嵐を呼ぶレーサー“直江雨続”の

『嵐を呼ぶレース参戦記』



第十八話「嵐を呼ぶエピローグ」

◇耐久レース後のアルトワークス◇


2004年夏。駒大苫小牧高校が北海道に初めての甲子園優勝旗を持ち帰ったあの頃…。

私こと、嵐を呼ぶレーサー直江雨続は初めてのマイカーを手に入れた。

それこそが、皆さんご存知! 嵐を呼ぶアルトワークスである。

8月1日の二時間耐久レースを無事生還し、晴れて私のものになったこのマシンであるが、実は結構イロイロとお金がかかった……。

まず、私が当時住んでいたアパートに駐車場の空きが無く、近所の駐車場も満杯だったため、私は引越しを敢行!

駐車場付きの物件を探し、8月の末に転居。

それに伴い敷金、礼金、引越し代、その他諸々も含めると、えーと、かかった費用が多分40万円くらい?

それと平行して、9月で車検が切れてしまうアルトワークスを2名乗車に構造変更。

これについてはプロにお任せ、ってことでテクノプロスピリッツにお願いし、かかった費用がだいたい11万円くらい。

無事車検が通ったら、安心して乗るためにスズキのお店に持ち込みあれこれ部品を新品に交換。

スズキスポーツの強化カムタイミングベルト、ウォーターポンプ、冷却水、オイルシールなど。

これらの部品代と工賃でかかった費用がおよそ6万円

他にもヘッドライトをもっと明るいHIDヘッドランプ(レイブリッグRR79H4レーシング)に代えたり、エンジンオイル、ミッションオイル、オイルフィルター、バッテリーなども交換。

さらに4万円程度の安いカーナビも購入して取り付けたりと、日常のアシにするための装備も万全。

それから、取っ払ってしまった後部座席のせいで、すっかり空虚なスペースとなったトランクルームに積もうと、片山右京プロデュースの折りたたみ式マウンテンバイクを3万円ほどで購入。





アルトワークス搭載型MTB、UGO君。

ってことで、13万円(しかも四人でワリカン)で落札したアルトワークスを愛車にするために、私が費やしたお金はなんやかやで65万円ほど。

そのほか、2年間の維持費として駐車場代や、ガソリン代、オイル代、それから任意保険代などを計算すると、大体20万円くらい。

あわせて85万円です。今振り返ると、つくづく車を持つってことはお金がかかることだなぁ、と。

2年間、24ヶ月で85万ですから、一月あたり3万5千円。

まさに金食い虫です。

85万円あったら、そりゃー今なら中古のシビックRやMR-Sくらい買えちゃいますよ(?)

ってなわけで、果たしてこのアルトワークスは85万円に見合った価値があったのだろうか?

冷静に振り返ってみましょう。

まず、私の愛車となってからの2年間での総走行距離は約5000キロでした。

つまり1キロ走るごとに170円かけていた計算ですね。

B.A.R軍団の戦友であるkyu氏の家に遊びに行くと往復で40キロくらい走りますので、6800円かかっていた計算になります。

レンタカーを借りて行くのとコスト的には大差ありません。

近所のTSUTAYAにDVDを借りに行くと往復で10キロくらい走ります。

って、1700円もかかっていた計算? DVD一本借りるのに2千円近く消費していたのか、私…。

いやいや、細かいことを考えるのはもうやめておきましょう。

愛車の価値をコストの面から考えてはいけません。

思い出はお金では買えないのです。

たとえば…。

一度上京してきたうちの妹をアルトワークスに乗せたことがあります。

車内に響くエンジン音と、アイドリング時の振動のひどさに妹いわく、




「この車、そのうち爆発するの?」

しねぇよ。

職場の先輩をアルトワークスで駅まで送ったこともありました。




「いや〜、この車いつバラバラになるかと…」

ならねぇよ。

いやいや、うちの彼女なんかは平気な顔してこのマシンの助手席にいつも乗っていましたよ?

アルトワークス、好きでしょ?




「この車、酔うから嫌い。ステッカーをベタベタ貼ってあるのもカッコ悪いし」

(゜Д゜)

OTL

こうしていつの間にかすっかり貯金も減った私であったが、大いに愛着の沸いたマシンが傍らにある生活は、もちろんお金で買えない価値があったのです。




日常生活のアシとしても重宝していたアルトワークスであったが、もちろんサーキット走行もお手の物。

いつもの桶川サーキットで行われるセカンドステージや、ジムカーナ走行会などにも時々出かけて行っては私のドラテク向上に一役買っていたのである。

さらには、仕事帰りの練習走行や土日のカートレース参戦のため秋ヶ瀬サーキットにも幾度と無く行ったり。

その意味では、アルトワークスと共に過ごした2年間はまさしく夢のように過ぎ去った。

ちなみにその間、このマシンにはあれこれトラブルも。

まず、パワステが効かなくなりました。

ハンドルは重くなり、特に駐車のときに結構難儀します。

しかし、GTF-Proのフォースフィードバックに慣れた私にとっては、これくらいのフィーリングのほうがドライビングは楽しいこともあり、結局放置。(修理しようとするとユニットごと交換なので8万くらいかかると言われたのも原因)

次に、運転席側のパワーウィンドウが効かなくなり、一度開けた窓を閉めることができなくなりました。

仕方が無いので、開いたままの窓にはスーパーのビニール袋をガムテープで何枚か張って修理までの夜露をしのいでおりました。


そのときのアルトちゃんの姿。哀れなり…。

で、いざ修理してもらおうとしたところ、このマシンのパワーウィンドウは当時のオプション装備だったらしく、今となっては部品が無いそうです。

つまり、元通りにするのは不可能。

で、どうなったかというと…。


運転席側


助手席側

結局ユニットごと取り外して、手動用のハンドルを装着してもらいました。

およそ2キロの軽量化にもなり、一石二鳥です。

こちらはかかった費用は7千円程度と思ったほど高くなくてありがたかったです。

ってことで最終的に嵐を呼ぶアルトワークスは、パワステ無し、パワーウィンドウ無しの限りなくストイックなマシンになってしまいました。

馬鹿な子ほど可愛いと申します。

こいつも、ちっともさっぱり快適じゃないところが、かえって私には深い愛着を感じさせるマシンだったのです。


ただし、決断のときは迫っていました。

2006年4月。2度目の引越しに伴い一旦はこのマシンを手放す覚悟をしました。

しかし、さまざまな紆余曲折もあり、結局はそのまま乗り続けることを決意。

とはいえ、引越し先での駐車場代がこれまでの2倍近い値段に跳ね上がったのは正直かなりのダメージ。

しかも転居先はこれまでよりも駅に近く、また買い物に便利なイトーヨーカドーが徒歩5分以内。

正直言って車が無くてもまったく困らない立地条件。

もはや高い維持費を払ってまで、このマシンに乗り続ける意味は薄れていました…。


そして2006年8月。

心に区切りをつけるべく、嵐を呼ぶレース参戦記の17話を執筆。

耐久レースでの奇跡の入賞をようやく公開したのです。

これを最後のはなむけとして、私はアルトワークスを廃車にするつもりでした。

が…。

寄せられたメッセージを見たとき私は…。



>『嵐を呼ぶレース参戦記』いやぁ、感動したぁ!
>ともに戦えば、どんどんマシンに愛着がわく気持ちよくわかります!大事にしてあげてください!
>十七話書いてくださってありがとう御座います
>嵐を呼ぶレース参戦記
>執筆お疲れ様でした
>さっ、さすがですね。やっぱり雨さんとアルトワークスは嵐を呼んでいかないと・・・ぐすっ
>嵐を呼んだな、雨くん(耐久の事)。素晴らしい、感動した!
>感動の8位入賞!! おめでとうございます!!
>おぉ〜完結〜(^^) 感動です〜。
>まさかこんな結果になるとは・・・ やっぱレースは軽自動車とはいえ迫力ありますね。
>嵐を呼ぶ真夏の決戦みました!!これからもがんばってください。少しずつマフラーとかブレーキなど
>(続き)チューニングしてみてはどうでしょうか?w嵐を呼ぶアルトワークスの改造記とかw
>「嵐を呼ぶレース参戦記」完結編・・・感動しました・・・良い話でした・・・(;∀;)
>嵐を呼ぶレース参戦記、感動しました!
>8位入賞おめでとうございます(2年前だけど)…(笑)
>「真」に嵐を呼ぶアルトワークスですな!
>凄いです!スーパーアグリもびっくりの完走です!
>嵐を呼ぶレース参戦記最高でした!アルトワークスありがとう!
>参戦記を最後まで読んだときに思わず涙が・・・
>最初の車(女?)は一生の思い出です、大事に乗ってあげて下さい。
>9月で、アルトともお別れ・・・そんなのいやだぁぁぁぁぁぁ(T0T)
>8位おめでとうございます!
>臨場感あふれるレポートを一喜一憂しながら拝読させて頂きました(続く)
>チェッカーシーンでは思わず“バンザイ”しましたよ♪(続く)
>B.A.Rスズキのチームワークは世界最強ですね。お疲れ様でしたm(_ _)m。
>完走(入賞)GJです!HV(Vol66)内で土屋圭市氏の仰っていた通り、速くても壊れちゃダメですよね
>レース参戦記面白かったです!!
>嵐を呼ぶレース参戦記を読み直したんですが、14話が最高ですね。
>大江校長のコメントがもう最高!!
>感動しました!!
>いつかサーキットで会いましょう!
>この企画大好きです
>新たなドラマを期待してます!w
>はぁーやっと見れた!感動???をありがとう!
>読んでいて楽しかったですよ。
>すごーい
>感動しました!!
>完結オメデトー!!
>アルトワークス物語・・・。感動しました!!
>感動した!!
>超感動した!!!
>「嵐を呼ぶレース参戦記」BAR入賞おめでとう!!!
>最後はちょっと感動??
>これからもアルトを大切に乗っていってください
>とても楽しく読ませていただきました
>いつもお疲れ様です!アルトを手放すのは簡単ですが、買うのは難しい!ゆえに車検を通す方が良いかと。
>パワーのないマシンでよくがんばりましたね。(偉そうですかね?)マジ感動しました。
>久しぶりに見ましたが、見ていて楽しいです。アルトワークスって凄いな!
>お疲れ様でした。夢をありがとう!
>楽しかったです!
>アルトワークス夢と希望をありがとう!みんなわすれないよ
>…アルト、お疲れ様でした。えぇ、それしか言いようがありません
>アルトワークスを凌ぐ名車は、この世には無い───
>遂に完結しましたね。お疲れ様でした!!
>感動しました!完走・入賞おめでとうございます!

心が、揺れました。


この世に一台しかない私の愛車。

数々の伝説を成し遂げてきた小さな名車。

こんなにも多くの方から応援メッセージをもらえるマシン。

手放すのは、やはり惜しい…。



◇9月2日(土)◇

私はアルトワークスをスズキのディーラーに持ち込んでいました。

車検の見積もりを出してもらいに。

しかし、エンジンルーム内に純正じゃない部品があったことから、ここでは通せないと言われ断念。

続いてオートバックスに持ち込み、一旦は車検を通せそうとの見積もりをもらいマシンを預けました。

ところが、数日経ってから電話がありマフラーに触媒が付いてないから純正品に変えてくれ、と。

いくらかかるのか聞いたところ8万円との返事。

もともと車検を通すのに10万円近い費用がかかります。そこに加えて8万円。


心が、折れました。





◇9月11日(月)◇

結局私はこのマシンを手放すことを決意。この日が私とアルトワークス最後のドライブとなったのです。

雨の降る中、名残を惜しむように。あちこち寄り道もしました。

そして…。

2006年9月11日。それは不世出の王者ミハエル・シューマッハが引退を決めた翌日。
私の日常を彩った小さな小さな名車にもファイナルラップが訪れた。
2時間の過酷なレースを耐え抜いた名機F6Aエンジンは、もうそのサウンドを響かせない。
数々の伝説を残したこのマシンは、もう二度とサーキットを走ることはない。
我が愛車、嵐を呼ぶアルトワークスよ。私たちの最後のドライブはやっぱり雨だったな…。



To be continued!




アルトワークスのこれまで活躍に感謝。良ければ押してやって下さい

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