陰陽五行戦記おまけ劇場第三弾

SSSSS(スペシャルサイドストーリーショートショート)

★『輪と綾瀬の愛の日々』その2★


今日は休日。輪はカラオケに行きたいという綾瀬に付き合って、駅前のカラオケボックス『敦盛』に来ていた。

「輪くんと一緒にカラオケするの、なんか久しぶりだね」

にこにこ笑いながら、綾瀬が実に嬉しそうに言う。

「そうだったか?」

つい先月もカラオケに行ったんだがなぁ、一ヶ月ぶりは久しぶりなのか。

そんな事を考える輪君である。

さて、部屋に案内されるやいなや、綾瀬が聞いてきた。

「ねぇ、輪くん。この前貸した“小関豊”のCD練習した?」

意外に古い名曲が好きな綾瀬である。

「ああ、じゃあ、それから歌うか」

(そういえば、怪人が出てきたせいで歌いそびれたなぁ)と思いつつ、輪がマイクを取る。

物悲しいイントロが流れ、輪は思い入れたっぷりに歌いだした。

「“愛”ら〜ぶび〜む♪ 今だけは悲しい技〜使いたくないよ〜♪
“愛”ら〜ぶび〜む♪ 逃れ逃れ辿り着いた渡河地点♪
何もかも許され〜た技じゃないから♪
兜はまるで捨て鉢みたい〜♪
この技は没ネタに埋もれた伏線みたい〜♪
だからおまえは弾けた様な笑い声で♪
る〜る〜る〜♪
きしむプロットの上で技ネタを持ちより♪
きつ〜く奥義〜封印すれば〜♪
それからまた作者は手を講じるよ♪
はな〜しのオチ〜に“愛”がしらけてしまわぬ様に♪」

まさに“熱唱”。

完全に自分の世界に入っている輪を見て、しかし綾瀬はにこにこと嬉しそうだ。

「輪くん、いいお声。やっぱり貸してあげてよかった」

自分の見立てに満足そうである。

そして邪魔するものもいないので、歌は無事に二番に突入。

「“愛”ら〜ぶび〜む♪ 目立ちすぎる兜の“愛”には〜触れられぬ秘密がある〜♪
“愛”ら〜ぶび〜む♪ 今の暮らしの中では 使い〜切れない〜♪
ひとつに重なり放たれる“愛”を♪
夢見て傷つくだけの兜だよ〜♪
何度も“愛”使ってる?って聞くお〜ま〜えは〜♪ 
この“愛”なしでは生きてさえゆけないと〜♪
る〜る〜る〜♪
きしむプロットの上で技ネタを持ちより♪
きつ〜く奥義〜封印すれば〜♪
それからまた作者は手を講じるよ♪
はな〜しのオチ〜に“愛”がしらけてしまわぬ様に♪」

ぱちぱちぱちぱち。

「すご〜い」

輪の歌いっぷりに綾瀬は大満足である。

「ふぅ、人前で歌うのはこれが初めてだったが」

そんな事を言いつつ、輪も満足げである。

「しかし、“愛”なしで生きていけないってのは大げさな気がするな」

ちょっとささいな歌詞に引っかかっていたりするが、まぁ、それは気にしない。

「じゃあ、わたしも歌うね。いい歌見つけたんだよ」

そして画面に曲名が表示された。

『バカの愛野郎』

「それだけはやめてくれ」


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