陰陽五行戦記おまけ劇場

五行戦隊センゴクマン!

第三十話

「センゴクマン策謀」


「一つの作戦線に沿って、一団となって機動せよ。そうすれば、敵に対して相対的な優勢を獲得できる」
ナポレオン(仏皇帝)


決勝リーグ初戦の勝利を喜ぶ間もなく、『FANG GUNNERS』の6人は次の試合の観戦のため観客席にすばやく移動していた。

第二試合で最大のライバル『チーム風林火山』が超高校級の化物二人を擁する『夕張のガンマン』とどう戦うか?

その次の第三試合で『夕張のガンマン』との再戦が決定している『FANG GUNNERS』にとっては決して見逃せない試合である。


「すでに身に染みていると思うが『夕張のガンマン』の“名無し”と“大佐”は間違いなく最強のハンドガンナーとスナイパーだ。近接戦闘で“名無し”と一対一でまともに戦っては勝ち目はないだろう」

いつものごとく会議を仕切っているのは『FANG GUNNERS』が誇る作戦参謀の直江輪である。

「そして『地獄のも釧路区』がやったような塹壕戦も“大佐”には通用しない。さて、そこで問いたいが、そんな化物相手の試合で勝利を収めるにはどうすればいい?」

第三戦ではその『夕張のガンマン』との再戦が決定している。

もちろんメンバーそれぞれにリベンジへの意気込みもあるだろう。

「はいっ!」

真っ先に手を上げたのは淳二だった。

なにやら自信ありげな雰囲気。

(淳二もサバゲー経験をつんで戦術の本質をつかみつつあると見える)

まんざらでもない表情で輪が回答を促した。

「奴らが相手なら、「覇王翔吼拳」を使わざるを得ない


スパコーーーーン!!

「ぐえっ」

音速で美亜子のスリッパが炸裂した。

淳二撃沈。

「ツッコミを入れざるを得ない」

再びスリッパをしまいつつ美亜子がつぶやいた。

それを見た真理姐さんが一言。

「そのスリッパをどこから出したのか、疑問に思わざるを得ない」



いきなり話がそれていた。



「ともかく、俺が思うに大まかに方法は二つしかない」

輪君は作戦会議の軌道修正をせざるを得ない。

結局自分で語りだした。

「ひとつはあの二人を“相手にしない”ことだ」

「富良野の悟郎さんのチームが取った作戦だね」

模範的生徒である春樹が即座に理解を示した。

「うむ。チーム全員での本陣への奇襲攻撃。あの二人を無視してフラッグ奪取での勝利を狙ったわけだ」

『夕張のガンマン』が予選リーグで喫した1敗がその作戦によるものだった。

(幽霊の支援あってのことだが…)

真実を知る唯一の女、明智瑠華はそう思ったが口には出さない。

「もうひとつの方法は、おそらくこれから武田が手本を見せてくれるだろう」


『FANG GUNNERS』6人の視線が試合会場に注がれる。


『夕張のガンマン』は予選リーグでの3試合をすべてエースである『名無し』と『大佐』のみが前線に出て、残りの4人が本陣を守るという作戦で戦ってきている。

そして初戦であたった『FANG GUNNERS』はものの見事に負かされたわけだが。

「『夕張のガンマン』が予選リーグとまったく同じ戦術を取るなら当然武田もその対策は考えているだろうから、その時点で勝負は決まったも同然だろう。もし、『夕張のガンマン』が裏をかいてなんらかの違う作戦を選ぶなら、面白くなるが…」


◇決勝リーグ第二試合『チーム風林火山』VS『夕張のガンマン』◇


『夕張のガンマン』の作戦は今回も予選リーグと同じものだった。

そして輪君の予想通り『チーム風林火山』は見事な『夕張のガンマン』用の作戦を見せ付けた。

すなわち、互いに連携せず孤立して進軍する『名無し』と『大佐』に対し、六人全員で機動して個別に仕留める動きに出たのだ。

いくらスーパーエースといえども、1対6では勝負にならなかった。

エース二人は各個に撃破され、本陣の4人もまた圧倒的火力の前にあっさり陥落。

サバゲー教本の模範試合のような『チーム風林火山』の圧勝だった。


「ということで、同じようにやれば次の試合でも結果を再現できるだろう」

輪君はリベンジに向けて自信満々だった。

しかし、試合の前にまずは顔合わせのステージである。



「出来るだけ部隊を永く分散配置せよ。そして決定的な戦闘の要点にタイムリーに部隊を集中せよ。これが大部隊指揮官の仕事だ」
モルトケ(独元帥)


◇決勝リーグ第三試合『FANG GUNNERS』VS『夕張のガンマン』◇




時間となった。

この大会恒例の試合前の顔合わせイベントの開始時刻である。

すでに『FANG GUNNERS』の入場パフォーマンスは半ば伝説と化し、この会場にいる全員に知れ渡っている。

だけでなく、サバゲーを知らないでこの北天王山森林公園にたまたま遊びに来ているような一般客ですら、なにやら評判を聞きつけたかステージ前に集まっているような状況である。

今回もきっと面白いことが起こるはず、という期待がすでにステージ前の観客席に満ち満ちている。

さて、そんな中、

「ドラゴンゲートより『夕張のガンマン』の入場でっせ!」

スピーカーより今井さんの声が会場中に響き渡った。

遅れて“巨匠”エンニオ・モリコーネの名曲「さすらいの口笛」が流れ出す。

この曲はマカロニウェスタン(イタリア製西部劇)を代表する映画『荒野の用心棒』のテーマ曲である。

いかにも“荒々しい男”をイメージさせる、ユーコン川で水を汲む男に似合いそうな曲だ(大事なことなので、また書きました)

そんなBGMの中、“名無し”、“大佐”、“賞金首”の3人とパコ、チコ、ペコの雑魚トリオという6人のメンバーがステージ上に姿を現した。

マカロニウェスタンに登場するアウトロー姿のむさいおっさん(失礼)6人がステージに並び、いつの間にか午前の数倍にも増えた観客に対して一礼した。

これまでの入場であれば、これで終わりだったのだが…。


やおらBGMが別の音楽に切り替わった。オルゴールの静かな音色からスタートし、やがてギターをかき鳴らす音に荘厳なオルガンと高らかなトランペットが重なる。

そう、これまた超有名な決闘シーンの音楽「ガンマンの祈り」である。

“名無し”、“大佐”、“賞金首”の3人がステージ上に三角形を描くようにじりじりと距離をとっていく。

いつのまにか雑魚トリオはステージの外に姿を消し、主演級の3人だけがステージ上で決闘の緊張感を放っていた。


「なんだ、何が始まるんだ?」

一瞬騒然となりざわついた会場の観客たちも、これがこの大会ではじめて見せる『夕張のガンマン』のパフォーマンスなのだ、と理解すると、やがて静かになった。

会場には決闘の音楽だけが流れ、三つ巴で対峙する“名無し”、“大佐”、“賞金首”がいつ銃を抜くのか、その圧倒的な緊張感がじりじりと続いた。

盛り上がる決闘シーンのBGM。それが佳境に差し掛かった瞬間。

3人が同時に動いた!

ほとんど瞬時に銃を抜くと、“名無し”が“大佐”に、“大佐”が“名無し”にそれぞれ発砲。

しかも、このシーンのために火薬式のピースメーカーのモデルガンを使っていたらしく、二人の銃からは実際に爆発音がとどろき、銃口から火花が散った。

思わずその迫力に会場中が圧倒される。

「ぐっ…」

うめき声とともに“大佐”の体がゆっくりと地面に崩れ落ちた。

そして“賞金首”はと言うと、“名無し”に銃口を向けて引き金を引いても何も起こらない!

思わず自分の銃をあわてて確認している。

“大佐”を倒した“名無し”がゆっくりと銃を“賞金首”に向ける。

「野郎、いつの間に弾を抜きやがった!?」

賞金首がそうわめいたことで、会場中の観客も何が起こったか納得。

そこで“名無し”はニヒルにこう答えた。

「さっきだ。人間には2種類ある。弾の入った銃を持つ奴とステージ上で命乞いをする奴だ」

そして“名無し”の体から猛烈な殺気が立ち上る。

(殺される!?)

会場中が息を呑む中、“賞金首”は両腕を上げると情けない声でこう叫んだ。

「ううぅ…、ごめんなさーーーーーい!!」

その情けない姿に、思わず会場中から笑いが漏れる。

それはやがて緊張感の裏返しからか、大爆笑、そして大拍手へと変わった。

やんやの歓声の中、さっき倒れた“大佐”も起き上がり、3人して観客に向けて再度一礼。


そう、これぞ夕張東木高校の映画研究会の部員であるところの『夕張のガンマン』のメンバーが演じた寸劇だったのだ。

マカロニウエスタンの決闘シーンの一番おいしいクライマックスシーンだけをステージでちょっとアレンジして披露したというわけ。

今となってはすっかり“マイナー”な映画ジャンルとなったマカロニウエスタンであるが、実は意外と面白そうかも、と何割かの観客は好意的に受け止めたようだ。

そして観客がもっともステージに注目するであろう『FANG GUNNERS』との対戦前にこのパフォーマンスを持ってくるなど、この3人、何気に結構役者である。


「はいはいはい、『夕張のガンマン』による決闘シーンの寸劇をお届けさしてもらいましたで〜」

そこに今井さんの進行が入り、いったん『夕張のガンマン』のメンバーはステージを降りた。


さぁ、いよいよである。

真打(?)登場である。


「ふふふ、今度はどんな登場をしてくださるのかしら」

広奈様も楽しみのご様子。


「ナオさま、さっき聞いても教えてくれなかったよね」

「そうだね。そんなに秘密にするってことは、またきっとすごいんだよ」

「楽しみ〜♪」

とリンスリーガールズ。

無論、輪が口を割らなかったのは恥ずかしかったからであるが、この子達はまだその理由を知らない。



「タイガーゲートより、『FANG GUNNERS』が登場する前に〜〜」

と、今井さん。そこで止めて、なんとステージ上に今井さん自身が登場。

ざわざわ…。

会場がざわめく。

「…面妖な」

広奈様もいささか驚かれたご様子。

そう、今井さんなぜか全身黒ずくめの服に顔まで黒く塗ってステージに登場。

正直マイクを持っていないと今井さんなのか誰なのかわからない。

そしてちょっと作った低い声で会場を見渡して語り始めた。

「あー、そこでこっちを見ている君! そう君たちだよ。まぁ、こっちへ来なさい」

いや、来なさいとか言われても…。

あっけにとられて黙る会場。

しかし、今井さんは気にせず語り続けた。

「ほぉ〜ぉ、なんといい面構えだ。ティンと来た! 君たちのような人材を求めていたんだ!」

この辺でネタの分かる一部の客層は、『FANG GUNNERS』の出し物の予想がついたらしい。

「わが社は今、サバドル候補生たちをトップゲーマーに導く、プロデューサーを募集中だ」

(サバドル=サバイバルゲームアイドル)らしい。

「わが社に所属する、サバドル候補生の女の子は……、この子たちだ!」


と、ここで不意に大音量であの曲のイントロがスタート。

「ワン、ツー、スリー、ヴァイ!!

マイクを通して真理姐さんの景気のいいシャウトがステージ上にこだました。

そして意表の衣装で真理姉さん登場!

黒のシャツに赤いネクタイ、右半分が黒で、左が赤のスカート。そして赤と黒の縞々のロングタイツに黒い靴。

赤と黒のコントラストが素敵なDLCステージ衣装「パンキッシュゴシック」を身にまとい、髪にはトレードマークの赤いリボン。

「今回は、アイマスネタかっ!」

会場の誰かが叫び、それは一瞬でそこにいる全員に伝わった。

アーケード版からスタートし、いまや各種ハードに移植された超人気アイドル育成ゲーム。

今回の『FANG GUNNERS』はそのネタを持ち出したらしい。

しかも、いや、むしろ当然というべきか、真理姐さんはそのままノリノリで歌いだした。

もちろん閣下を象徴するあの曲である。


『愛 want』(真理Ver)


まるで荒れる波濤のように
背筋つらぬき 心狂わす狙撃
そう 狙撃

夢うつつと見紛うほど
カスタマイズ 目を疑うよな銃器
そう 銃器

(そうよキミ 近づいてきて 至近距離 手が届くまで)
有効射程 一新されてくの

胸にたぎる黒い波動は
目の前に立つ決死の敵が由来
そう 由来

どんなふうに捕まえたい?と
甘やかすぎる接近 そしてストーキング
そう ストーキング

(いいわキミ そうよまっすぐ なけなしの 弾幕張って)
反撃こそ罪だと教えるわ

今 このサバゲー感情の 昂るままに
命じるの強く 嗚呼!

 (愛 want!)
そこに跪いて!
見つけたいの あなたを
私のやり方で

どこまで 撃てる 撃てる このまま
ふたりで いける いける 敵陣へ
どれだけ 燃える 燃える ゲームに
求めて 取れる 取れる 旗まで!



真理姐さんがかっこよく歌い終わると、一瞬の静寂の後大歓声が沸き起こった。

「閣下ーーー!」

「姐さーーん! 俺だーーーッ! 結婚してくれーーッ!」

「音程がキター!」

なにやらいろいろ混ざっているが、ステージ上の真理姐さんは笑顔で手を振ってそれに応えている。

そしてお決まりのあの台詞。

「プロデューサーさん! サバゲーですよ、サバゲー!」

観客、大喜び。


だが、まだ一人目である。

続いて、蒼い衣装を身にまとい瑠華が登場。

大胆におへそを露出したラメ入りの青と白のチューブトップにショートパンツ。色を合わせたブーツ。

何気に露出の多いダンス衣装「インディゴスパングル」である。

ちはぺったん、…もとい、板、…もとい、72、…もとい、スレンダーな瑠華のスタイルとストレートの髪が衣装によく似合っている。

瑠華はまさしくストイックな歌姫、といった風情でステージに立ち、ちょっと緊張の面持ちでマイクを口元に運んだ。

早熟の天才にふさわしい美声を誰もが期待した。

歌姫は小さく息を吸い、そして歌いだした。


『目が逢う遭遇』(瑠華Ver)

目と目が逢う↑ 瞬間敵だと気づいた↓
「あなたは今↑ どんな気持ちでいるの↑」
戻れない↓ 二人だと↑ 分かっているけど↑
少しだけ↑ このまま銃口↑ そらさないで↓



案の定の外れっぷりである。

「「「ズコー」」」

会場中がひっくり返った。

まさしく“胸囲の歌唱力”だった。

「くっ…」

ゆえにワンフレーズだけで瑠華は顔を真っ赤にしてそのまま退場した。

なんという罰ゲーム。

だが、そんな恥ずかしがっている瑠華の姿もまた萌え、である。

萌え萌えキュン、である。

「かわえ〜」

「音程が来い」

「BST-72のほうだったのか?」

これまたなにやらいろいろ言いたい放題の客席だった。

「あの瑠華ちゃんが、こんなに大勢のお客さんの前で歌を歌うなんて…。なんだか今日はいいもの見ちゃったわね〜」

と、客席からステージを見ていた立花なつめ女史がしみじみとつぶやいた。

あの無口無表情無感動の瑠華が今日はこんなにもいろいろな表情を見せてくれる。

サバゲーをはじめたことで、間違いなく一番変わっているのは瑠華だろう。

「さて、次は誰…ぷっ」

ちょっと感動の面持ちだったなつめ女史だが、思わず吹き出した。


逃げ出した瑠華と入れ替わりで、間髪を入れずなんかすごいのが出たのだ。


白くてふわふわのボーカル衣装「ブリリアントパール」を身にまとい、右手はなぜかドリルアーム。

そして頭はショートカットのカツラをかぶった不幸な彼の登場である。

すなわち、女装した春樹、なわけだが。

ミニスカを手で押さえつつ、

「はぅぅ、この衣装は、恥ずかしすぎです…。こ、こんなスカートでは歌なんて無理ですー。ダメダメな私は穴掘って埋まってますぅぅ」

登場したと思ったら、冒頭でこの台詞。

「いいぞー、もっとやれー」

「はるきー大変身」

「穴掘るなー、歌えー」

「はるきーかわいそうです(´;ω;`)ブワッ」

すっかりいじられキャラが定着(?)したらしく、ノリノリの客席からのコールである。

春樹は、仕方なく顔を真っ赤にしたまま、か細い声で歌いだした。


『スナイプ、スナイプ』(春樹Ver)

スナイプ、スナイプ
撃ち出してゆく 視線と銃口の彼方
スナイプ、スナイプ
もう止まれない 戦況を塗り替えて
ユラリ フワリ スコープ越しに 敵が見えてキラリ
トリガーに指かけ撃てたらヒット
Access to the rifle
gunner and the sniper

つながるハートに伝わる ハンドサイン 示す先 敵影
マイナス100度の戦場で何も聴こえないけど ほら

またボクとキミを導いたチーム
無敵なライバルを探してショット

スナイプ、スナイプ
撃ち出してゆく 覗くスコープの遙か
スナイプ、スナイプ
もう戻れない トリガーを引き込んで
ヒラリ フワリ 弾丸と巡る迷彩色 ハラリ
語り継いだ物語と未来
Nexus for the survival
Fang and gunners



なんども穴を掘って埋まりそうになりつつ、それでも持ち前の根性で羞恥心に打ち勝ち春樹は歌いきった。

「はるきー大勝利!」

やんやの歓声である。



しかし、せっかく盛り上がったのに春樹はそのまますごすごと逃げるように退場。

代わって、普段のキャラとは間逆のかわいさ全開で美亜子が登場。

リボンつきのヘアバンドで髪を押さえてどどんとおでこを出したヘアスタイル。

身にまとうのはピンクと白の「スノーストロベリー」で、さらにねこみみ、ねこのて、ねこしっぽ、ねこあしのねこセット完備。

美亜子の威圧感を見事に中和するねこセットのかわいさと普段とのギャップに、一部のファンはクラクラである。

「い〜い? この美亜子ちゃんの歌う歌、きっちり最後まで聞くのよ。にひひっ」

通常より1.7倍くらい斜め上に向けてアニメ声を作った美亜子が会場に向かってそうアピールした。

まさしくツンデレの女王の趣。


『私はアタッカー』(美亜子Ver)

基本的にはアタッカーだけど 時と場合でハンドガンナー
そんなサバゲー適応力 うまく生かして綱渡り
弱い敵には突撃して そうでない敵もそれなりに
攻めるのよくて引くの苦手 一騎打ちなら無敗

気力と体力だけで軽くこなせる仕事じゃないの
だから人に見えない努力なんて白鳥並以上

きっと私は無敵! そりゃ熾烈な迎撃に
いつ倒れるかもしれない 前線任務でも
だって援軍をくれる この素晴らしいチームがいる
もしポリシーを曲げたなら彼らを裏切ることに
それはできない 逆説的にフリー

私が一番! 今輝いているみたい
そりゃ生まれながらサバゲーの申し子みたいだもん
もっとビッグにならなきゃ もう何かの間違いでしょ
まだ私に気付いてない遅れた人たちも
この殺気ビームでハートをロックオン!するの



最後はおでこから殺気ビームを放ちつつ、案外ノリノリで美亜子は歌いきった。

「すげぇ、うめぇくぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅ」

「いいぞ〜、ツンデコくぎゅぅぅぅぅぅぅぅ」

「いおりんにしては、身長も胸がでかいくぎゅぅぅぅぅぅぅ」

「お前ら、何言ってくぎゅぅぅぅぅぅぅぅ」

「いいから自重しくぎゅぅぅぅぅぅぅぅ」

なにやら客席にやばい感じの病気が蔓延している気がするが、それは置いておいて…。


音楽はメドレー風にそのまま続いている。

今度の登場は黒の衣装を着た淳二だ。

淳二の場合おへそこそ出ているが、普通のパンツ系のダンス衣装「トゥインクルブラック」での登場。

ボーイッシュな魅力全開というか、女装なのか普通なのかよく分からない状態である。

それでも、本人は女の子のかわいさを100%アピール。

無理に作った高い声で、会場に、

「みんなー、いっくよー♪ まっこまっこりーん♪」

「「「うぉぉぉぉーーーっ」」」

なぜか異様に盛り上がる客席。

まっこまこにされた一部のファンが叫ぶ。

「こんな可愛い子が女の子のはずがない」

病気がうなぎのぼりである。現実に目を向けちゃダメだ!



『スタイリスト夜を往く』(淳二Ver)

目立てない自分 この身を苛む煩悩
焦燥感 耐えられないなら
秋葉系のサービスを呼ぶの
どんな時も万全に応えられる

その名はスタイリスト キャラの衣装弄ぶ策士

あなたに委ねる 秘密のコスプレ
情熱 快楽の 解放待ち望む
そうよ 変身(かわ)れる悦びを

もっと 高めて果てなく 心の奥まで
あなただけが使えるキャラクターで
溶かしつくして
もっと 染めてよ激しく 会場の色まで
誰にも真似のできないコスチュームの
思うがままに
歓声 渦巻く舞台に上がれるときめき
サバゲーだけの夢 踊るわ 激しく
この身のかぎりに
燃やすわ 激しく



ダンスも完璧。

しっかりきっちり歌いきった。

「やっりぃー♪」

さすがコスプレ千両役者、羞恥心は最初からゼロである。

『溶かしつくして』はお約束どおり『とかちつくちて』と発音することも忘れない。

ある意味すごく有名な曲なので、そこの部分だけは会場でも大合唱が巻き起こったくらいである。


「じゅんちゃーん! じゅ、じゅーっ、ジュアアーッ!! ジュアーッ!!」

熱狂的な(?)ファンが、なにやら大音量で奇声を上げたため、会場は大爆笑。


さぁ、いよいよラスト。残るは一人。あの人である。

輪がステージ上へ。

一目でそれと分かるトレードマークのめがねとエビフライっぽい形のみつあみおさげ。

へそ出しの迷彩柄タンクトップにはみんなの夢と希望を詰め込んで巨乳っぷりをアピール。

そして普通の迷彩柄のズボンの「グリーンフォレスト」の衣装での登場だ。

才色兼備、頭脳明晰、事務員兼任のめがねっ子。

『FANG GUNNERS』の参謀にして仕切り屋の輪君の面目躍如のコスプレだ。

「すごーい、ナオさまかわいい〜(はあと)」

「女装しても、すごく似合ってますね」

「びっくり〜」

リンスリーガールズも、思いがけず高評価だ。

「めがねチャキッ。プロデューサー、しっかりしてください!」

お決まりの決め台詞もばっちり決まり、輪君も結構このステージを楽しんでいるようだ。

(単にミニスカでなかったため、春樹ほどの恥ずかしさがないだけかもしれないが)

ともあれ、輪も歌う。


『奇襲をかけて』(輪君Ver)

鏡の中 ため息がひとつ
「軍記書がボーイフレンド?」
みんな言うけど
机の中 書きかけの出師の表
まだ見ぬ主君に
想いを馳せる

つまらない子だと
思うかしら?
本当は サバゲーで
優勝さらいたいのに

孔明を夢見る 軍師様は
いつか 素敵な仲間たちに
巡り会える
早くそんな日がきますように
そっと 秘策を仕込むから
奇襲をかけて!

森を駆ける ライバルチーム
用意してるわ
私だけの 逆転劇
早く罠にかかるように
茂みの中で祈るから
奇襲をかけて!



「神・降・臨!」

「マイリツコに登録しました」

「リンチャンハ、グンシデスヨ」

「からあげくんください」

またしてもよくわからない歓声が飛び交う。

これにて6人全員のコスプレと歌の披露が終了。

『FANG GUNNERS』の見せた想像の斜め上を行くパフォーマンスに会場も大いに沸いていた。


そして最後に6人全員がステージ上にそろい、ラストコンサート。

真理:「みんなー、今日は私たちのステージに来てくれて、本当にありがとう」

淳二:「最後に、僕たち全員であの曲をお届けします」

美亜子:「ちゃんと聞いてくれないと、おしおき決定だからねっ」

瑠華:「心の限り歌います」

春樹:「ラストソングは」

輪:「サバ・ゲー・WAY!!です」



『サバ・ゲー・WAY!!』(全員Ver)

サバゲー!! サバ芸!!
頑張ってゆきましょう
一番大好きな
試合をやりたい

ノンストップで行ってみましょ♪
って思ったらまた塹壕戦!?!
そんな時は凹まないで
迂回戦術でファイト!!
フルスロットル飛ばしてみましょ♪
って思ったら迎撃部隊!?!
こんな時は悩まないで
狙撃があるスナイプ!!

勝敗は誰にも見えないモノ
だから誰もが夢を見てれぅ〜
どんな地図にも載ってないけど
どんな場所でもバトルをするよ
さあ行こう!!

サバゲー!! サバ芸!!
笑顔も涙でも
このフィールド中が
Wood LandなNever Land
サバゲー!! サバゲWay!!
がんばってゆきましょう
一番大好きな
試合をやりたい

サバゲー!! サバ芸!!
ほら1人1人が
このフィールド中で
スナイパーでもディフェンダー
サバゲー!! サバゲWay!!
はりきってゆきましょう
全てのBB弾
あの敵に当たれ


6人全員での大合唱が終わると、会場はこれまで最大の動員人数にふさわしく、これまでで最高の盛り上がりに達していた。

もはや、お客さんはサバゲーを観戦しに来ているのか、ステージを見に来ているのか目的がよくわからない。

ともあれ、拍手が鳴り止まない中、約10分以上に及んだ過去最長の『FANG GUNNERS』のパフォーマンスはいよいよ最後のご挨拶。


「今回は長時間のパフォーマンスを最後まで見てくださって、ありがとうございましたー」

さわやかに淳二が締めくくりに入った。

「この後は『FANG GUNNERS』の試合にどうぞご期待ください」

丁寧な口調で、輪がそう続ける。

「リーダーである私の活躍も、見逃しちゃダメよ。にひひっ」

あくまでキャラを崩さず、いたずらっぽい美亜子の一言。

しかし、それが真理姐さんに火をつけた。

「え? 私がリーダーじゃないの?」

「何言ってんの? 私に決まってるじゃない!」

美亜子が反論。

「この私以外に誰がリーダーやれるんですか?」

めがねチャキッ、みつあみフリフリでこれは輪の台詞だ。

「リーダーとしてバリバリ気合い、いれていきますよ!」

淳二もやる気だし、

「リーダーの大役、お引き受けいたします」

なぜか瑠華まで。

残る一人である、不幸な人。

「あのー…、私は?」

「「「「「春樹はだまってて!」」」」」

全員から一斉砲火。

「はうぅ、ひどい〜」

春樹が穴を掘って埋まったところで、

「リーダー、多すぎやしないか?」

と淳二。

「別にいらないんじゃない?」

あっさりと真理がそういうと、

「そうね、リーダーなんて必要ない」

瑠華が頷いた。

そして輪がお決まりのフレーズへ。

「だって私たちみんな…」




「「「「「「仲間だもんげ!」」」」」」



会場がお約束にどっと大爆笑。

「もう許してやれよ」

「もう許してやれよ」

「もう許してやれよ」

会場のあちらこちらからもはやテンプレとなったその声が上がり、『FANG GUNNERS』はその声援(?)を受けつつ退場した。

これにて、顔合わせは終了。

すっかり決勝リーグの試合の影が薄くなったような気がするが、たぶん気のせいである。

だって私たちみんな、ネタに走るもんげ。


なお、この『FANG GUNNERS』のステージに感激している三人娘がいました。

言うまでもなくリンスリーガールズの3人である。

『きらめく舞台に、私も立ちたい!』

と思ったとか思わないとか…。


あ、そういえば真っ黒の今井さんがまだいました。

「どうだ、みんななかなか有望そうだろう。きっと彼女たちも、君たちを気に入ると思うよ」

というか、『FANG GUNNERS』のステージが終わったので、誰も今井さんの話なんぞ聞いていない。

「ま、詳しくは決勝リーグを見てからということで、まずは会場へ移動してくれたまえ」

言われなくてもみんな試合会場に向けて移動中である。

「あ、おーい、どこに行くんだね? わが101(イマイ)プロは、いつでも君たちを待っているぞ〜〜」


次回予告

「決勝リーグ第三戦は口笛と荒野のあのチームが相手。
化物級の実力を持つ“名無し”と“大佐”相手にアイドル衣装の『FANG GUNNERS』はまともに戦えるのか?
そしてこっそりリベンジに燃えている美亜子のたくらみは成功するのか?
次回五行戦隊センゴクマン「センゴクマン風雲」

架空戦記シリーズ参入か?『FANG GUNNERS』」

あとがき春樹


ζ*'ヮ')ζ<うっうー、作者です。

29話が2008年12月28日公開ですので、なんとまぁ1年ぶりの新作となってしまいました。

お待たせしてすみません。

さて、今回はほぼネタだけで1話使ってしまいました。

ご存知の方はご存知、ご存知でない方はさっぱりでしょうが、全編アイマスネタ満載でございます。

今回は元ネタが分からない方のためにニコマス作者の方へリスペクトと感謝をこめつつ、ニコニコ動画へのリンクをしてみました。

ぜひごらんいただければと思います。

なお、雨続Pは360、L4U!、SP×3はプレイ済み。千早、伊織、あずさといったあたりをプロデュースすることが多いです。

出ているCDも大体持っております。ライブのブルーレイも買いました。ニコマスの新作も日々チェックし、WEBラジオも毎回聞いております。

エースコンバット6では、痛機をコンプリートし、どんがラプター、ストライくっイーグルを主力に使っておりました。

てな感じでこれまでアイマスに結構な散財をしてきたので、今回はその分趣味全開でネタを投入した次第。

もっと時間と技術力があれば動画作成にも手を出したいところですが、それはまぁおいおいということで…。

えーと、最後になりますが、読者の皆様。今後も見捨てないでください…。


2010年1月17日、直江雨続。



設置しました。簡単なメッセージなども送れます。作者にぜひ愛のある感想をください。

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