

松:で、今日お呼び出しのご用件はなんでしょうか? おねいさん。

朝:えっとね、大体こーゆーのって普通は作者から色々と聞くでしょ。

松:んー、そーやね。普通ならワシが聞いておねいさんが答える、と。

朝:今回は私が作者さんに聞くの。逆取材!

松:なるほどね。んー、別に構わんよ。

朝:よっしゃ(手帳をだして広げつつ右手にはペンを持っている)、では早速第一問! 松永和泉さんのお年とその名前の由来は?

松:んー、数えで30歳。親戚に松永っていう名前がいてあとミッキーのファンだから。和泉はその親戚が泉州堺に住んでるから。

朝:私と一回りも違う。おっさんだー。ミッキー? ネズミの国のアレ?

松:フン、何とでも言え(やや怒り)。松永幹夫(まつながみきお)の事。競馬の騎手。Gの清原と同い年だが全く見えない。

朝:今日もその松永って騎手を買いに行ってたん?

松:違(ちゃ)うよ。ミッキーはあんまり買わん。追えないから。

朝:当たったらまたご馳走してね。でも「和泉」って感じやないね。

松:当たったら、ね。これは小説用のHNであって何気なく考えただけやから。

(注文した料理が届き口よりも手の動きの方が多くなる)

朝:それじゃ第二問。何で小説を書き始めたん?

松:元々文を書く事自体嫌いやなかった。けど上手くはないし大好きでもない。どっかでかけた時にちょこっと紀行文を書いてHPにアップ してたから。

朝:旅行記と小説は全然ジャンルがちゃうけどなぁ…

松:とりあえず下手なりに頑張って書いてみよかと思い立ってみたわけ。

朝:最近はどこ行った旅行記を書いたん?

松:京都。京都御所と晴明神社と霊山歴史館、明治維新史跡公園。ちょっと前に千葉に行った事も書いた。

朝:千葉! また遠いとこ行ったなぁ。

松:物好きやからな。それもバイクで行った。往復1200キロ。

朝:キ@ガイだ…ま、第三問、松永さんの趣味は?

松:読書、競馬、バイク、釣り、ガノタ…うーん、それぐらいやねぇ。

朝:え゛? ガノタって趣味なの…? 結構多趣味なんですねぇ。

松:競馬と釣りが一番の趣味で読書は仕事の合間に読むぐらいやしバイクは主に通勤で。ガノタは松戸も行ったし仙台も行ったし。

朝:松戸? 仙台? 何かあんの?

松:松戸はバンダイミュージアムがある。仙台には「ジオン」って言うガノタなバーがあってごっつ「濃いー」店やった。

朝:馬鹿だ…で、第四問、私のモデルって誰?

松:近所に住む知り合いのおねえさん。

朝:どんな人? きれい?

松:きれい。性格は面倒見がよく姉御肌。やや派手好みでおきゃん。実は人妻。

朝:私って年増の人妻やったん…(顔が紅潮しこめかみに怒筋が浮き上がる)

松:(年増とは言うてへんけど…)…

(気まずいまま終わる)


次回予告

「あれよあれよで人だけは揃った。
しかし足りないものがまだたくさん。
装備、衣装…何より肝心なチーム名。
(それ以上に重要な『サバゲーの知識』は全く足りないが…)
朝霧舞子の招集で六者協議を開催。
某ファミレスで行われた会議の内容とは…?
次回『Nuova Legenda(ヌーヴァレジェンダ)〜新しい伝説〜』
第二話『メンバー集まり会議の巻』

伝説の一歩は民話から」


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