『嵐を呼ぶレース参戦記』
| 第十九話「嵐を呼ぶ後継車選び」 | ||||
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深夜二時ごろから明け方にかけて、この日の南関東地方は記録的な豪雨と落雷に見舞われた。 稲光が数秒ごとにあたりを昼間のように照らし、とどろく雷鳴と土砂降りの雨が屋根を叩く音がおそらくは数百万人の安眠を妨害したことだろう。 実際私もあまり経験したことの無い猛烈な雷を眺めつつ、窓辺から動けなかった。 恐るべき自然の猛威。 ちなみにこのとき落雷で東京、神奈川、埼玉の合計1万4000世帯が停電したそうだ。 そんな秋雨前線がもたらした局地的な嵐が印象深い9月11日。
すなわち、アルトワークスの後継となり、私の二台目の愛車となるマシンの選定である。 やはり嵐を呼ぶレーサーが乗る以上、速く、カッコよく、そして私にあふれるほどのネタを提供してくれるマシンが望ましい。 出来れば次はドリフトにも挑戦してみたいし、もっと互角以上の勝負を実戦レースで体験してみたいし、桶スポでのジムカーナでは“はじめてクラス”の上位に食い込んでみたい。 となれば、さらに戦闘力のあるマシンを狙うのは自然の摂理。 そして全世界1億9千万人のファンが憧れを抱くような素敵な車に乗りたいものである。 中古車情報誌やインターネットの中古車サイトを日々眺めながら、思索(妄想)にふける私である。 ちなみに、妄想にふけまくったあげく、執筆時間が足りなくなったのでブログを閉鎖モードにしたのは、私と君だけの秘密だ。 「どれにしようかな〜♪ あれもいいなっ。でもやっぱりこっちも捨てがたいなぁ〜」 そしてそんな日々こそ実は一番楽しいのである。
・ ・ ・ ・ さて…、
だが、強大な壁、そしてある意味最強の敵がこの問題には立ちふさがっていたのである。 すなわち。
奥さん、マイワイフである。 いや、正確にはまだ籍を入れていないので、彼女であるが、まぁ、事実上ヨメである。 当然のことながら、今後一緒に暮らすヨメとはよく相談した上で後継車を決めようと、将来の愛妻家であるところの私は思っていたわけである。 なので、早速相談を持ちかけた。
「ふーん。いくら?」 「えっと、まぁ、その、ちょっと安いやつを中古で探して、……150万くらいかなっ?」 「そのお金は誰が出すの?」 「そりゃーもちろん、夫婦で使うわけだし…」 「……………(目から殺人光線)」 「はっ、私が全額出します」 「で、それを買ったら雨続くんの貯金の残高は?」 「(ごにょごにょ)くらいになるかと…」 「結婚式は?」 「えっと、なるべくならやらない方向で…」 「結婚指輪は?」 「はっ、それはもう、なるべく無いままで済ませる方向で…」 「………(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ)」←怒りのオーラ発生中。 「すみませんでしたーーーっ」
そもそも、ヨメと一緒に暮らすために私は今年の春に引越しを敢行し、またまた敷金礼金その他で大金が吹き飛び、あげく家賃と駐車場代が高騰。 さらには一攫千金を狙って始めた株でも大失敗。結局30万円ほどの大損を出し、無残に全面撤退したことで車に割ける私の予算は大幅に減っていたのです…。 そんな事情もあり、S2000はやっぱり無理そうなのであきらめます。作戦変更です。 第二回目の交渉に挑戦ですっ!
「なに?」 「MR-Sかロードスター。これならS2000の半分くらいの予算80万円でなんとか」 「なんでみんなオープンカーなの?」 「好きなんだ。走ってて爽快だし、何より速いし楽しいし」 「わたしは嫌い」 「そこを何とか…」 「だめ。日焼けするし。狭いし。荷物積めないし。それに二人乗りの車は却下」 「却下ですか…、そうですか…」
二度目の交渉も決裂です…。
「と、おっしゃいますと…?」 おかしい。ヨメは年下なのになぜ私は敬語? 「駐車場代いくら?」 「月9000円です…」 「車に乗る頻度は?」 「まぁ、主に土日のみで、平日だと夜に秋ヶ瀬までカートしに行くとか、ちょっと本屋に行くとか」 「そんなことに80万円もする車を買う必要性はあるの?」 「あと、サーキットとかも走りたいなぁ、と」 「サーキット走るとどれくらいかかるの?」 「えーと、参加費が大体1万円くらいで、走った後エンジンオイルやミッションオイル、あるいはタイヤなんかも交換するとして、さらに1〜2万くらい?」 「ふーん…」 「えっと、その辺のお金はすべて自分で出しますが…」 「当たり前です」 「…はい」 「本当に車要るの?」 「…要ります。それはもう、ネタの為に」 「ネタなんてどうでもいいです」 「いやいや、我が人生ネタ人生。私からネタを取り上げたらブログとHPが…」 「そんなの別にどうでもいいです」 「うぬぅ…(そうだった。こいつは嵐を呼ぶレース参戦記もブログも全然読んでないんだった…)」 大変です。うちのヨメにはネタになるから、という私の最大の説得材料が通用しません。 そもそも嵐を呼ぶアルトワークスが、ネット上でどれだけのファンを抱えているかこいつは全然理解していません。 なので…。 「必要なときにレンタカーを借りるんじゃ駄目なの?」 「まぁ、それで色んな車を乗り比べるのも悪くないけど…」 「じゃあ、やっぱり車を買う必要ないんじゃないの?」 「うぐ…」
第三回目の交渉は限りなく私の不利なまま終了した…。 それにしても、最近の日本ではスポーツカーがことごとく絶滅の危機に瀕しているが、その理由が身をもってよくわかる気がする。 あくまで経済的、合理的に考えるとスポーツカーを買っても維持するだけで大変なのだ。 そして私とてわざわざ生活が苦しくなるようなことはしたくないわけだ。 そう、現実ってやつは厳しいのだ。 日本の国家財政くらい厳しい。
NSX、RX-7、GT-R、スープラ、シルビア、セリカ、インテグラ…。 それらが次々と消えていく現実はあまりにも寂しい。 モータースポーツはその国にとって誇るべき文化。 自動車王国である日本がこんな体たらくでは世界中で笑われてしまうぞ。
モータースポーツは文化、スポーツカーは走る文化財だ。みんなで大事に守っていこうじゃないか。
こんな感じで切り込んでみました。
「………(しばし考える)」
そして…。
「…ワゴンRですか?」 「そう、それ。軽だし、売れてるから中古も安いだろうし。あと、今住んでるところなら、やっぱり小さくて小回りがきく車じゃないと」
まぁ、ヨメが指摘したとおりワゴンRは一世代前の型なら下手すると30万円も出せばそこそこ程度のいいスポーティなRRグレードのMT車が買えてしまいます。 そう言えばそのモデルはGT4にも出てましたね。 う〜む…。 しかし、私の中ではやはりもっと個性的なモデルに乗りたいという気持ちがあります。 みんなと同じ車は性格的に嫌なのです。右へ倣えではネタ人生は楽しめません。
確かにみんなと同じザクでも赤く塗って角をつけれは世界にひとつだけのシャア専用に。 みんなと同じワゴンRでも、あれこれ好みのパーツをつければ世界にひとつだけの雨続専用に…。 そうなれば通常の三倍の速さで走ったり、質量を持った残像を繰り出したり…(注:出来ません)
そしていつの間にか何の変哲も無いワゴンRに乗せられてしまいかねません。 確かに日常のアシとして使うなら申し分ないので、説得されてしまいそうです。 いやいや、ちょっと待ってみようか。そもそも、こんなに簡単に丸め込まれては亭主の威厳というものが…。 まずいです。一度頭を冷やさなくては…。 ここも戦略的撤退です。 ワゴンRのことは忘れましょう。
「なに?」 「まず、購入代金が安いこと。それから小さくて小回りがきく車であること。そして4人乗りであること。この条件ならOKだな?」 「………まぁ、いいけど」 「じゃあ、決めた。後継車はもうアレしかない」
そうです。
(゜Д゜) ・ ・ ・ ・ OTL 「お願いだから先に言わないで…」 「予想通りだし別にいいけど、変なステッカーは貼らないこと」 「うぐ…」
早速嵐を呼ぶアルトワークスとの最後のドライブをかねて9月11日に有給を取り、近郊の中古車屋を巡って二代目アルトワークス探しをしてきたのである。
見ての通り最終型となる5代目のアルトワークスです。 軽自動車の規格が変わってから出たモデルなのでマシンのサイズが少し大きくなってます。 駆動方式はFF、走行距離6.5万km、修復暦無し、Wエアバッグ、ABS、キーレス、電動ドアミラー、純正14インチアルミ、CDコンポ、フジツボマフラー付き。 水冷直列3気筒インタークーラーターボDOHC12バルブのK6Aエンジン搭載の最上級モデルです。 エンジンスペックは最高出力 64ps(47.07kw)/6500rpm、最大トルク 10.8kg・m(105.91N・m)/3500rpm。 マフラーが換えてあるくらいでエンジンも足回りもノーマルとのこと。 お値段は65.8万円+車検2年つけて諸費用込みで806,120円。 見た感じ外見も内装もそれにエンジンルームも綺麗です。非常に程度のよい一台のようです。 車検が切れていたので敷地内をちょっとだけ動かしてみましたが、車内はいたって静か。 エアコンもよくきくし、エンジン音もあまり聞こえない快適空間です。 う〜ん、やっぱりいまどきの車ってこうなんだよね〜。 嵐を呼ぶアルトワークスの騒音と振動をフツーだと思った私の体には、この車は心地よすぎます。 見積もりをもらって次なる候補を見にさらにドライブ。
駆動方式はFF、走行距離3.6万km、修復暦無し、社外足廻り、キーレス、純正14インチアルミ、CDコンポ。 ieグレードなのでエンジンは水冷直列3気筒SOHC6バルブのF6Aです。 エンジンスペックは最高出力 60ps(44.13kw)/6000rpm、最大トルク 8.5kg・m(83.36N・m)/4000rpmとRS/Zに比べると若干劣ります。 このマシンもエンジンはノーマルのままとのこと。 走行距離が少ないので、外装も内装も綺麗。 ちょっと試乗してみましたが、クラッチのつながりもいいし街乗りではほとんど文句なしの走りっぷり。 ただ、やはり快適仕様なのでエンジン音があまり聞こえません。 ま、いまどきの車って感じです。 お値段は57.9万円+諸費用で687,060円ナリ。車検は2008年7月までとたっぷり残ってます。 候補その1と比べると程度はほぼ互角、あとは64psのK6Aか60psのF6Aかの違いが12万円の差となっている感じ。 どっちがいいかなと悩みつつ、これも見積もりをもらって次のアルトワークスの元へGO!
こちらはアルトワークスとしては4代目となる旧規格最後のモデル。 GT4にも登場しているスズキスポーツリミテッドの4WDです。 候補1と2が共にFFだったのと比べ、こいつは4WD。 嵐を呼ぶアルトワークスもまたFF。こいつは4WD。 どうせ乗り換えるなら四駆の走りを試してみたい気がします。 そしてこのマシン、前の二台と比べるとやっぱり小さい。 全長×全幅×全高が新規格で3395×1475×1450mmなのに対し、この旧規格ワークスは3295×1395×1385mm。 全長10センチ、全幅8センチ、全高6.5センチ小さいです。 見た目にも結構な違いとして認識できます。 駆動方式は4WD、走行距離5.9万km、修復暦あり、キーレス、アルミ、カセットデッキ。 スズキスポーツリミテッドはベースがieなので、エンジンは水冷直列3気筒SOHC6バルブのF6A。 ただし、さっきのieと違い最高出力 64ps(47.07kw)/6000rpm、最大トルク 10.0kg・m(98.07N・m)/4000rpmとパワーはちゃんと出ています。 ちなみに嵐を呼ぶアルトワークスは同じF6A搭載ながら、最高出力 61ps(44.87kw)/6000rpm、最大トルク 9.2kg・m(90.22N・m)/3500rpmです。 若干だけどパワーアップします。 そして私の目を奪ったのがBLITZ(ブリッツ)のブースト計と大森メーターの水温計。 多分前の持ち主がつけたであろう、それは私の心を軽く揺さぶった。 だいたいこんな物をつけたマシンはそりゃー、多かれ少なかれ走り屋仕様でいじってあるに決まっているからだ。 そして室内は思った以上に綺麗だし、シートはスズキスポーツのロゴ入りセミバケット。 さらにこのマシンのエンジンルームはこれまで見た3台の中で一番綺麗だった。
そしてエンジンをかけると室内にはいい感じでF6Aサウンドが響くではないか。 やはり、こうでなくては…。 これと比べると前の2台は車内が静か過ぎてつまらない。まったくレーシーな感じを受けないのだ。
上空から雨が落ちてきた。 前の2台を見たときは降っていなかった雨が、このタイミングで降り出したのである。 運命を感じる。
直江雨続の次なる愛車は、何よりも雨が決め手となった。 二代目“嵐を呼ぶアルトワークス”には、こいつがふさわしい。
最初の一台と比べると25万円安い。(一番安かったのが決め手という説もあるが気にするな) ってことは、まぁ、80万円払ったつもりで、あまった25万円をチューニング費用にすればかなり楽しいマシンになりそうだ。 …するかどうかはまだ未定だが。 ちなみにこのマシン、なぜかスタッドレスタイヤを装着していた。 やれやれ、納車後すぐにネオバを買って履き替えねば。 それにタイミングベルトも念のため交換しておきたい…。
納車は9月25日の予定。 そして乗ってきた初代嵐を呼ぶアルトワークスはそのままこのお店で0円下取り。 これが永遠のお別れである。 お疲れ様、そしてこれまでの無事故ドライブをありがとう!
まぁ、マシンが来たらB.A.R軍団の元に自慢しにいくとしよう。 それが何より楽しみだ。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ そうそう、一応ヨメを乗せてドライブにでも行ってみるか。 なんとかしてこのマシンのよさをヨメに知らしめねばならんからな…。
しかし、こうして執筆しつつ冷静に考えるとあれこれ不安材料が…。
1:エンジンをかけたものの実際に試乗していないのでちゃんと走るか未確認。 それとも、本当にこいつは速くて楽しいお買い得マシンなのか!??
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