五行戦隊センゴクマン!
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「センゴクマン遺言」
リデル・ハート(英国、戦略理論家)
リンスリーガールズこと辺見悦子、鳥枝杏樹、倉田里子の3人は、ステージの裏手、運営委員会の本部テントの隣に設置された道北地区優勝チームの用の荷物置き場兼本営の前にいた。 小柄でショートカット、純真無垢なロリロリ少女、辺見悦子。 長身でツインテール、目鼻立ちのきりっとした仕切り屋タイプ、鳥枝杏樹。 その中間の身長でセミロングにカチューシャ、眼鏡をかけた真面目な文学少女タイプ、倉田里子。 彼女たちの目的は、一言で言えば、敵チームの情報収集である。 敵? 誰の敵? それは、彼女らが絶大なる憧れを寄せる人、直江輪@『FANG GUNNERS』の敵である。 その敵チームの名前は道北地区代表『富良野防衛家族黒井田家』という…。
黒井田悟郎さんは御年50歳。しかし、富良野六号高校、定時制の1年2組に通うれっきとした高校生である。 そして、その格好は、一見するととても異様なものであった。 まず、第一印象は巨大ミノムシ妖怪。 ぼろぼろの作業着に、汚い緑や茶色のぼろきれを何枚も、何枚も縫いつけ、手製のギリースーツ(偽装服)に仕立て上げているのだ。 履いているのは、迷彩色にペイントされた、これまたぼろぼろの長靴。 そして、フルフェイスゴーグルの代わりに、やっぱりぼろぼろのフルフェイスのヘルメットを迷彩色にペイントしたものを使うのである。 おそらく、多感な高校生などは、こういう服を着ると、まず何よりも外聞を気にし、恥ずかしがるに違いない。 いや、そもそも着るのを激しく嫌がるだろう。 だが、年の功というべきか、悟りの境地というべきか、黒井田悟郎さんは、平然とこれらを着こなし、開会式や、試合前の入場でも、ギャラリーの前に姿を現しては、にこにこと笑顔なのだ。 そう、黒井田悟郎さんを語るのに、忘れていけないのが、この善良そのものの恵比須顔。 端的に言えば、この垂れ目の笑顔が、人懐っこさと優しさを完璧に共存させており、初対面の人間にも、なぜか安心感を与えてしまうのだ。 そんなわけで、リンスリーガールズは少し安心した。 『富良野防衛家族黒井田家』のほかのメンバーは現在試合の観戦中らしく、この場にいない。 いるのは、この優しそうなおじさんだけだ。 「よかった…。この人なら、きっと色々教えてくれるかな」 どこかほっとした様子で、辺見悦子は緊張を解いた。 「えったん、分かっていると思うけど、聞き出すのは、次の試合での作戦と、どういう風にメンバーを進撃させるか、その人数配分よ」 冷静な様子で眼鏡を光らせるのは、倉田里子。 「ほら、早くしないと時間がなくなるよ。ナオさまの役に立ちたいんでしょ?」 そう言って悦子を急かすのは、鳥枝杏樹だ。 「う、うん…」 おじさんの父性本能を刺激しまくるであろう、辺見悦子を先頭に、リンスリは、いよいよ諜報活動に手を染めた…。 「あの…、ちょっとお話を聞かせて欲しいんですけど…」
「えっ? じゃあ、その格好も、エアガンも、全部拾ってきたものなんですか?」 里子が目を丸くして、尋ねた。 「そう〜、ぜぇ〜んぶ、拾ってきたんだァ。…おいらたちのチームにゃあ、恥ずかしながら金がねェ。金はねェが、てめぇの持ってるパワーと知恵があればこうやって、修理して、綺麗にしてまた使えるようにして、それで大会にも参加できるンだ〜、うン」 独特の北海道弁の抑揚で、悟郎さんは機嫌良さそうにそう語った。 「富良野だけでもなァ、いくつかサバゲーのチームがあンだ。したら、そこと仲良くなれば、いらなくなったものを譲ってもらったり、捨てるものをそのままもらってきたり出来んべさ。んでまァ、おいらたちのチームでは、『サバゲー山麓デパート』って呼んでる丸太小屋に、そういうのをみ〜んな集めて、修理すンだ」 「じゃあ、おじさんたちのチームは、全員拾ってきた銃で戦ってるの?」 聞いたのは、杏樹。 「銃だけじゃねェ、服も、靴も、ぜぇ〜んぶだァ。ぜぇ〜んぶ、よそ様から頂戴して、それでやってきたんだァ」 そう言って蕩けんばかりに、目を垂らす黒井田悟郎さん。 「凄いです。立派だと思います。わたし、何も知らなかったから…」 少しだけ恥ずかしそうに、悦子は目を伏せた。なにせ、美男美女、衣装も華やかな『FANG GUNNERS』に目を奪われる一方、このぼろぼろでダサい衣装の『富良野防衛家族黒井田家』を格好悪いと思っていたからだ。 実際、開会式のときのギャラリーもそうだった。 このオンボロチームの登場に、失笑があちこちで漏れていたのだから。 だけど、話を聞いたら、その評価は一転した。 リンスリは、多感で素直な女子中学生である。 学校でも家庭でも、「物は大切に使いましょう」、「資源物はリサイクルしましょう」、としっかり教わっている。 そんな背景もあり、彼女たちはすっかり黒井田悟郎さんを尊敬のまなざしで眺めることになったのである。
なにせ、御年50歳の悟郎さんが高校生のみが参加可能な、サバゲー大会に出場しているのである。 それは、なぜか? 質問は自然二つある。 何故高校に通っているのか? そして何故サバゲー大会に参加しているのか? 最初の質問をリンスリに聞かれたとき、悟郎さんは、しばし照れくさそうに微笑んだ後、こう言ったものである。 「おいらの息子と、娘が、富良野の六号高校に通ってるンだ、あっ、そいつらは…、今は、他の試合見に行ってるけど、同じチームで一緒にこの大会に参加してンだ…。で…、そいつら、まったく勉強もせんと、遊んでばかりいて…、だけど…、おいら中学しか出てないから、そいつらに何も言えん…。“教育”なんてえらそうなことは言えん…。だから…、おいらも、勉強することにしたンだ…。えらそうな事を言う代わりに、おいらは、あいつらの何倍も勉強して、その勉強している姿を、あいつらに見てもらう。それが、おいらの考える“親がしてやれる教育”ってもんだァ…」 リンスリは黙って聞いている。 何故そんな事をするのか不思議がっているようでもあり、考え込んでいるようでもあり…。 「それで…、お子さんたちは勉強するようになったんですか?」 倉田里子が丁寧な口調で尋ねると、悟郎さんはちょっと顔を赤らめつつ、満面の笑みで答えた。 「したっけ、するようになったンだ〜。おいら、あいつらの後輩っしょ? だから、勉強の事をあれこれ聞いてやったンだ。この問題、おいらには分からないから教えてくれ、って。そしたら、瞬のやつ、自分も分からなくて…、それが悔しくて、自分でも勉強するようになりやがって…、穂多も同じだったンだ」 瞬、穂多というのが息子さんと娘さんの名前なのだろう。 その瞬くんと穂多さんと、この悟郎おじさん。3人が仲良く教科書を広げ、家で勉強している姿を想像したのか、辺見悦子は少しだけ羨ましそうに、そして寂しげに呟いた。 「そういうのって、素敵だな…。わたしのお母さん、勉強しろ、塾にいけ、ってうるさいけど、自分はいつもTVばかり見てるし、お父さんだって帰ってきたらご飯食べて寝るだけ…、休みの日はいつも家でごろごろしてるし…。悟郎おじさんみたいに自分も勉強すればいいのに…」 「…確かに、うちの両親も似たようなものね。パチンコに行く暇があったら、勉強している姿を私に見せるべきだわ。大人が見本を示してこそ、“教育”でしょうに」 悦子に強く同意したのは、倉田里子だった。 「そうね、おじさんは偉いわ」 鳥枝杏樹が素直な賞賛を送ると、さすがに悟郎さんは恐縮してしまったらしい。 女子中学生3人組から、こうも真直ぐに尊敬のまなざしを送られた経験は無いと見える。 「なんも、なんも…、おいら、頭悪いし、馬鹿だし、貧乏だし、目は垂れてるし…」 今度はひたすら謙遜(?)を繰り返すが、それを遮って里子はぴしゃりと断言した。 「いいえ、おじさんは素晴らしいわ。私、最近の若者の精神が荒廃しているのは、おじさんみたいな大人がいないからだと思ったもの」 「難しい話は分からないけど、わたしも、おじさんみたいな人が身近にいればよかったな。いろんな事教えてもらえそうだし」 と、悦子。 「確かに、あたしは今まで、おじさんみたいな人に会った事なかったわ。…ところで、聞いてなかったけど、どうしておじさんはこうやってサバゲーに参加してるの?」 そう聞いたのは、杏樹だった。 無論、彼女は軽い気持ちで聞いたのだが、それに対する悟郎さんの答えは、かなりヘビィで、涙なくして語れない類の話だった。
黒井田悟郎にとっては、伯父の孫にあたる親戚筋であり、そのため、悟郎の息子の黒井田瞬と娘の黒井田穂多にとって、幼少から兄のような存在であった。 口数が多く、お調子者で、底抜けに明るいが、義理人情に篤く、行動力は抜群。 そんな西村滉太が、サバゲーチームを作り、この大会に参加する事を企画したのである。 メンバーにはもちろん自分自身、黒井田瞬と黒井田穂多の兄妹、それから瞬の親友で、穂多の彼氏でもある笠間譲吉と、瞬の彼女内村ゆい、そして、この黒井田悟郎おじさんが加わった。 もちろん、悟郎さんは最初は遠慮した。 若いものの集まりに加わるのもどうかと思ったし、なにより鉄砲で撃ち合うなんて悟郎さんの平和主義に反する。 しかし西村滉太は粘り強く悟郎を説得した。 決め手となったのはこの一言である。 「サバゲーをはじめるにはお金がかかる。一人5万はかかる。5万だ、おじさん、全員で30万だ…、すげぇ大金だ。でも、オラたちにはそんな金はねェ。だから、おじさん、オラたちはお金をかけないで、装備を整えたいんだ。おじさんの協力がいる。オラたちに色々教えてください」 井戸を掘ったり、水力発電で電気を作ったり、粗大ゴミを修理して使ったり、拾ってきたもので家を建てたり、そんな悟郎さんの生き方、やり方を伝授して欲しい。 西村滉太の真摯な言葉に、ついに悟郎さんも折れ、チームのメンバー兼メカニックとして参加することになったのである。 こうして悟郎さんが中心となり、エアガンの修理や、カスタム、チューンなどをチーム一丸となって行ったのであった。 そんなわけで、彼らは、拾ってきたエアガンを修理したり、不要となった作業着の上に茶色や草色のぼろきれを縫い付けて、それで迷彩服の代わりにしたり、フルフェイスゴーグルも捨てられていたバイクのヘルメットを拾ってきて、それに迷彩色に色を塗ったり、と知恵を出し合って装備をそろえた。 こうして散々苦労したものの、ポリシー通り、装備にはお金をかけずに、なんとか6人分の装備一式を整えることに成功したのである。 まったくもって、これは誇るべき成果であり、見事な結果である。 だが、道北大会に参戦した『富良野防衛家族黒井田家』を待っていたのは、ギャラリーの冷笑、対戦チームの哀れみを帯びた視線だった。 よりひどいことに、彼らを露骨に中傷する人間もいた。
「大丈夫だ、オラたちが勝つべ。優勝して、あいつらを見返してやるべ!」 チームは西村滉太の笑顔と、その一言で救われたのだ。 『富良野防衛家族黒井田家』は装備で劣っていても、チームワークで戦った。 それに、敵チームが“中古のオンボロ”と馬鹿にするエアガンは、悟郎さんの“神の手”に修理されたことにより、なんと新品のとき以上の性能を得ていたのである。 この“神の手”に最初に気付いたのも西村滉太だった。 悟郎さんに修理されたエアガンの命中率、有効射程が向上している事を興奮した口調で伝え、悟郎さんを褒めちぎったのだ。 悟郎さんは照れくさそうに答えて曰く。 「おいら、ガンスミスらしい…。悪くない…気がする」 ガンスミスとは銃工、鉄砲鍛冶、銃職人のことである。 こうして、悟郎さん自身、自らの腕を振るい、それを正当に評価されることが出来る場を見つけたのである。 サバイバルゲームの素晴らしいところは、端的にいえばエアガンさえあれば、誰でも参加出来るところにある。 例え50歳のおっさんだろうと、か弱い女の子であろうと、統一されたルールの下、平等に腕を競うことが出来る。 ひとたびフィールドに立てば、そこは見かけではなく、実力だけがものをいうシビアな世界なのだ。 エアガンが中古だからといって、そして自分たちと異なった格好だからといって、それを馬鹿にする権利は誰にも無い。 たっぷりお金をかけたフルカスタムの電動ガンと、新品の迷彩服。そんな装備をしているだけで、そんなに偉いのだろうか? 外見だけで『富良野防衛家族黒井田家』を蔑んだ、貧しい心の持ち主たちは、その歪んだ価値観ゆえに自らの墓穴を掘った。 灰色のフィルター越しでは『富良野防衛家族黒井田家』の実力を見抜けるはずも無かったのだ。 こうして、『富良野防衛家族黒井田家』は彼らを馬鹿にするあまたのチームを小気味よく撃破し、見事道北地区大会で優勝を飾ったのであった。 メンバー6人の喜びは言うまでも無い。 しかし、歓喜の優勝から一夜明け、彼らは西村滉太の訃報を聞いたのである。 …試合会場からの帰り道、交通事故だった。
しみじみと、そして消して消えることの無い悲しみを湛えつつ、悟郎さんがそう締めくくった。 「うぅぅ、ぐすっ…」 ぽろぽろと涙をこぼす辺見悦子。 他の二人も、無言のままハンカチで涙をぬぐっている。 「滉太のために泣いてくれてありがとう…。あいつは、可愛い女の子が好きだったから、きっと喜んどる…」 悟郎さんはそう言うと、自分よりはるかに年下のリンスリに深々と頭を下げた。 なんていい人なんだろう。 どこまでも優しくて、謙虚で、そして懐の深い…。 リンスリはすっかり悟郎さんの人柄に魅了されてしまっていた。
これまでこうやって悟郎さんの事を正当に理解できた人間は、チームメイト以外では誰もいなかった。 そのみすぼらしい格好、50歳という年齢だけを表面的に判断し、ダサい、キモいと軽蔑し、近寄らない若者ばかりだったのだ。 リンスリのような華の女子中学生ならば、なおさらである。きっかけが無ければこうやって悟郎さんの様なおじさん世代と話をすることも無かっただろう。 きっかけ…、つまり直江輪@『FANG GUNNERS』の役に立ちたいがため、作戦を聞き出すため、である。 そういう意味で、輪君は自らが知り得ないところで、彼女たちにとても素晴らしい贈り物をしたに等しい。 結果として、彼女たちの尊敬ポイントの何割かは輪を離れて悟郎さんに移ったが…。
『夕張のガンマン』対『地獄のも釧路区』である。 二人の強力なエースを擁する『夕張のガンマン』は初戦で『FANG GUNNERS』に快勝したものの、二試合目で『富良野防衛家族黒井田家』にまさかの敗北。 特にその試合では、なぜか凄腕スナイパーの“大佐”が絶不調で、百発百中のはずの狙撃が一度も成功しなかったのであるが、どうやらその“大佐”の調子も元に戻ったらしい。 『地獄のも釧路区』は毎回おなじみの塹壕戦で挑んだが、“名無し”が足を使って撹乱し、浮き足立った敵を“大佐”が狙撃する、という黄金のコンビネーションの前になすすべなく、次々と討ち取られていった。 起死回生を狙い、『地獄のも釧路区』の“チャーリー”が、またしても池を潜行して『夕張のガンマン』の本陣を襲ったのだが、奇襲を予期し、アンブッシュしていた“賞金首”によって、脆くもヒットされてしまった。 こうして、見事『夕張のガンマン』が勝利を収め、決勝リーグ進出を一足先に決めたのであった。
“大佐”:7(+3)
めらめらと闘志を燃やす女が観客席に一人。 言うまでもなく、『FANG GUNNERS』のエース、本多美亜子、その人である。 もちろん、『FANG GUNNERS』はこのあとで『富良野防衛家族黒井田家』との一戦が控えているのであるが、美亜子の心はすでにそこは通過しており、“名無し”の姿しか見えていない。 と、試合も終わり、フィールドを引き上げていく“名無し”が、美亜子のオーラを感じ取ったのか、観客席、美亜子のほうを見たのである。 目が合う二人。 (待っていなさい。もう一度勝負よ) (…いいぜ、楽しみにしている) 武人同士、視線だけで意思のやり取りが出来ていたり…。 「…やれやれ」 そんな美亜子を苦笑半分で見やりつつ、軍師輪君の頭の中では、対『夕張のガンマン』の戦術が刻一刻と練り上げられている…。
『チーム風林火山』と戦うのは道東地区優勝チームである。 ちなみにこの両チーム、すでに2勝ずつして決勝リーグへのチケットを手にしている。 「…ということは、この試合に意味は無い。本番は決勝リーグであり、ここで負けても全く失うものが無いということだ。逆に決勝リーグでもう一度戦うのだから、手の内を見せたほうが不利になる。もしも俺が指揮を執っていたなら、ここはわざと負ける」 そう分析したのは輪君である。 「ふぅ〜ん、あんたならそうするかもしれないけど、広奈はどうかしらね? これまでの連勝記録を止めるとは思えないわ」 反論したのは美亜子だった。実のところ広奈と自分は本質的なところで似ている、そう思っている美亜子だからこそ、広奈がわざと負けるとは考えにくい。 「ダーリン、大事な事を忘れてないかい? あの子は“撃墜王を狙う”って宣言してるんだよ。ってことは、この試合も多分撃墜数を稼ぐ為にしっかり戦うはずだ」 そう指摘したのは真理姐さん。 「…なるほど、武田の側にはそれだけの理由があるか。とすれば、敵チームの側こそ、リスクを恐れずに済み、冒険が容易になるな」 こうして輪君の灰色の脳細胞は、敵の戦術をはじき出した。 「おそらく敵は6人全員で速攻をかけてくる。…そして武田ならばそれを予期しているはずだ」
4人の猛烈な弾幕に敵の足が止まったところで、茂みに隠れていた弾正と修理が敵の背後から奇襲をかけた。 こうして前後から挟撃された敵はなすすべなく、AK備え必殺のJ.S.A(十字砲火掃討殲滅アタック)によって次々に討ち取られた。 特に撃墜王を狙う弾正こと高坂鏡の活躍は目覚しく、自身もヒットされたものの、それまでに敵を3人仕留め、この段階で撃墜数の単独トップに躍り出た。 こうして『チーム風林火山』はほぼ輪君の予想したとおりに勝ち、その強さをまざまざと見せ付けた。 予選リーグでの『チーム風林火山』の撃墜数。
弾正:9(+3)
真理の声は、辺りをはばかってか、ささやくように小さい。 「…ああ」 応じる輪の声にはどことなく後ろめたい響きがにじむ。 「…じゃあ、脱ぐね」 何もいちいち断ることはあるまいに…。 輪はそう思うのだが、もちろん真理なりに、それは意図して言った事。 いわば、輪との秘め事を迎えるに当たっての、儀式としての一言。 真理の体を包んでいた衣装が一枚、また一枚と脱ぎ捨てられ、18歳の瑞々しい身体が露わになる。 輪は無意識のうちに息を呑んでいた。 ベルトを外す音、脱いだスカートが床に落ちる音。 かすかに聞こえるそんな音が、輪の想像力を激しく刺激する。 「ダーリン、全部脱いだよ…」 真理姐さん、とどめの一言。 「わ、わざわざ言わなくていい」 何とか言葉を搾り出し、ぶっきらぼうに呟いた輪だったが、言うまでに2秒も硬直していたことが、彼のうろたえを雄弁に語っていた。 黒のロングコートを脱ぎ、手に持っているのだから、そんなに暑くないはずだが、輪の額に汗がにじむ。 黒のサングラスをしていてよかったかもしれない、少なくとも動揺を悟られる材料は減る。 そんな事を考えている辺り、すでに輪の負けである。 「そんなに焦っちゃいやよ、ダーリン。あたしまで恥ずかしくなっちゃいそう」 (…絶対わざとやってやがる) 悲しいかな、分かっていてもそんな風に言われたら、ドキドキしてしまう。 「ダーリン、お願い、何か言って…」 「………………………」 直江輪16歳。青春真っ只中である…。
「…いいから早く着替えてくれっ」 “更衣室の中”から、真理姐さんの半笑いの声が返ってきた。 「あいよ」
散々輪をからかえたこともあり、真理姐さんは上機嫌で、更衣室から出てきた。 この大会のフィールドには、もちろん女性サバイバルゲーマーの為に、きちんと更衣室が用意されており、真理姐さんは次の試合の入場パフォーマンス用に、コスプレ衣装を着替えていたのである。 んで、着替えるにあたり、真理姐さんは輪に更衣室に不審者が近付かないよう、見張り兼護衛の役を仰せ付けたのであった。 結果、散々弄ばれた感のある輪は、若干の不機嫌さをたたえて、真理姐さんを見た。 そして絶句した。
黒いサングラスの下、輪の視線が真理姐さんの顔から足元、そしてまた顔へと動き、全身をスキャンし終えると驚きと賞賛が入り混じった「ほぉ〜」という呟きが漏れた。 「よっしゃ! 今ダーリン、あたしのこと見とれただろ」 真理姐さん、改心のガッツポーズ。笑顔がはじける。 「よしよし、絶対会場を魅了してやる。まだまだ若い子に負けてらんないわ」 姐さんの言う“若い子”が広奈様を指しているのか、それとも瑠華や美亜子のことなのか、輪には分からなかった。 ともあれ、輪は段取り通りに、脱いだ黒のロングコートを真理姐さんに差し出した。 ステージに上がるまで、真理姐さんのおニューの衣装は隠しておくのだ。 「さんきゅ」 コートを受け取り、それを着る真理姐さんを見つつ、輪はその服が隠れるのを惜しいと思い、そう思った自分に驚いていた。 無論、輪君はそれをおくびにも出さず、代わりにポケットから真理姐さん用のサングラスを差し出した。 黒のロングコートで全身を包み、黒のサングラスをかけると、それはそれで真理の衣装は『MA@RIX』のヒロイン、“マリニティ”のコスプレに見える。 特に、輪の衣装が『MA@RIX』の主役である救世主“ナオ”なので、余計にそれが引き立つ。 「ん、じゃあ行こうか。わが参謀殿」 「ああ」 こうして、一見すると『MA@RIX』の主役カップル風になった二人が更衣室から、ステージ裏へと移動していったのである。 道中、再び真理姐さんが爆弾発言。 「それにしても、残念だな。もしも、あたしの生着替えに興奮したダーリンが、更衣室に乱入してきたら…」 と、そこで言葉を切って、輪を見た。 輪は無視してやりたかったところだが、あいにく真理姐さんと目が合ってしまい、仕方なく反応した。 「乱入したらどうする?」 すると、待ってましたとばかり、真理姐さんは攻撃的な笑みを浮かべ、断言。 「あたしのクルツで必殺ゼロ距離射撃を散々お見舞いして、戦意喪失したところをいいだけ蹴倒した挙句、やさーしく警察に突き出してあげたのに…」 「はぁ…」 再び、輪の口から力なくため息が漏れた。 この発言は、どちらかといえば美亜子が似合いそうな領分だ。 美亜子だけでも手に余るというのに、真理姐さんにまでこんな事を言われたのでは、輪の精神的疲労も倍増というものである。 そんな輪を愉快そうに見ていた真理姐さんだが、最後にこう締めくくった。 「な〜んて、冗談よ。ダーリン(はあと)」 妙に可愛くそんな事を言う真理姐さん。 「はぁ…」 3度目のため息を漏らした輪だったが、ふと思った。 一体真理姐さんの発言はどこからが冗談だったのだ?
ギウリオ・ドーウェ(イタリア、大将)
『FANG GUNNERS』の試合前の入場パフォーマンスは一見の価値がある。 淳二の狙い通りに、すでにギャラリーの多くがそう思ってくれているようで、ステージ前はお客さんで超満員状態。 フィールドの観客席から、みんなぞろぞろとこちらに移ってきたらしい。 そんな注目度ナンバー1の『FANG GUNNERS』、いよいよ入場である。
司会進行役の今井さんの名調子に乗せ、今回の『FANG GUNNERS』の入場曲が流れ出した。 What can I do for team? この特徴的なバックコーラスから始まる曲は…。 続いて軽快なイントロの音楽が流れ出し、多くのギャラリーが入場曲を把握した。 そう、人気ゲーム『F@]−2』のオープニング曲『sabage Emotion』である。
What can I do for team? しかし、その曲に乗せてステージに登場したのは、黒ずくめの二人。 『MA@RIX』コンビ、救世主“ナオ”とヒロインの“マリニティ”である。 ゲームとは関係ないのでは? と一瞬だけ、違和感が頭をもたげるが、何しろこの二人はかっこいいのだ。 ギャラリーは、二人が現れただけで、大歓声である。 長身で足も長く、少しやせて見えるが、その実相当に鍛えられた肉体は“着やせマッチョ”である輪。 そんな見栄えする体の上に載っているのが、(一応)クールな美形顔である。 サングラスのおかげか、妙な風格まで漂わせている。 そしてそんな“ナオ”にまったく見劣りしないのが、隣にいる“マリニティ”こと、真理姐さんだ。 もともと姉御風のかっこよさを発散している真理であるが、サングラスに黒コートの取り合わせが、またたまらなくクール。 硬質の美しさと、触れると怪我をしそうな危険な香りが相乗効果でギャラリーの目を奪う。 まさに、ハリウッドの方程式。 だが、演出はここがスタート地点。
What can I do for team? そして、真理姐さんは黒コートに手を掛け、一気にそれを剥ぎ取った。 コートの中、新しいコスプレ衣装にギャラリーの目が釘付けになる。 おニューコスは、やっぱり大胆。 肩を剥き出しにした、タンクトップ風の青のトップスは当然へそ出しの短いデザイン。 そこから白のひらひらが襟と、そしてスカートのように左半分に伸びている。 レースの透ける素材の黒い超ミニスカートの下に、これまた黒のショートパンツ。 腰には水色のベルトが斜めに巻かれていて、いい感じのアクセントになっている。 すらりと伸びた白い太ももが、透けるミニスカと相まって、扇情的なまでに男性ファンの目を奪う。 そう、コートの中から現れた真理姐さんの二弾目コスプレは、『F@]−2』のヒロインの歌姫バージョンである。 この入場曲は、このためだったのか! 超納得顔のギャラリー多数。 真理姐さんは、してやったりの笑顔で右手を真横に真直ぐ伸ばし、ポーズを決める。 絹のような素材の青い布が両腕のひじから手首まで巻かれており、その先の右手になぜかマイクが握られていたり…。
What can I do for team? 「『FANG GUNNERS』リーダー片倉真理。歌って踊ります!」 マイクを通して真理姐さんの第一声がこれ。 「うぉぉぉぉぉーーっ!!」 「きゃぁぁぁぁぁーっ!!」 盛り上がるギャラリー、沸き起こる大歓声。 そんな中、“ナオ”がコートを回収してステージを去り、代わりに“T田”コスの淳二が、ステージに駆け上がってきてポーズを決める。 だけでなく、何と音楽に合わせて、軽快に踊りだしたではないか。 そう、淳二の役どころは、真理姐さんのバックダンサーなのだ。 これで、ネタ通りに役者が揃った。 そしてこの時点でイントロ終了、真理姐さんは、ノリノリで歌いだした。
あの手この手の衣装で 戦える場所にいる♪ 輪は真理の脱いだロングコートを持って、ステージ裏に戻ってきた。 今回の輪の仕事は、最初に真理と一緒に入場し、前フリとして『MA@RIX』ネタと思わせることと、小道具のコートの回収である。 ステージ裏では、美亜子がちょっとだけ皮肉っぽい表情で輪に声を掛けてきた。 「真理姐、ずいぶん楽しそうね。…輪、あんたも歌ったりしないの?」 「…柄じゃないな」 無表情にそう答える輪。 大会前の入場パフォーマンスの打ち合わせのとき、ステージ上で踊ったり歌ったりする役のことごとくを、断り続けた輪である。 「ひょっとしてさ、あんた、“あれ”がトラウマになってたりする?」 美亜子の言う“あれ”が何を指しているのか、輪にはすぐに分かった。 あの忌まわしい事件である。 「…関係ない」 言いながらも、輪の表情が、100万語に匹敵するだけの雄弁さで美亜子の発言を肯定していた。 その反応がまた期待通りだったので、美亜子は愉快そうに微笑んだ。 「ならいいけどね。あんたその顔でその声なんだから、歌えば盛り上がるわよ?」 「………そういうのは、やりたい奴がやればいいんだ。淳二のように」 話題の矛先を淳二に逸らすという、輪の戦術は成功した。 なにせ、二人の視線の先、“T田”の衣装でステージに上がった淳二が、バックダンサーとして、真理の後ろで踊っているのだ。 これが、なかなかどうして、どうしてなかなか結構上手いのだ。 もともと真田流古武術の使い手でもあり、身体操作は超一流であるから、ダンスなんかも器用にこなせるのだろうが…。 「…あいつ、真理姐と秘密特訓したって自慢してたわね」 「なるほど、あれは訓練の成果、というわけか」 それにしても…、とこのとき輪と美亜子は共通の感慨にふけっていた。 入場パフォーマンスのネタのため、という口実で、淳二は広奈様と二人っきりでカラオケに行ったり、真理姐さんと二人っきりで秘密のダンスレッスンをしたり…。 手段が目的化しているとはいえ、この辺のしたたかさ、そしてなんだかんだ言って自分が一番おいしい思いをするあたりはさすがというほか無いな、と。
What can I do for team? そうこうしているうちに歌の1番が終わり、間奏に入っていた。 すでにギャラリーは総立ちで手拍子したり、腕を突き上げたりと、どこかの野外コンサートと見まごうばかりにノリノリの大盛り上がりである。 そんな大勢のお客さんの前で歌っているのだから、真理姐さんもすっかり気分が大きくなり、マイクを通してこう叫んだ。 「あたしのステージで踊っていきな!」 9割がたのギャラリーは、その叫びでさらにボルテージを上げた。 「いいぞ〜、真理ちゃ〜ん!」 喜ぶおじさんたち。 「姉御〜〜〜!」 萌えるお兄さんたち。 「きゃ〜〜〜」 弾ける少女たちの黄色い声。 しかし、中には…。 「…やっぱ中身はルブ@ンかッ」 意味不明の感想を漏らす人もいたり、いなかったり。
What can I do for team? 「真理姐もよくやるわねぇ」 「…あの人の場合、こういうのが心の底から楽しいだけなんだろう」 最近、それが良く分かってきた輪である。 だから、ついついこういう愚痴が漏れた。 「そういう意味では、淳二と偽装交際してくれれば楽だったがな…」 メンタリティの似たもの同士、抵抗も少ないだろう、と思う輪君である。 「じゃあ、あんたは誰とくっつくの?」 美亜子は軽い気持ちで聞き、輪も特に深く考えずに脊髄反射でこう答えた。 「俺はお前でいい」
What can I do for team? そして美亜子は、あろう事か、輪のその一言に雷に打たれたように立ちすくんでしまい、一切のリアクションが取れなかった。 歌は2番に突入した。
決して逃げ出しはしない 狙撃には頼らない♪ 8割の感嘆と2割の後ろめたさを含んだ春樹の声。 「…お前は何故踊らなかったのだ? 真田に誘われたのだろう?」 それを察したかどうかは分からないが、瑠華の疑問はまさに春樹の痛いところをついた。 「うん、すごーく熱心に誘われたけど、僕には無理だよ。あんなふうに踊れるわけないから」 「……そうか」 それっきり、瑠華は黙った。 春樹がチラッとその横顔を盗み見ると、やはり瑠華は一切の感情を浮かべず、無表情でステージを見ているだけ。 内心、何を考えたんだろうか、と春樹は少し不安になった。 ダンスを断ったことで、僕を軽蔑しただろうか?
…大会まで日もないのに、ダンスをマスターするのは無理。 …ステージの上で、のび○の衣装で踊ったりしたら、笑いものになるし。 …直江君もきっぱり断ったし、僕だって。 そんな打算もあり、春樹にしては珍しく、今回は徹底して断り続け、最後には淳二が折れたのである。 「う〜ん、分かった。しょうがないわな。ま、その分、オレは姐さんと二人っきりの秘密レッスンが出来る、って訳だし。むしろそっちのほうが嬉しかったり〜?」 そう言って淳二は笑ったが、それは断った春樹が後ろめたさを覚えないよう、淳二なりの気の遣い方だった。 それが分かるだけに、春樹は申し訳ない気持ちで一杯になる。 「やっぱり、下手でも一緒に踊ってあげたほうが、真田君も、片倉先輩も喜んでくれたのかな…」 ついつい、瑠華に対してそんな弱音を吐いてしまう春樹である。 「ああ」 どきっぱり。 (はぅ) 瑠華に断言されて、春樹はしたたかにダメージを受けた。 「…それに、私も見てみたかった」 「………へっ?」 見てみたかった? 見たかったの、明智さん? 僕のダンス? 見たかった? そんな…、今更そんなこと言われても…。
唐突に、ほとんど瞬間移動してきたんじゃなかろうか、というくらい唐突に、春樹の目の前に出現したのは、ご存知『ミリタリーのサカイ』の迷店員にして、今大会の司会を務める今井さんだった。 …いつの間に着替えたのか、今回はダンサー風の衣装で、しかもアフロヘアだった。 「…い、今井さん?」 「アフロ〜♪ つけて〜♪ 大はしゃぎ〜♪」 歌いながら問答無用で、春樹にアフロのかつらをかぶせ、変なサングラスをつける。 「…あ、あの」 「奪取〜♪ 撤収〜♪ また来週〜♪」 抵抗する間もなく、春樹は今井さんに連れ去られた。 残された瑠華、呆然と呟く。 「…ありえない」
What can I do for team? それは今井さんの声であり、「What can I」の代わりに「しごと〜」、「do for team?」の代わりに「きっちり〜」と歌っていた。 つまり…。
仕事〜きっちり〜♪ ポン♪(なぜか鼓の音) ステージ上に、突如、アフロの二人組が登場したからである。 一人はダンサー風のアフロ。もちろん今井さんだ。 そしてもう一人は、のび○の格好にグラサン、アフロ。そしてなぜか両手には白地に黒で「あっぱれ」と書かれた扇子を持っている。 それが、今井さんの歌う「仕事〜きっちり〜♪」に乗せ、扇子をひらひら振って踊りだしたのだ。
仕事〜きっちり〜♪ ポン♪(なぜか鼓の音) ポン♪ のときには、毎回きっちり決めポーズを作るし、この動きが妙にこなれている。 もう駄目である。 あまりの出来事に呆然と立ちすくんでいたギャラリーも、ようやく我に返り、そして目の前で展開される面白すぎる光景に、爆笑を開始。 会場全体が、かつてない大爆笑の渦に包まれた。
仕事〜きっちり〜♪ ポン♪(なぜか鼓の音) (参ったよ、ハル。お前さん最高だぜ) 笑いの衝動を必死にこらえ、それでも淳二はちゃんと自分のパートを踊る。 そうしてこそ、ステージ上で繰り広げられる、この事態のギャップに客はウケるのだから。 (おいしいところ、全部持っていかれたかな、こりゃ) 真理姐さんも、そう思わないでもないが、こちらにも意地がある。 最後まできちんと歌いきるのだ。
リアルなゲームに揺れてる戦場♪ もはや頭のネジがダース単位で吹き飛んでいるに違いない。 あるいは、彼の脳裏で、アーモンドっぽい種が、ぱきーんと弾けたのか。 ともかく、春樹は一心不乱に踊り続け、客席はもはや笑いすぎで涙を流す人や、腹を抱えて地面をのた打ち回る人まで出ている始末。 のび○なのである。それがアフロなのである。「あっぱれ」扇子なのである。しかも踊っているのはあの春樹なのである。 すべてが笑いのツボ。 さすがの真理姐さんも、歌い終わった瞬間、こらえきれずに笑い出してしまった。 それでもう駄目である。 懸命に踊り続けた淳二も、これにてリタイア。 湧き上がる衝動のまま、ステージ上にぱったり倒れ、半ば痙攣しながら笑い続けた。 歌の後奏は、もはや伊達春樹オンステージの様相を呈していた。
仕事〜きっちり〜♪ ポン♪(なぜか鼓の音) だが、輪はふと異様な音が付近から聞こえてくるのに気付いて辺りを見回した。 そして、彼は見た。 信じられない光景だった。 あの、あの、あの明智瑠華が、目に涙すら溜めて腹を抱えて笑っているのだ。 しかも、その口からは「いひ」とか「いーひっひ」とか、この世のものとは思えない、妙な笑い声が漏れており…。 その瞬間、輪の中から笑いの衝動が一気に消し飛んだ。 そして、まるですがりつくように、震える手を美亜子の肩に置いた。 何事かと振り向く美亜子に、輪は茫然自失の顔で無言のまま瑠華のほうを指差した。 「……!!!!?」 予想通り、目を丸くし、固まる美亜子。 「あれを見たか、俺は一生この光景を忘れられないだろう。明智瑠華が笑っている……」
仕事〜きっちり〜♪ ポン♪(なぜか鼓の音)
サカイ〜安い〜♪
「
踊り続ける自分、笑い続ける自分。
自然から頂戴しろ、慎ましく生きろ『FANG GUNNERS』」 |