五行戦隊センゴクマン!
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「センゴクマン熱唱」 直江輪、本多美亜子、真田淳二、武田広奈、伊達春樹の5人は学校近くのカラオケボックスに来ていた。 魔王クラーマが送り出す怪人達との熾烈な戦いの合間の、それはちょっとした息抜き……、のはずだった」
部屋に入った途端、まず美亜子と淳二が凄いスピードで曲が書いてる冊子をめくり始めた。 まるで戦国時代の先陣争いのようにどちらが先に曲番号を入力するのか、それすらも勝負の世界と化していた。 そして二人は自分の歌いたい曲を発見するとそろってリモコンに手を伸ばした。 リモコンは一つ。伸びてきた手は二つ。 …それはまるで百人一首の全国大会の1シーンのようであった。 シュパーン! 「にゅむっ!?」 「…ふっ、まだまだ遅いわ」 リモコンは美亜子の手中にあった。 それを端から見ていた輪などはじゃあ最初からリモコンを確保してから冊子を探せばいいだろう、とも思うのだが、妙なところでフェアな二人である。 その一方でいきなり熾烈な争いを目の当たりにした春樹はこの先二人が歌い終わるたびに不毛な争いが繰り広げられるのか、と嫌な想像を膨らましてげんなりしていた。 そして、それをなんとかくい止めようと恐る恐る進言した。 「…あの、いちいちリモコンを奪い合うよりも、ちゃんと順番を決めてみんな公平に歌おうよ」 「じゃ、あたし一番」 「オレ二番」 「俺は最後でいい」 「ではわたくしは淳二さんの次で」 「……僕4番?」 すんなり決定。 しかし春樹が気付いていなかった。 カラオケというものは歌いたい奴に歌わせておけばいいのである。 なまじ順番を決めると持ち歌の少ない人間は後半苦労することになる。 しかも春樹にとっても予想外の提案がなされた。 「じゃあさ、せっかくだから点数付けて勝負しようぜ」 「いいわね〜」(←勝負好き) 「………まぁ、別に構わないが」(←実は少し自信あり) 「面白そうですわね」(←マイペース) 「え? 僕は、あまり自信ないけど、みんながやりたいなら……」(←流され人間) ともかく賛成多数により100点満点の採点モードで歌うことに決定した。 リモコンでの各種設定が終わると早速美亜子の入れた曲のイントロが流れ出した。 「一番、『両国町の女王』」 の@自慢風に美亜子がマイクをとる。 美亜子の一曲目は“広島系”女性シンガー椎名備後の代表曲だった。 「…美亜子ちゃんにピッタリだな」 淳二がこっそり呟く。 「そ〜こ〜はあ〜たしの庭、両国国技館〜♪」 巻き舌全開、凶悪な歌いっぷりが実に美亜子に似合っている。 「今夜からはこ〜の場所で〜♪ 無敵のあたしが女王〜♪」 おおおーーっ。 ぱちぱちぱち。 思わず歌い終えた美亜子に拍手喝采の4人。 まず最初にそこそこ盛り上がる曲を持ってくる。 カラオケトップバッターの役割を美亜子は見事に果たした。 そして気になる得点は…。 『79点』 「むっ、随分低いわね」 不満顔の美亜子。 「でもこの歌の場合巻き舌とかを再現すると点数下がるからしょうがないんじゃないの」 淳二がしたり顔で解説する。 「じゃあ次は違う人の歌にしよ」 そう言って早速冊子をめくる美亜子。 「んじゃ、オレは函館のご当地ソングいきま〜す」 2番手淳二は立ち上がってマイクを持つ。 「ご当地ソングってことは“無礼”?」 と美亜子。 しかし、淳二は人差し指を立てて小さく揺らし同時に首を振る。 「ちっちっ、甘いねぇ」 その直後、淳二の入れた曲のイントロが流れ出した。 それを聴いて全員が怪訝な顔をする。 函館出身の有名バンドの名前を出した美亜子の予想は大きく外れた。 ちゃちゃっちゃちゃ、ちゃららら、ちゃちゃっちゃちゃ、ちゃららら、ちゃちゃっちゃちゃ、ちゃららら、ちゃちゃっちゃちゃ♪ 「これは……、まさか」 輪が唖然としたまま画面に目をやる。 そこにはでかでかと曲のタイトルが表示されていた。 『箱だけのひと』 「サヴちゃん?」 美亜子が呟いたのは超大御所演歌歌手の愛称だった。 いきなり全員の度肝を抜いた淳二が満足そうに歌い出す。 「キャ〜〜〜ラメル拾ったら箱だけぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜んにゃ♪」 素晴らしい演歌風ビブラート。 小節(こぶし)をきかせつつすっかり大御所のノリで淳二が熱唱。 しかも意外とうまかったりする。 「…淳二のことだから“無礼”で来ると思ったのに」 一本とられた格好の美亜子。 しかし、淳二の言うとおり函館といえばこの歌である。 「ど〜もありがと〜」 気持ちよく歌い終えた淳二が点数を待つ。 『74点』 「うにゅう…、おかしいな」 「当然よ、あんなに小節を延ばしてたら点数下がるに決まってるでしょ」 「基本的に演歌をそれらしく歌うと点数は落ちる傾向にあるからな」 美亜子と輪がもっともらしく解説する。 演歌を持ってきた淳二の作戦は失敗だった。 そして3番手は優勝候補筆頭、合唱部所属武田広奈である。 「さ、広奈は何点出すかしらね」 そう言う美亜子の声はちょっと恐れの色が見えた。 無理もない…。広奈の美声と絶対音感はこの勝負ではもっとも強力な組み合わせである。 「武田がカラオケで歌うのを聴くのはこれが初めてだからな…」 輪も広奈の実力を探ろうと耳を澄ませる。 (武田さんの歌か…) 春樹は一人幸せだった。 と、画面が切り替わって広奈の選んだ曲のタイトルが表示された。 『喜びの歌 −交響曲第九番より−』 「なっ」 「まさか」 「第九?」 「……さすが合唱部」 4人が驚愕する中、広奈は歌詞の出る画面すら見ず流暢なドイツ語で歌い出した。 完璧に歌詞は頭の中に入っているらしい。 しかも、ものすごい声量。そしてとんでもない美声。 広奈が合唱部の救世主と呼ばれる所以を彼ら4人は身をもって知った。 「ブラボ〜」 歌い終えた広奈に対して思わずスタンディングオーベーションする4人。 広奈は少し照れた様子で一礼すると自分の席に戻った。 「これは…100点行くんじゃねぇか?」 「…凄いわね」 淳二と美亜子が見つめる中、画面に得点が表示された。 『採点できません』 ……………………。 「は?」 呆然とする4人。 しかし、一番早く事態に気付いたのは春樹だった。 「…あの、武田さん。ひょっとしてマイクのスイッチ入れてなかったんじゃ?」 「まぁ。ごめんなさい。合唱曲ですからマイクを通さない方が良いのではと思い、つい…」 部屋の壁を震わす程の声量だったので誰も気が付かなかった。 結局実際の点数は不明のままである。 4番手伊達春樹。 「えっと、僕はあまり新しい曲知らないから…」 そう言い訳しつつ彼が選んだのはある意味かなり有名だが、しかしカラオケで歌うのはどうだ? という曲だった。 さだ馬刺の『北の邦衛から』 北海道を舞台にした人気ドラマの主題歌として全国区でも良く知れ渡っている曲。 そしてその特徴は何より“歌詞がない”ことである。 これだと著作権の心配がいらない。 遠慮なく春樹の歌いっぷりを載せてしまおう。 「あ〜あ〜、あああああ〜あ、ああ〜、あああああ〜♪」 ギターのアルペジオに乗せて春樹がかなり丁寧に音程をなぞる。 「う〜う〜、ううううう〜う、あああ〜あ、ああ〜あ、あ〜♪」 もの悲しげなメロディはドラマの有名シーンを容易に連想させる。 その意味でもこれはかなりの名主題歌といえよう。 「父さん……。僕は今カラオケをしているわけで……。そして今歌っているのはハルなわけで…」 そして淳二が謎にナレーションを入れている。 「名曲ですわね」 広奈が心から呟いた。 みんなの心をしんみりさせて春樹が歌い終えた。 「…おそまつでした」 ぱちぱちぱち。 ぺこっと一礼して春樹が恥ずかしそうに席に戻った。 特に誰も注目していなかったが一応点数も出た。 『88点』 「なぬっ!?」 「へっ!?」 淳二と美亜子が驚くが、実は一番びっくりしていたのは本人だった。 「え? あっ、ごめんなさい」 条件反射的に謝っていたりする。 「……なまじ歌詞がないから、その分正確に音程をなぞって高得点に繋がったのだろう」 例によって冷静に輪が分析する。 「なるほど〜、選曲が良かったのか」 「やるわね、ハル」 そして5番目、輪の番である。 輪にとって、そして美亜子にとっても聞き慣れたフレーズが流れ出した。 もう解散してしまったヴィジュアル系バンド“むなしぃ”のボーカルのソロ曲『愛は…』 (またこれ?) 内心ちょっとうんざりの美亜子。 そんな美亜子の表情には気付かず輪は気持ちよく歌い出した。
「Love is my weapon♪(“愛”は私の武器) 音程も完璧。そしてかなりの美声。 「まぁ、輪さんとても上手ですわ」 広奈も認める腕前。 しかし、当たり前である。 輪はカラオケに行くたびにこれを歌っているのだ。 (まぁ、綾瀬はこの歌好きだからいいんだろうけど) そう嘆息する美亜子。 そして相変わらず自分の世界を作って熱唱する輪。 カラオケ好きの半数以上はこのタイプである。
「い〜つまでも 使わない たとえ誰を傷つけても〜♪ ほとんどミス無く輪は歌いきった。 歌い終えた輪を迎えたのは広奈と春樹の拍手、淳二の悔しそうな顔、そしてうんざりした美亜子だった。 「…あんたこれ以外に歌う曲ないの?」 「いいじゃないか、これが持ち歌なんだ」 「毎回聴かされる方の身にもなりなさいよ」 「そうか……わかった、次は新しい曲を歌う」 輪が珍しく引き下がったのにはわけがあった。 実は綾瀬にCDを借りて練習した曲があるのだ。 綾瀬とカラオケに行く前にここで一度歌って実戦を経験しておこう、と輪は思った。 いつの間にか画面には輪の得点が表示されていた。 『87点』 「…なんだと」 こっそりショックを受けている輪。 無理もない。せっかく自分の十八番を投入したのに首位を取れなかったのだ。 「あらあら残念だったわねぇ、まぁ、次であたしが逆転するから関係ないけどね」 そう不敵に笑った美亜子の選んだ曲は…。 槍田ひとみの『マイスィート槍ん♪』 ノリノリの曲調、そして覚えやすいフレーズを美亜子がビブラートも鮮やかに歌い上げる。
「鬼も天狗も悪霊もひと思いに退治してもいい♪ 「うわ〜、なんて美亜子ちゃんにピッタリの歌詞…」 淳二が驚きの声を上げる。 「屠るなよ…」 輪も呆れ顔。 そして美亜子は気持ちよくサビを歌い上げる。
「槍槍ん〜♪ ここで振って 斬れるで〜しょ あやつが〜♪ ちょっとバイオレンスな歌が終わると美亜子が物騒な感想を漏らした。 しかもマイクを通して大音量で。
「いや〜、これ歌うと人を斬りまくりたくなるわね〜」
美亜子以外の4人がそろって彼女から遠ざかった音である。 「…どうせ斬るなら人じゃなくて魔王の送り込む怪人にしてくれ」 心から輪が提言する。 「や〜ね〜、冗談よ」 「お前の場合全然冗談に聞こえん」 「どういう意味よ」 「そういう意味だ」 ばちばちっ、美亜子と輪の間に視線の火花が散り一触即発。 しかし、画面に点数が表示されると美亜子の表情が一変した。 「やたっ『90点♪』」 そしてガッツポーズ。 この段階でトップの点数である。 「オレも負けてられないな、見てろ〜、今度は高得点間違いなしのオレの十八番だからなぁ」 淳二の十八番、そして高得点間違いなし…。当然4人は淳二の好きな、いわゆる流行もの、最新Jポップの曲を連想した。 が、流れてきたイントロと画面に流れ出した謎のアニメーションに腰砕けになった。 ちゃらら ら、ら、ららら、じゃ〜ん♪ 「仮面ね〜 素顔〜じゃなくって♪ 夢のな〜かな〜ら見〜えるっ♪」 『ムーン無いと伝説』…一昔前に大ヒットした超人気アニメのこれまた超有名な主題歌であった。 しかもリモコンを操作して『男声→女声』変換を使っていたので、かなり気持ちの悪いキンキン声がスピーカーから流れ出ていた。 しかし歌っている当人は至極満足そうである。 「…演奏停止」 即座に美亜子がこの世界での死刑宣告に等しい一言を叫んでリモコンを捜した。 しかし、リモコンは忽然とテーブルの上から消えていた。 恐らく美亜子の反応を読んで淳二が持ち去ったものと思われた。 「ちっ」 実力行使に訴えようと立ち上がりかけた美亜子を春樹が止めた。 「まぁまぁ、真田君も楽しんでいるし、ここは押さえて下さい」 あの美亜子相手に仲裁を買って出るという春樹の決死の行動も意味をなさなかった。 「聴くに耐えん」 ぷちっ。 伏兵、輪が立ち上がり本体の「演奏停止」のボタンを押していた。 「だって淳二よ〜♪ どうしよ〜ぉ♪ ハートは〜♪…うに?」 せっかく気持ちよく歌っていた淳二だったがあっさり幕が下ろされた。 「なにすんだよ〜」 淳二がマイクを通して非難の声を上げたが美亜子と輪が声をそろえた。 「「やかましい!」」 悄然とする淳二の背後、画面には虚しく文字が表示されていた。 『採点できません』 「……あんまりなり」 がっくりと肩を落とし淳二が席に戻った。 カラオケには歌う人間だけでなく、聴く側の人間もいる。 一応聴衆の心証を害さない程度の選曲をするべきであった。 しかし、淳二がそんな反省をするわけもなく、早速次の曲を捜すべく冊子をめくっていた。 「よし、これにしよう『オレの歌を聴け〜』ってんだ」 一方スピーカーからは広奈の二曲目のイントロが流れ出していた。 またクラシックか声楽か? と思っていた一同は広奈の選んだ曲のタイトルに“意外”の念を禁じ得なかった。 特に輪などは露骨に絶句していた。 『バカの愛野郎』 「…武田、なにか俺に含むところでもあるのか?」 タイトルを見て一瞬絶句してしまった輪が、絞り出すような小声で呟いていた。 人気アイドルグループ“猛蒸す”のメンバーのソロ曲である。 はっきり言っていわゆる流行もの。広奈が選ぶような曲には4人には思えなかったが、そんな曲でも歌ってしまう辺りが広奈の奥の深さである。……多分。 先ほどとは違いポップな曲を広奈は雰囲気を大切に軽快に歌っていく。 にしても、やっぱり歌唱力は桁違いだったが。 (武田さんの歌って、いいなぁ〜) 涎を垂らさんばかりに恍惚の表情を浮かべて聞き入る春樹。 淳二と美亜子も黙って耳を傾けている。 美亜子などは手元が冊子をめくったままの格好で固まっていた。 広奈の歌に圧倒されて聞き惚れているというのが正確なところだろう。 そして曲はサビに突入した。 「愛野郎♪♪ “愛”の前立てなんて もう捨ててしまえ 敵がいるのに〜 笑って戦えな〜い♪ I'm smiling smiling smiling…♪」 「やっぱり、俺に何か含むところがあるんだろう…」 サビを聴いた輪の漏らした呟きは、広奈の美声にかき消された。 そんな輪のぼやきを知ってか知らずか、広奈は完璧にこの曲を歌いきった。 おおーっ。 ぱちぱちぱち。 思わず歓声を上げ、拍手してしまう3人。 ……輪は無言で複雑な顔をしていた。 (こんな歌があったのか…) そしてもうひとつ懸念が…。 (にしても、なんで武田はわざわざこの歌を選んだ歌ったんだ?) 広奈には特に他意はなかったのだが、輪は持ち前の“考えすぎ”の悪い癖で思考の海へと沈殿していった。 帰ってこない輪はさておき、4人が注目する中画面に点数が表示された。 もちろん今回はきちんとマイクを握っているから正確な点数が出るはずである。 そして…。 『100点』 「おおお〜っ、すげぇオレ初めて見た」 「…やるわね」 「さすが武田さん」 三者三様の称賛を浴びながら広奈はちょっと照れたような顔で一言。 「そんな…、ただの実力ですわ」 さく。 あっさりと言い切った。 その時…、異変は起きた。 「ぬはぁ、ぬはぁ、ぬはは! この時を待っていたぞぉ」 奇妙な笑い声がスピーカーから聞こえてきたのである。 何事かと辺りを見回した4人は突如カラオケ機材がガシャガシャと合体していく現象をその目で見た。 「やぁやぁそこな娘。よくぞ100点を叩き出した! その人並はずれた歌唱力、魔王クラーマさまの野望のためこの“怪人カラオケ男”がもらい受けるぅ!」 スピーカーの足、ディスプレイが頭部でマイクスタンドとマイクが腕。胴体は本体(名称不明)。それが怪人カラオケ男の姿だった。 あまりにショッキング、かつ常識を激しく逸脱した現象に4人はぐぅの音もでなかった。 そして一瞬遅れて輪が思考の海から浮上してきた。 水面から顔を出した瞬間、輪の視界に飛び込んできたのが“コレ”である。 「なっ、なんの冗談だこの化け物」 たしかに冗談のような姿である。 そろって唖然としている5人に対して怪人カラオケ男は聞かれもしないのにぺらぺらと喋り続けた。 「ん? なんだと? どうやって魔王クラーマさまの野望の役に立つのかって?」 「…んなこと聞いてない」 輪の呟きはあっさりと無視された。 「うはぁ、うはぁ、うはは! 考えが甘いのう。まずはクラーマさまのテーマソングをそこな娘が歌う。それからクラーマさまご本人出演によるビデオクリップを制作。そしてその曲を使った一大キャンペーンを展開しこの国の人間を洗脳するのだぁ」 「…無理だと思うけど」 珍しくシュールなツッコミを入れる春樹。 「ん? なに? 曲の準備が出来ているのかって?」 「…だから聞いてないって」 ぱたぱたと手を振る淳二だったが…。 「ぬはぁ、ぬはぁ、ぬはは! そんなものはこれから作るに決まっているだろう」 「駄目じゃん」 「さて、お喋りはここまでだ。あの厄介な五行戦隊センゴクマンが現れる前に、そこな娘を頂いてゆくとしようか。うはぁ、うはぁ、うはは!」 …ちなみに彼は自分がどれほど間抜けなことを言っているのか気付いていない。 「確かに。…お喋りはここまでだぜ。よし、行くぜみんな、変身だ!」 「おっけ〜」 「はい」 「が、がんばります」 「やれやれ」
シャキーン! ナレーション:「紺碧の狙撃手(スナイパー)、センゴクブルー!」 「変身! センゴクイエロー!!」 ピカーーン! ナレーション:「黄金の美姫(プリンセス)、センゴクイエロー!」 「変身! センゴクレーッド!」 キピーーン! ナレーション:「深紅の格闘王(ファイター)、センゴクレッド!」 「変身! センゴクホワイト!」 ドカーーン! ナレーション:「純白の戦乙女(ヴァルキリー)、センゴクホワイト!」 「変身! センゴクブラック!」 ジャキーン! ナレーション:「漆黒の知将(ブレーン)、センゴクブラック!」 すちゃっすちゃっすちゃっすちゃっすちゃっ。(五人着地) ナレーション:「五行戦隊センゴクマン、カラオケボックスに登場である」
「…別に騙したつもりはありませんが。歌を愛する全ての人に代わって、わたくしがあなたを成敗いたします」 センゴクイエローが優雅に宣言した。 「そうだ、覚悟しろ! オレの歌を途中で止めやがって」 センゴクレッドもポーズを決めてビシィッと指を突きつけた。セリフ後半は別にカラオケ男が悪いわけではない。 「槍槍ん〜♪」 歌いながらチャキッと蜻蛉切を構えるセンゴクホワイト。…ちなみに槍を振り回すにはこの部屋はちょっと狭い。 「……あんまり悪い人には見えないけど」 遠慮がちに後ろに下がったのはセンゴクブルー。 「俺の2曲目を邪魔しやがって…」 私怨を口に出したのはセンゴクブラックである。 戦闘開始…。 どかっ、ざくっ、どごっ、ぐしゃ、めりめり、けちょんけちょん…。 「おのれぇぇぇ、この俺様の完璧な計画がぁぁぁ」 「…穴だらけだ」 ちゅどーーーん。
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