五行戦隊センゴクマン!
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「センゴクマン誕生」 銀河系の片隅、太陽系第三惑星地球のそのまた端っこ、日本の北の果て、北海道の南玄関函館市。 何の変哲もない人口30万人(より少ないぞ)の田舎観光都市。 その中央部にある函館白楊高校。 2年3組の教室は今日も平和…のはずだった」
「美亜子ちゃんの場合、面白いも面白くないも、ほとんど寝てるくせに」 「失礼ね。あんたよりは寝てる時間少ないわよ」 「いや、そんなことはないぞ。オレのは寝ているんじゃなくて、目をつぶって熟考しているんだ」 「は? 何アホな言い訳を。大体あんたの方が追試回数多いくせに」 「うみゅぅ、人が気にしていることを〜」 いつもと変わらぬ本多美亜子と真田淳二の漫才を横目で見つつ、直江輪は読んでいた歴史小説を置いた。そして本日4回目の「やれやれ」 きちんと机に座って次の授業の予習をしている伊達春樹。 武田広奈は今度の高文連に向けて舞台の台本を書いている。 いつもと変わらぬ五人の日常。 だが、それは唐突に破られてしまった。
「なんだなんだ?」 慌てて窓から校庭を見やる淳二。 「ちょっとどきなさいよ」 それを押しのける美亜子。 輪、広奈、春樹も窓の外を見下ろした。 と、その目に映った光景は驚愕すべきものだった。 下半身は人間のもの。だが上半身には8本の腕。その顔は巨大な口に鋭い牙、まるで蜘蛛である。 校庭に突如出現したクレーターの中心には、怪物蜘蛛人間がその凶悪な姿を見せていたのだ。 「なっ、何の冗談だ、あの化け物」 輪が呆然と呟く。 ガタガタガタガタ…。 青い顔をして震えている伊達春樹を後目に、武田広奈はただ一言「まぁ…」と呟いただけ。 「特撮ものの撮影なんてあったっけ?」 「はぁ、そんなの知らないわよ。だいたい特撮にしては、あれ、妙に生々しい気がするけど」 5人が窓際で蜘蛛人間を見ていると、それは高々と宣言した。 「あたしは怪人ツチグーモ。魔王クラーマさまの世界征服のため、まずはこの学校を支配するわぁ!!」 大音響で、しかも妙に川村万梨阿(声優)に似た声でこの化け物がそう叫んだ途端、さすがに学校の生徒達はパニックを起こし、我先にと逃げ出した。 そりゃそうだ。声と姿のバランスが悪いもん。普通逃げたく、というより、関わりたくないわな。 だが、そんな中……。 「新しい校長先生?」 「そんなわけないでしょ」 「それより魔王クラーマって誰なんでしょうか??」 「なぜ世界征服を考える奴がこんな学校を支配下におきたがるんだ?」 「……あわわわ」 ガタガタガタガタ…。 他に生徒のいなくなった教室で、窓際に残ったまま5人がそれぞれの反応をしていた。 と、その時教室にたった一人残っていた女生徒が立ち上がった。 「ついに魔王が復活してしまったのか」 さらりと髪の毛をかきあげ、思わせぶりに呟いたのはこれまで台詞の無かった明智瑠華。 「どういうことだ?」 輪が詰め寄る。 「過去何度も日本を恐怖のどん底に突き落としていた魔王が蘇ってしまった。だが、魔王蘇るとき、魔王を倒す戦士もまた現れる…。これまで秘密にしていたが、実はお前達5人は魔王を倒す“戦士”、五行戦隊センゴクマンなのだ」 「五行戦隊?」 「センゴクマン?」 淳二と美亜子が顔を見合わせる。 「そうだ、すでに魔王の放った怪人があらわれてしまった。聞いて驚け、お前達は昨日のうちにこっそり改造手術済みだ。急ぎセンゴクマンに変身して戦え」 「よく分からないけど、戦えってんならやってやるわ!」 「おうよ、あんな化け物なんてけちょんけちょんだぜ」 特に何も考えず、ノリだけで淳二と美亜子は戦う気になっている。 「…それが、この国の、そしてみんなを守るためならば」 輪も頷く。 「ちょっと展開が急な気がしますけど、わたくしも」 広奈が華麗に宣言した。 「変身って言ったってどうやっていいのかわかんないよ。それに僕戦いなんて無理にきまってるよ」 だが、春樹が震えながらそう言って頭を抱えてしまった。 「春樹さん。わたくしたちは五人で一つ。春樹さんの力なしにはあの恐ろしい怪物は倒せません。力を合わせて戦いましょう」 広奈がそう言って春樹の手を握った。 「そうだぜ、ハル。オレ達は五人で一つ…」 「五行の力は一人欠けても駄目なのよ」 「………(やれやれ)」 四人の目が春樹に注がれる。 「うん、僕やってみる。頑張ってみるよ!」 ナレーション:説明しよう。五人の友情パワーが頂点に達したとき、彼らは五行戦隊センゴクマンへと変身するのだ! 「変身! センゴクブルー!!」 シャキーン! ナレーション:「藍色の疫病神、センゴクブルー!」 「変身! センゴクイエロー!!」 ピカーーン! ナレーション:「山吹色の食欲魔人、センゴクイエロー!」 「変身! センゴクレーッド!」 キピーーン! ナレーション:「緋色のお調子者、センゴクレッド!」 「変身! センゴクホワイト!」 ドカーーン! ナレーション:「雪色の狂戦士、センゴクホワイト!」 「変身! センゴクブラック!」 ジャキーン! ナレーション:「闇色の愛野郎、センゴクブラック!」 すちゃっすちゃっすちゃっすちゃっすちゃっ。(五人着地) ナレーション:「五行戦隊センゴクマンの誕生である」
輪が静かに手を挙げていた。 「あたしも。輪の愛野郎はともかく、狂戦士って何よ」 美亜子が頬を膨らませる。 「そうだそうだ、お調子者はないっしょ」 方言丸出しで淳二も怒っている。 「…ショックですわ」 広奈お嬢様も傷ついている。 「そんな疫病神だなんて…あんまりだ」 春樹に至ってはしゃがんで地面に「の」の字を書いている。 ナレーション:「そんなこと言われても、晴明長官からの原稿ですから」 「いいから違うものにしろ、でなきゃ戦わんぞ」 輪がジト目でにらみつけている。 ナレーション:「わかりました、仕方ありません。サポートロボ“マカナ”ちゃんの第二案でもう一度…」
「変身! センゴクブルー!!」 シャキーン! ナレーション:「青い優しい人、千石閏!」 「変身! センゴクイエロー!!」 ピカーーン! ナレーション:「黄色い綺麗な人、千石家炉!」 「変身! センゴクレーッド!」 キピーーン! ナレーション:「赤い楽しい人、千石烈度!」 「変身! センゴクホワイト!」 ドカーーン! ナレーション:「白い強い人、千石飽和糸!」 「変身! センゴクブラック!」 ジャキーン! ナレーション:「黒い“愛”の人、千石部落!」 すちゃっすちゃっすちゃっすちゃっすちゃっ。(五人着地) ナレーション:「五行戦隊千石万の誕生である」
「なにが飽和糸よ」 「まかなちゃんこっちでも英語駄目なの?」 「綺麗な人…というのは嬉しいのですが」 「ブルーを閏(うるう)ってちょっと厳しいと思うんだ」 ナレーション;「駄目ですか?」 「駄目に決まってるだろうが」 輪の手が刀にかかっていた。 「さっさと変えなさい」 美亜子も白い闘気が倍増している。 ナレーション:「え〜、どうしてもですかあ?」 「当たり前よ」 ちゃきっ。 美亜子がついに蜻蛉切を構えた。 「燃やすぞコラ」 めらめら。 淳二の右手からは炎が吹き出している。 「あまり皆さんを怒らせない方がいいと思いますわ」 そう言いながら広奈の手は龍鬚弓を握りしめている。 「僕……帰りたい」 肩を落としている春樹。 「そう言うわけだ、変えてもらうぞ」 輪が氷点下の瞳で睨みつけた。 ナレーション:「わ、分かりました。それでは、誠心誠意、格好いいと思われるものを使いますので…」
「変身! センゴクブルー!!」 シャキーン! ナレーション:「紺碧の狙撃手(スナイパー)、センゴクブルー!」 「変身! センゴクイエロー!!」 ピカーーン! ナレーション:「黄金の美姫(プリンセス)、センゴクイエロー!」 「変身! センゴクレーッド!」 キピーーン! ナレーション:「深紅の格闘王(ファイター)、センゴクレッド!」 「変身! センゴクホワイト!」 ドカーーン! ナレーション:「純白の戦乙女(ヴァルキリー)、センゴクホワイト!」 「変身! センゴクブラック!」 ジャキーン! ナレーション:「漆黒の知将(ブレーン)、センゴクブラック!」 すちゃっすちゃっすちゃっすちゃっすちゃっ。(五人着地) ナレーション:「五行戦隊センゴクマンの誕生である」 ……。 ナレーション:「…どうですか?」 「合格」 「やればできるじゃない」 「よっしゃ、や〜〜ってやるぜ」 「安心しましたわ」 「僕、スナイパーか…」 満足したようだ。 「センゴクマンただいま参上」 真っ先に淳二が名乗りを上げた。 「……ってあれ?」 「誰も…いませんわ」 「あの化け物どこにいったのかしら」 「……どこにもいませんけど」 「やれやれ、余計なことに時間をとられたからだな」 ナレーション:「さぁ、いきなり敵を見失ってしまって大ピンチだ。五行戦隊に明日はあるのか? 次回を待て」
本編の十一話をお読みの方はなぜ私がこんなものを書いたのかは、お分かりでしょう。
それでも、笑って楽しんでいただける寛大な読者さんの感想をお待ちしています。
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