陰陽五行戦記おまけ劇場第三弾

SSSSS(スペシャルサイドストーリーショートショート)

★『逐一淳二』その3★


某年6月某日。今日もまたスタジオみたいなところにいる淳二…。

そう、これはSSSSSのために撮りおろされるスペシャル番組の収録なのである。

マイク片手に淳二が早速司会進行。

「さぁさぁ、『逐一淳二』今日はその第三回目だ。今日こそは、三度目の正直で兄ちゃんが来てくれてるはずだ。早速紹介するぜ。真田逐一!」

軽快なドラム音とともにスポットライト。

ぷしゃーーーと、ドライアイスの白い煙に包まれて、誰かが登場。

やがて煙が晴れてその場にいる人物の顔が明らかになる。

…しかし、そこに立っていたのはなぜか広奈様。

カメラが向けられると、優雅に笑顔を向けてからおもむろに疑問を口にした。

「淳二さん、これは…、なんですか?」

「いや〜、実に申し訳ないんだけど、兄ちゃん、またまた来れなくなっちゃったらしくてさ。で、しょうがないから兄ちゃんの代理で広奈ちゃんを呼んだわけ」

ぽりぽりと頭を掻きつつ淳二。

広奈様は一瞬で事情を理解すると、すたすたと淳二の隣まで歩み寄り、しっかりカメラ目線で笑顔を作る。

「分かりました。それでは僭越ながらわたしくが代理を務めさせていただきます」

「おっ、さすが広奈ちゃん、やっぱそのとっさの適応力の高さって大事だと思うわけよ」

「そんな、これくらい当然ですわ」

「じゃあ、兄ちゃんはいないけど、恒例の兄ちゃんの近況の話でもするっすよ」

「はい」

うおっほん、と咳払いをし、淳二は手に持った原稿を読み始めた。

「ええと、前回埼玉県某市にある寮に引越しした兄ちゃんだけど、どうやらかなりいい生活を送ってるらしいよ」

「まぁ、いい生活って、どんな生活ですの?」

「えっとね、まず、職場まで自転車で30分以内で着くって近さ、これが魅力。通勤ラッシュとは無縁なんだって。そして寮ではちゃんと朝と夜の食事がつくんだけど、その料理を作ってくれるのが、なんとフランス料理のシェフなんだってさ」

「まぁ、それは素敵ですわね」

「うん、なんかこんなに充実した食生活を送ったのは生まれてはじめてかも、とか言ってる」

「その気持ち、とってもよく分かりますわ。わたくしの家もお抱えのシェフがいますけど、毎日食事が楽しみで…」

うっとりと微笑む広奈様。

「ま、まぁ、兄ちゃんもそんな感じみたいよ。で、今日なんだけど、どうやら兄ちゃん、カートをしに行くんだってさ」

「カート? というと、サーキットを走るんですか」

「そっ、レーシングカート試乗会ってのに参加するらしくてさ、この番組よりそっちを優先しやがったんだわ」

「まぁ…。でも楽しそうですわね」

「でもきっと、兄ちゃんのことだから雨で中止だって(笑)。それに広奈ちゃんが来てた、って言えば兄ちゃんきっとがっかりするに違いないな」

「そうですか。でも、今度お兄様と甲府をドライブする気がしますわ」

「…マジですか」

「はい。あくまで予感ですけど」

「ぬぬ、なんとうらやましい」

「淳二さんも、お兄さんにお願いしてどこか連れて行ってもらってはいかがですか? 函館に呼ぶよりも、こちらから行ってしまえば、間違いなく会えるのでは?」

「そだね。そうすっかな」

「それでは、逐一淳二、次回はきっと美亜子さんがゲストです。どうぞ楽しみにしていてくださいね」

「って、広奈ちゃん、司会はオレだって〜」


続く


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注意:この作品はフィクションです。当然真田逐一は架空のキャラです。実在する人物、団体などとは一切関係ありません。特に、作者とは何の関係もございません。くれぐれもお間違いのないように。