陰陽五行戦記おまけ劇場第三弾

SSSSS(スペシャルサイドストーリーショートショート)

★『おおまかなこまかな』その2★


ここは函館山をくりぬいて作られているセンゴクマンの秘密基地。

センゴクマンの5人を前にして、今日もサポートロボのマカナちゃんは、にこにことゴキゲンな様子。

なにしろ、自信作のかーなび戦隊『小マカナ〜』を披露したのである。

驚きと感動のあまり(?)、言葉を失っている5人に、聞かれもしないのに実に嬉しそうに説明を開始した。

「この小マカナたちはですねぇ〜、実はウチと同じ人工知能のおーえすを搭載しているんですよ〜☆ だから、ウチは妹が5人出来たようなものなんです〜♪ 可愛がってくださいね〜(はあと)」


広奈様の場合。

「もちろんですわ」

同じく嬉しそうな広奈様である。

柔和な笑みを浮かべ、小マカナをなでなで。

「可愛い」

「はにゅ、どうもです〜☆」

一瞬で馴染んでいる。


一方の輪君。

「増殖したわけか…。あのマカナが、そのまま…」

ややげんなりした様子で呟く。

それを知ってか知らずか、小マカナぶらっくはにこにこと、輪を見上げている。

目が合った。

(うっ…)

この目。

全幅の信頼と、親愛と、この先ずっと可愛がって貰えるんだろうという期待に満ちた目。

仔犬を前にして「ボーナスまで待ちなさ…」と言って絶句するおじさんの様に、輪は固まってしまった。

どうする〜? 愛野郎〜♪

もう駄目である、輪の負けである。

「やれやれ…」

(これからよろしく頼む)という意思を示すべく、輪が手を伸ばす。

「ふにゅ」

小マカナは心地よさげに頭を差し出した。

なでなで。

「ほにゅ〜〜(はあと)」

嬉しそうである。輪と小マカナの間で愛の交流(?)


今度は美亜子。

「人工知能搭載ってことは、あたしに合わせてあんたも成長してくれるってわけよね」

小マカナほわいとが答える。

「もちろんです〜。いろいろ教えてください〜☆ ちゃんと覚えますから〜」

「よし、あたしのチャリに乗るからには、ビシビシ鍛えるから、覚悟しなさい」

「ふにゅ。了解ですぅ♪」

こちらはこちらで、いい感じ。


そして春樹。

「えと、お世話になります。よろしくお願いします」

ぺこりとお辞儀。

「こちらこそです〜」

小マカナぶるー、三つ指ついて深々とごあいさつ。

「えっと…………」

しかし、次の言葉が出てこなくて、間が持たない春樹。

「…………」

次はなんだろうと、春樹の言葉を待つ小マカナ。

にこっ。

笑って誤魔化す春樹。

にこっ。

微笑み返す小マカナ。

ほのぼの〜。


「あのさ、カーナビってどういうものか教わったか?」

恐る恐る小マカナれっどに聞いているのは、先ほどから顔色がさえない淳二。

「はにゅ。説明しますね〜。『“かーなび”とはコンピュータによる車両のナビゲーションシステムの総称であり、センゴクちゃりんこ愛馬君の中核をなすものである。基本的にはドライバーのナビゲーションを行うのが主目的で、ラリー競技におけるコ・ドライバーに相当する。それ以外にも、念動部の状態、タイヤの摩耗、天候・道路状況などマシンの置かれているあらゆる状況を的確に把握し、ドライバーに伝え、レースを戦うためのものである。また、人工知能が搭載され、ドライバーとコミュニケーションが取れるため、“人とマシンとの新しい関係”を模索する、試金石ともなる。人とマシンとが一緒に手を取り合って成長していく。その夢を具現化するのが“かーなび”なのだ』…と教わってますぅ」

「…よく出来ました」

自分がマカナに吹き込んだとおりである。

なにせ、いつもの冗談のつもりでマカナに教えた、とある近未来レースアニメの世界のナビゲーションシステム、それを本当に作りやがったのだ…。

いたずらも、ここまで来ると度が過ぎてしまったかもしれない。

ちょっと怖くなってしまった淳二である。

「しかし、さすがにネーミングまでは変えてきたか」

あっちの世界観を引きずって“マカナーダGSX”と呼ぶか、それとも指示されたとおり“小マカナれっど”と呼ぶか、迷う淳二であった。


五者五様の反応を示すなか、控えめに右手をあげたのは春樹だった。

「えと、ちょっといいですか?」

何事かと、全員が春樹に注目する。

「普通カーナビって地図が出ますよね。この小マカナさんの場合、地図はどこに?」

「ふむ、いい質問だ」

晴明長官はそう言って腕組みすると、すかさずマカナに振った。

「マカナ、説明してやれ」

「はい〜」

マカナはにっこりと、皆を唖然とさせる一言を放った。

「地図は付いてないので、小マカナが口頭で行き先を説明します〜☆」


!?


それはつまり、小マカナがしゃべって道案内をするということである。

「なんか、凄いような、凄くないような…」

なんともコメントのしようのない春樹の、苦肉の一言。

「役に立つのか?」

やっぱり不安そうな輪である。

「役に立つとか、立たないとか、そういうことじゃなくてさ、“かーなび”ってのはそういうもんなの」

ようやく心の整理が出来たのか、淳二がいつもの調子に戻って発言した。

「どういうことだ?」

輪の疑問にも、したり顔でこう答えた。

「いいか。この“かーなび”はこうやって使うんだ」

そして、おもむろに小マカナれっどにこう言った。

「小マカナ、急いでオレの家に帰りたいんだ。どういう道のりで行けばいい?」

「はい〜。ではですねぇ〜、秘密基地を出て、坂道をはにゅ〜って駆け下りて、二つ目の信号でほにゅっと右に曲がって、ふにゅふにゅっと走って、はにゃ〜ってなったら左ですぅ」

それを聞いて絶句した輪が、一言。

「なんて大まかな…」


続く。

小マカナ


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