陰陽五行戦記おまけ劇場

五行戦隊センゴクマン!

第十三話

「センゴクマン爆走(後編)」



◇土曜夜10時◇


大勢のギャラリーが見守る中、白いマシンから緑色のレーシングスーツの男が降り立った。

相変わらず緑色のヘルメットをかぶったままでその顔は見えない。

その男の前に大泉、安田の両名が進み出た。

二人の後ろにはこっそりとなつめがいる。

「土曜の夜になれば、峠最速の奴に会えると聞いた。…おまえらか?」

ヘルメット越しに、くぐもった、しかしふてぶてしい声が響く。

「そうだ。下りはこいつのインプレッサ。登りは俺のエボZで相手をする」

大泉が男を睨み付けながら言った。

「いいだろう。お前達が負けたらチームのステッカーをもらおう」


その一連のやりとりの間、なつめは男のことをじっくりと観察していた。

不思議なことにこの男からは一切のオーラを感じない。

逆に謎のマシンからは邪悪なオーラが発散されていた。

(間違いないわね…。レーシングスーツの中には恐らく“何もない”。この男の本体は、あの車そのもの)

なつめは唐突に男に声をかけた。

「ねぇ、あんたのマシン。どんなエンジン積んでるの?」

男はそれには答えずそのまま背を向けてマシンに乗り込んだ。

大泉、安田が怪訝そうな顔でなつめのことを振り返った。

マツダのRX−7に搭載されているのはロータリーエンジンだ。

なつめに限って知らないはずないだろう、と二人の顔に書いてある。

だが、その男はおもむろに窓を開けるとヘルメットをなつめに向けて一言。

「のーたりんエンジンさ」



「こちら立花なつめ、紺谷ヶ峠にて怪人を確認。至急センゴクマンの出動を要請します」

Zの車中に戻ったなつめが、腕時計型の通信機を通じて晴明長官に連絡を入れていた。


ナレーション:「説明しよう。白楊高校の校医にして伝説の走り屋立花なつめ、しかし彼女は晴明長官直属の諜報員でもあったのだ!」


「補足します。相手は怪人と言うより自動車そのものです。センゴクマン到着後、5人のうち誰かをアタシの車に乗せることを提案します。でなければ逃げられる可能性が…」

しかし、晴明長官からの返答は簡潔を極めた。

「無用だ。すでに車は用意してある。なつめはセンゴクマン到着まで時間を稼ぐように」

「りょ、…了解」

いつの間に車なんて用意したのかしら、と思いつつなつめは通信機を切った。

(どちらにせよ、相手が怪人である以上、あの二人の勝機は薄いわね…。だいたいあのマシン、まともなメカニズムで動いているのかさえ怪しいわ)

だからといって止めて聞く二人ではあるまい。

それに、バトルをしていれば、センゴクマン到着の時間を稼ぐことが出来る。

(これじゃ、二人とも捨て石だわ)



◇同時刻 センゴクマン秘密基地◇


センゴクマンの秘密基地には急な呼び出しを受けて、不満顔の4人が集まっていた。

一番遅くに到着した淳二は、一人足りないことに気付いて輪に聞いた。

「うにょ? 広奈ちゃんは?」

「コンサートで札幌だそうだ。急遽函館に向かっているそうだが、まだしばらくかかる。ここは俺達4人でなんとかするしかない」

「あれま」

「一応函館に到着したら、広奈の家にあるなかでも一番速い車であたし達の後を追うって」

二人の会話に口を挟んだのは美亜子だった。

と、そこにマカナが現れた。

「お待たせしました〜。表に車を用意してあります。あらかじめセンゴクマンに変身してから、上に乗るように、とのことですぅ〜」

表に出た四人が見たものは驚くべき光景だった。

『晴明長官が用意したもの』 (GT4で撮影。参考までに)


「え…、NSX−R!!!?」

車に一番詳しい淳二が驚嘆の声を上げた。

「しかもこれは2001年の東京モーターショーに展示されたヴァージョンじゃねぇか。市販されてるはずないのに何でこんなところにあるんだ??」

目を丸くする淳二だったが、その隣で輪が全く違うことを考えていた。

「ところで、これは2シーターなんだが、どうやって4人乗る気だ?」



数分後、彼らはマシンの上に座っていた。

「だからといって、どうして4人で屋根の上に乗らなければならないんだ!?」

「そうよ、ちゃんと座席に乗せなさい」

輪と美亜子が非難の声を上げ、淳二と春樹も同調していたがマカナは笑顔でいなした。

「晴明長官の命令ですから。車の上に透明な箱を乗せておいたからそこに乗るように、と」

言われて4人が手を伸ばすと、確かに壁の感触。

マシンの上の透明な箱、と言われると確かにそんな感じ。

「それからこうも仰ってました。『免許のないおまえらのために、ある細工をしておいた。安んじて乗っておれ』と」

「細工?」

4人が顔を見合わせると突然声が響いた。

『よ〜し、行くぜぇ! しゃべると舌を噛むからな、歯ァ食いしばれェ!!!』

そして物凄い急加速。

4人はあっさりと加速Gによって吹き飛ばされた。

「なっ!?」

「うにっ!?」

「うっ!?」

「はうっ!?」

どかどかごちっ。

彼らは“透明な箱”の後部にえらい勢いで激突。

『ぶぉぉ〜ん、ぶぉぉ〜ん、ぱらりらぱらりら』

謎の“奇声(?)”を上げながらNSX−R(?)は函館市内を爆走。

「と、止めろぉぉぉぉぉ!!」

「にゅらぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「ど、どこ触ってんのよぉぉぉ!??」

「は、はぅぅぅぅぅぅぅぅ」

そして4人の悲鳴が響き渡ったのであった。



一方の秘密基地。

「ところで晴明さま。あの車は一体どうやって手に入れたんですか?」

「朧車に幻覚をかぶせただけだ。小細工だが見た目はごまかせる」

「なるほど〜」

「あとは、朧車が勝手に走ってくれる」


ナレーション:「説明しよう。朧車とは晴明長官が使役する式神で、その姿は夜叉の顔が浮かび上がる牛車である。そして牛車でありながら自走可能で、最高速は実に時速300qオーバーのモンスターマシンなのである。詳しくは本編の1314話を読んでみよう」



◇紺谷ヶ峠◇


「さぁ、約束だ、ステッカーをもらおうか」

森崎塾はあっさりと敗北していた。

(じ、時間稼ぎにもなりやしないわ…)

立花なつめは焦っていた。

晴明長官からの連絡では、あと20分ほどしないとセンゴクマンは到着しない。

だが、その一方でなつめにはもうひとつ調べたいことがあった。

行方不明となっている『紺谷ヶスピードプラネッツ』と『紺谷ヶブルームーンズ』のメンバーの居所である。

もしこの怪人が事件を引き起こしたのだとすれば、見張っていれば『森崎塾』のメンバーも同じような目に遭う可能性が高い。

『森崎塾』の後をうまく付けることが出来れば、行方不明のチームメンバーの居所が判明するだろう。

なつめが迷っていると、男は受け取ったステッカーを自らのマシンに張り付けた。

その瞬間、ステッカーを貼った場所のすぐ上に、突如光り輝く文字が浮かび上がった。

『以下のチームは、魔王クラーマ様の忠実な下僕』

「何てこと!」

遠目からなつめはそれをしっかりと確認していた。

と同時に森崎塾のステッカーを貼ったマシンの持ち主の顔つきが一変した。

大泉、安田を初め全員が表情を失い、従順な奴隷のそれに変化してしまったのである。

「そう、なるほどね…。そうやってあの子達を…」

なつめの顔が怒りで紅潮していく。

「…よし、では全員マシンに乗り込め」

怪人の命令で森崎塾のメンバーが次々に自分のマシンへと向かう。

その様子を見ながら怪人は満足げに呟いた。

「ふっふっふ、これでこの峠の走り屋は全て俺様の言いなり。あとはこいつらを使って函館市の交通網を徹底的に破壊してやる…」

「待ちなさい!!」

そこでついになつめが行動に出た。

怪人の前に歩み寄り、“ハートにイナズマ”のステッカーを突きつけこう宣言したのである。

「言っておくけど、この峠で最速はアタシよ。勝負しなさい」

怪人はしばらくヘルメット越しになつめのことを凝視していたようだが、やがて重々しく頷いた。

「どうやら速いようだな。おまえが負けたらそのステッカーをもらおうか」

「いいわよ、そのかわりアタシが勝ったら、あんたのマシンに貼ってるステッカーを全部剥がしてもらうわよ」


勝負はダウンヒルとクライムヒルの複合と決まった。

山頂の駐車場から一旦峠を駆け下ったあと、麓でUターンして再び上ってくる。

ちなみにそう提案したのはなつめである。

もちろんその分、センゴクマン到着までの時間を稼ぐつもりであった。

かくして立花なつめ、一世一代の勝負が始まった。

死神と呼ばれた伝説のフェアレディZ対謎の白いマシンRX−78(?)

二台のマシンがスタート位置に着く。

ベテランギャラリー氏のカウントでスタートが切られる。

「5,4,3,2,1,GO!!!!」

フルスロットルから爆音をあげてZがスタートした。

『立花なつめ、渾身のスタート』 (GT4で撮影。参考までに)


軽いホィールスピンをさせながら猛然と加速するZ。

500馬力近くまでチューンアップされたツインターボのV6DOHCエンジンが咆吼をあげ、レーシングカーさながらに仕上げられた足まわりがそのパワーを完璧に路面に伝えていく。

なつめのZはスタートでRX−78(?)の前に出ることに成功した。

1.5トン近い重量のマシンが猛スピードで峠を駆け下りていく様は、圧巻ですらある。

紺谷ヶ峠用にカスタマイズされたトランスミッションは小気味よくシフトし、完璧に仕上げられたデフと秘密兵器のミスファイアリングシステムが、低速コーナーでもマシンのレスポンスを極限まで上げてくれている。

さらには三年前よりも進化したハイグリップタイヤと、交換したばかりのカーボンブレーキはマシンの制動距離を大幅に縮めてくれていた。

「いい感じだわ。三年前よりも速いくらい。これならっ!」

と、バックミラーを見たなつめだったが、RX−78(?)はしかし、ピッタリとZの後ろについていた。

「…さすがに甘くはないってことかしら」

なつめはぺろりと唇をなめると、ますますバトルへとのめり込んでいった。

『死神Z、峠を疾走』 (GT4で撮影。参考までに)



そしてこの極限バトルを見ていたギャラリーは、といえば。

「おおおおおっ!! すげぇぇぇl!! 何であんなスピードであそこのS字を抜けれるんだよ!」

「ていうか、何あのマシン? GTカーみてぇなエンジン音にあのパンパンやかましいエキゾ−スト! 信じらんねぇ」

「さすがは堕天使なっちゃんだ、全然腕は落ちていねぇ」

各所でそんな声が巻き起こっていた。

そして皆一様に叫ぶ。

「にしてもあの白いの、なんでZに付いていけるんだ?」


なつめにとってそれは初めての経験だった。

自分が全速で走れば、これまで付いてこれるマシンはいなかった。

しかし、どんなにブレーキングを我慢しても、どれだけ見事にドリフトを決めても、後ろのマシンは離れない。

「ひょっとしてあいつ遊んでるの?」

苛立たしげにそう呟く。

しかし、自分の技術とマシンを信頼出来なくなったら勝負は負けである。

せめてゴールの地点までは信じ抜く。

なつめはそう決意し、ますます走りに鞭を入れた。

前半のダウンヒルは結局テールトゥノーズのままなつめが先にクリアし、目印のパイロンをスピンターンでクリアすると、そのままクライムヒルへと戻っていく。

そのすぐ後ろを白いRX−78(?)が追いかけて行く。

その限界ぎりぎりの超ハイスピードバトルに、ギャラリーのテンションも最高潮。

再び真っ暗な峠に消えていくマシンと、甲高く尾を引いて響くエキゾーストが興奮とともに彼らの心に焼き付いた。

と…、峠へと消えていったエキゾーストの他に、なにやら不可思議な音がだんだんと近づいてきた。

「なんだ? この音?」

ギャラリー達が首を傾げる中、突然“それ”は紺谷ヶ峠に出現した。

市販化されていないはずのNSX−Rと、その屋根の上を転げ回るセンゴクマン…。

『ぶぉぉ〜ん、ぶぉぉ〜ん、ぱらりらぱらりら』

『紺谷ヶ峠に、“それ”あらわる』 (GT4で撮影。参考までに)


ギャラリー達の唖然と呆然と愕然を一身に受け、NSX−Rは峠を駆け上がっていった。

「ぐあぁぁぁぁぁ!!!」

「し、死ぬぅぅぅぅ!!」

「と、止めなさいぃ!!」

「うぎゃぁぁぁぁぁ!!」

尾を引いて4人の男女の悲鳴が聞こえてくるのをしかし、ギャラリーは信じられない面もちで聞くだけである。

「…俺、夢でも見てたのか?」

「疲れてるのかなぁ…」



なつめと怪人のバトルも終盤戦を迎えていた。

そして事態はなつめにとって思いもよらなかった展開を迎えていた。

あまりにも限界一杯に酷使されたZのタイヤが徐々にたれてしまい、グリップを失いつつあったのである。

「…しまった。このタイヤの耐久性を見誤っていたわ」

初めて履くタイヤでの限界バトルに、なつめにとっての大きな落とし穴が潜んでいたわけである。

そしてゴールまで残りコーナーを三つ残すのみ、という地点でついになつめのZは敵のマシンに横に並ばれてしまった。

「くっ、行かせはしないわ」

しかし、なつめの気合いも虚しく、すでにグリップを失ったタイヤはブレーキングでの性能を低下させ、結果なつめはコーナーにイン側からオーバースピードで突っ込んでしまった。

こうなるとマシンはもう言うことを聞いてくれない。

アンダーステアが出てしまい大きく膨らんだZのインを、悠々とRX−78(?)が駆け抜けていく。

「抜かれたっ!!」

「マジかっ!!」

もはや悲鳴のようなギャラリーの声が響く。

「そんな…」

絶望的な気分で、なつめはマシンを立て直し後を追うが、もはやZが追いつくことはなかった。

こうして、立花なつめの紺谷ヶ峠不敗伝説は終わりを告げることになった。

茫然自失の体で愛車Zを降りたなつめの前に怪人が立っていた。

「約束だ。ステッカーをもらおうか」

なつめは虚ろな目のままカクンと頷き、ステッカーを差し出そうとした。

その姿にかつての輝かんばかりの威厳は微塵もなかった。

と、その時…。

『ぶぉぉ〜ん、ぶぉぉ〜ん、キキ〜〜ッ! とうちゃ〜く』

二人の目の前についにNSX−R(?)とセンゴクマンが登場したのであった。

が、その様子は明らかに常軌を逸していた。

センゴクマンは今にも死にそうな様子で、よたよたとマシンの上から降りてきたのである。

「せ、センゴクマン、さんじょぉぉ〜うぐぅ」

ぱたっ。

名乗りを上げるやいなや、センゴクレッド、撃沈。

「あ、あんたが“峠の走り屋怪人”ね、このあたしが成敗…っ」

ぱたっ。

なんとか指を突きつけたが、それを最期にセンゴクホワイト、轟沈。

「くっ、な、何の冗談だ、このクルマは…」

ぱたっ。

もはやそれどころではない様子で、センゴクブラック、爆沈。

ちなみにセンゴクブルーはすでに昇天していたため、車を降りることすら出来ずNSX−R(?)の屋根の上でのびていた。

「せ、センゴクマン?」

なつめが呼びかけると辛うじてレッドが顔を上げた。

「お、オレ達をここまで苦しめた敵は、は、はじめて、だぜ…」

ぱたっ。

そしてもはやこの三人が起き出すことはなかった。

「…う、うそ?」

なつめの口から掠れたような呟きが漏れる。

折角自分が必死に走って時間稼ぎをしたのに、この有様は一体なに?

なつめは脱力し、ペタンと座り込んでしまった。


……………。

……………。

……………。

……………。


咳ひとつ聞こえない重苦しい沈黙が流れた。

と、その時。

『ぶぉぉ〜ん、ぶぉぉ〜ん』

NSX−R(?)が勝手に動きだし、スタート位置に着いたのである。

『オレと勝負しな』

すると、峠の走り屋怪人はもはやなつめからステッカーを受け取ることすらせず、マシンに乗り込み、NSX−R(?)の横に自らのマシンを並べた。

走り屋の直感で、どうやら最大最強の敵だと認識したらしい。



かくして屋根の上にセンゴクブルーを乗せたまま、NSX−R(?)とRX−78(?)のバトルが開始された。

峠の走り屋怪人が本気であることはすぐに証明された。

これまで一度も無かったことだが、スタートと同時に前に出たのである。

その後ろをNSX−R(?)がピッタリと追う。

そして右へ左へと曲がりくねった峠を、物凄いスピードで駆け抜けていく。

その速さはなつめのZの時よりも更に上!

一体どれくらい凄いのか、効果音でお楽しみ頂こう。

アアアァアアァ

ゴァァアアァ

ドン

プシャァァ

ガウ

ギャ

シャアァ

ヒャウッ

ワァ

ャン

ズギァア

アギ

ゴガゴゥ

…当然NSX−R(?)の上に取り残されたセンゴクブルーは、コーナーを抜けるたびに激しく“箱”の中でシェイクされていた。

ブレーキをかけると前の壁に顔から激突。

右コーナーでは左側の壁に肩からめり込み、左コーナーでは勢い余って転げた挙げ句両足を強打。

そして加速に移ると後方の壁に吹き飛び後頭部をしたたかに打つ。

万事この調子でセンゴクブルーは満身創痍。

そしてセンゴクブルーは瀕死になると非常に恐ろしいことになるのである。

しかしそんなことはつゆ知らず、NSX−R(?)はバトルに夢中。

ダウンヒルを終えそのままクライムヒルへと移り、徐々に先行するRX−78(?)を追いつめていく。

NSX−Rの皮をかぶっているが、正体は二輪の牛車である。

コーナリング時にアウト側の車輪を余計に回転させることで、4輪では到底不可能なほどのスピードで曲がることが出来るのだ。

その戦闘力は随所で遺憾なく発揮され、右から左から、RX−78(?)に揺さぶりをかける。

…直径2mの木製ホィール(タイヤは付いていない)のどこにそんなグリップがあるんだ、などと思ってはいけない。

その辺は根性でどうにかなるのだ!!

そしてついに最大の難所である通称“赤い水”コーナーにて、RX−78(?)をアウトから抜くという離れ業を演じていた。

『ぶぉぉ〜ん!』 (GT4で撮影。参考までに)


『オレの勝ちだ!!!』

勝利を確信したその瞬間。

ついにセンゴクブルーはリミットブレイク!

『撫で斬り!!!』

『ぶ、ぶお〜ん??』

NSX−R(?)が驚きの声を上げる。

しかし、センゴクブルーの絶叫は止まらなかった。

『撫で斬り!!!』

『ぐぁ!!!』

『撫で斬り!!!』

『やめっ!!!』

『撫で斬り!!!』

『死ぬっ!!!』

『撫で斬り!!!』

『うぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!』

そしてNSX−R(?)はバラバラに切り裂かれ、消滅した…。

後に残されたのは『跳ね馬荒路』と書かれた紙切れ一枚。

その結果、推定時速150キロのままセンゴクブルーは路上に放り出された。

ごちっ、ずしゃぁぁぁぁ…。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

ちなみに赤い水コーナーの次は、これまた難易度の高い薔薇ヘアピンであった。

薔薇ヘアピンのガードレールは二重になっており、これは“ガードレールの向こうは千尋の谷だから落ちたら死ぬぞ”という意味である。

路上に放り出されたセンゴクブルーはえらい勢いで滑っていき、そのガードレールの下を見事に抜け、放物線を描いて落ちていった。

ひぃぃぃぃ ぃぃぃぃぃぃ ぃぃぃぃぃぃ ぃぃぃぃぃぃ ぃぃぃぃぃぃ ぃぃぃぃぃぃ ぃぃぃぃぃぃ↓」


ナレーション:「さらばセンゴクブルー。君の雄姿を僕たちは忘れない。そしてありがとうセンゴクブルー…」


バトルしていたマシンが消滅した以上、勝負は自分の勝ちだろう。

一度抜かれて大いに焦った峠の走り屋怪人は胸をなで下ろしていた。


ナレーション:「説明しておこう。実は峠の走り屋怪人はバトルに負けると死んでしまうのだ」


と、峠の走り屋怪人は後方から接近してくるマシンの存在をキャッチしていた。

例えいついかなる時でも自分の前を走るマシンは抜き、自分の後を追うマシンはバックミラーから消し去る。

そう生まれついた峠の走り屋怪人の本能がふたたび走りに鞭をうつ。

しかーしっ!!

「板垣、もっと急いで下さい」

「かしこまりましたお嬢様」

ヒューーーーーーーン、スパーーーーーーン!!

「な、なんだと!!!?」

峠の走り屋怪人はあっさりと抜かれた。

前を走るマシンのテールランプが、あっという間に小さくなっていく…。

「ば、バカなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

ちゅどーーーん!!!


ナレーション:「もう一度説明しておく。峠の走り屋怪人はバトルに負けると死んでしまうのだ」


そして紺谷ヶ峠の頂上…。

武田広奈が、執事である板垣の運転する“マクラーレンF1ロードカー”から降り立った。

コンサート帰りだけに、着飾ったエレガントな装いの広奈様。

なにせ今夜の広奈様はお嬢様モード全開。

髪飾りの薔薇は『ミステリー』という品種をわざわざセレクトし、普段さらさらショートの御髪も今日は大人っぽくちょっとカールがかかっていたりして、春樹がいたらそのまま卒倒しそうな感じに魅力全開である。

ミュシャ風にアールヌ−ヴォな感じのピンクのドレスが月の光に照らされて、まさしく女神さま降臨といった風情をかもし出している。

如月綾さま画『コンサート帰りの広奈様』


そんな広奈様とあまりに対照的なのは、路上に相変わらず倒れたままの3人。

せっかくの広奈様の美しいお姿にもまったく気付かず、輪も美亜子も淳二もすでにピクリとも動かない。

あ、いや、淳二なんかが微妙にぴくぴくしている。

ぴくぴく、ぴくぴく、ぴく……………。

静寂。

………あ、死んだ?

「まぁ、皆さん大丈夫ですか? こんな酷い怪我を負わせるなんて…、一体怪人はどこに?」



五行戦隊センゴクマン第十三話






後日談(マカナと淳二の会話)


「それでどうなったんですか〜?」

「マクラーレンがぶち抜いていった」

「枕連? 枕連て速いんですか?」

「うん、確か一億以上するし、ほとんどレーシングカーだからね、めちゃめちゃ速いよ〜」

「霊…寝具化? あ、なるほど〜、霊寝具だから連は速いんですね〜」

「そうそう。でもF1だったらフェラーリの方が速いけどね〜」

「絵不安はへら有り? よく分からないけど奥が深いんですね」

全くかみ合ってなかったが、一応会話になっている今日この頃であった。



次回予告

「怪人との戦いの日々に、もたらされた戦場へのいざない。
遊戯としての戦争に、少年たちの心は揺れ動く。
向けられた銃と銃の間にあるものは、ただ勝利を掴む決意と、鋭く研ぎ澄まされた戦術と。
平凡な少年に秘められた狙撃手の血が戦場に花咲くとき、新たな戦いがもたらすものは更なる不幸か、それとも救いの糸口か。
次回五行戦隊センゴクマン「センゴクマン試射」

戦火の大地に笑いを取れ『FANG GUNNERS』」


あとがき春樹

最近車が好きです。

GT3以来はまっております。

(GT3は達成率100%でライセンスオールゴールド、さらにプレゼントカーを全種類全カラー集めたのでもうやることがない(笑))

頭文字Dも好きです。

というわけで、センゴクマンの話でいろいろと小ネタに使ってみました。

折角なので序盤に登場したきりの立花なつめ女史を登場させてみました。

那智信明氏も名前だけですが登場します。

カルシファードをお読みの方ならおわかりいただけるでしょう。

12話でやった5人の買いたい車一覧はほとんど自分の趣味です。(春樹はのぞく)

広奈の一位がウィンダムなのは単なる洒落です(分かる人いるかな?)

というわけで、言いたいことだけを箇条書きにしてみました(手抜きか?)

次回作はサバゲーです。

早速どうぞ!


ご注意!

  このお話は2002年1月14日にUPしました。

登場している車などは、その当時のものです。一部すでに市販化されているものもありますが、細かいことは気にしないでください(笑)。


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