『嵐を呼ぶレース参戦記』
| 第十三話「嵐を呼ぶ練習走行U」 |
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1回目ではt_m_tomさんの「ad libitum号!」と、王者津野選手の「KWJ ラディッシュ ランサー」に乗っけてもらった私だが、もちろん自らハンドルを握るのが主目的なことに変わりはない。 一説には、上手い人の助手席に乗って、その走りを見ることは、上達への一番の近道とも言う。 つまり、私は間違いなく、上手くなっているはずなのである。 チャンピオンの走りに少しでも近づけるよう、特訓だ。 というわけで、1回目と同じく、ファンカーゴの後ろについて練習走行スタート。 そして、ファンカーゴを一生懸命追っかけてみる。 速い車の後ろに付くことで、そのリズムを盗み、思いがけない好タイムが出ることがあるが、今回はまさにそれ。 藤原拓海もびっくりの学習能力を発揮。嵐を呼ぶアルトワークスは、サーキット前半を快調なペースで駆け抜けた。 そして、もう一つ、今回は、私は同乗者なし、一人っきりでの走行を選んだのである。 もう、初心者じゃない。 一人でも大丈夫。 そう思ってアルトを駆っていたのだ。 ちなみに、人間が一人降りたことによる軽量化の効果は、およそ65キロほどだろうか。 この軽量化が、走りに与える影響を、私は甘く見ていた。 もともとパワーのないマシン、そこに65キロの軽量化は、想像を絶するほどの効果を生むのである。 ブレーキはよく止まるし、なにより加速が全然違う。 そんなわけで、1回目ではあっさりと置いていかれたファンカーゴにちゃんと付いていけるではないか。 実にいい感じ、超乗れてる。 私のテンションも上がる。リズムにも乗っている。 「いいじゃん、一人でも大丈夫じゃん♪」 が、好事魔多し。 いつも以上のハイペースで走っていた私は、そのとき、マシンが限界を超えたことに気付かなかった…。
じゃあ、続きを読んでよろしい。
見ての通りなのである。 落っこっちゃったのである。 インフィールド出口のS字の二個目は、アウト側のエスケープゾーンはコースよりも低くなっており、ちょっと怖い段差なのだ。 落ちたら大変危険な場所。通常走るときは、ここでアンダーステアを出さないように、極力気をつけなければならない箇所である。 その、危険ポイントを、私はオーバースピードで通過してしまい、気が付けばハンドルを切ってもマシンは曲がらない。 痛恨のアンダーステア、と思った瞬間には、視界が斜めに…。 刹那に訪れた浮遊感。 次の瞬間、私を落下の衝撃が襲う。 ガッコン、とヘルメットが上下にゆれる。 一発でパニック。 乱心した私は、とにかくコースに戻らねば、とハンドルを左に切り、そしてブレーキを踏むつもりで、またまた間違えてアクセル全開(笑) おそらくノーマルシート(体を固定してくれるバケットシートではない)のせいで、体も右に寄ってしまっていたのも原因のひとつ。 命知らず(笑)にも、全開のままグラベルを突っ走るアルト。 しかし、実に運のいいことに、そのままコースに復帰できちゃったのである。 …が、復帰したものの、そこはもう左コーナーである。 アクセルは全開のままである…。
状況は、さらに悪化してる、と。 このまま進むと、またまたアンダーステアを誘発。コーナーを曲がりきれずにコースをはみ出し、今度は土手に頭からつっこんでしまう…。 そうなったら、アルトは全壊。みんなの夢、B.A.R軍団の主目的である耐久レース出場は絶望的。 このままではB.A.Rは「バカな・雨続のせいで・リタイア」の略になってしまう。 「のぉぉぉっ!」 そして、私はここでようやくブレーキを踏んだ。 それも、床まで届けとばかりに強く、強く…。
思いっきり前荷重になったうえ、リアのドラムブレーキの制動力がリアタイヤのグリップを上回った。 結果、リアタイヤがロックしてしまい、アルトは一瞬でバランスを失い、スピンモードに突入したのである。 私はとっさに思いっきりカウンターステアを当てた。 リアがブレイクしたときの逆ハンドルといえば、GT3でも私の十八番。 ゲームでのドリフトの体験がここでも有効に………、ならなかった。 カウンターの量が多すぎたのだ。 素人の十八番、タコ踊りの出来上がり。 結果、振りっ返しのような形となり、アルトは今度は逆方向にさらに勢いよく回ってしまったのである。 こうなるともう立て直せない。 私はもう一度カウンターを当てる事をあきらめて、ブレーキを踏み続けた。 あとは、マシンがコース上に留まってくれるのを祈るだけ…。 そして、何とか、アルトはどこにもぶつからずにその場に停止してくれた。 「ふぅぅぅぅっ。…ううっ!?」 ほっと息をついたのもつかの間。すっかり逆方向を向いたアルトの運転席からは、絶景が見えた。 すなわち、こっちに向かって突っ込んでくる、後続車の姿である(笑) 「ぎゃぁぁぁぁ、よけてくれぇぇぇぇ!!!」 私の祈りはまたまた天に通じた。 幸いなことに、アルトの止まった位置はレコードラインからは微妙に外れていたらしく、後続車は上手くアルトをよけて進んでいってくれた。 そして、みんながいなくなったのを確認して、私はアルトをUターンさせ、再び走り出したのである。
飛び交う悲鳴、そして容赦ない突っ込み(笑) どうやら彼らの間では、私がコースを間違えたことになっているようだが、真相は、書いたとおりである。
普通なら一発でびびってしまい、以降は萎縮してまともに走れなくなるだろう。 だが、私は違った。 逆にあれで吹っ切れてしまい、ついでに恐怖心も切れてしまい、走りもキレてしまったのである。 なんといっても、嵐を呼ぶレーサーが、あんなことでへこたれるわけがない。 むしろ怖いもの無しになってしまって、そこそこ攻めた走りを持続することが出来たのである。 ちなみに2周目以降のタイム(動画を見ながら計ってみた)は… 2周目:53.18(スピン直後のラップだが、結構速い) 3周目:54.78(なぜか遅くなってる) 4周目:54.64(E氏「1コーナーノーブレーキなん? あれ」 T氏「うん。だんだん良くなってきてる。でもヒール&トゥで遅くなるね、どうしても」…おっしゃるとおり(笑) ちなみにこの周はホームストレートで譲ったのでタイムダウン) 5周目:53.90(この周もファンカーゴに譲ったため、タイムダウン) 6周目:55.09(またまた譲ってます。後半はホームストレートでまともに全開で走ってないなぁ) 7周目:52.88(ベストラップ。誰にも引っかからずにフリーで走れた) そして、8周目はインラップなので、動画は無し。
なにって、恐怖と動揺である。 アルトを停め、我に返れば全身滝のような汗。 恐怖と、緊張と、そしてその後の熱い走りのせいで、肉体は疲労困憊。 そして、猛烈な暑さとのどの乾き…。 私もそうだが、アルトにとっても、今回の走りはかなりきつかったに違いない。 「…冷やしてやらないと」 と、私はボンネットと、リアハッチのロックを解除。 がちょっ、がちょっ。 そして、運転席のドアを開け、生きて再び大地に立ったのである。 「ああ…、生きてるって素晴らしい」 ヘルメットを脱いで、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む。 「はぁ〜っ、…怖かったぁ〜〜」 と、早速3人が私の元にやってきた。 「何が起きたん?」
説明しつつ、アルトのボンネットを開け、エンジンにも新鮮で冷たい空気をプレゼント。 「いや〜、怖かったよ。…でも、参戦記のネタとしては申し分ないでしょ(笑)」 と、ポジティブに話を締めくくったのである。 そして、私はのどの渇きを癒すべく、自動販売機へと向かったのであった…。
貴重な車載映像、とくとご覧あれ。 1周目:52.20(アウトラップ。この日のMR2はミッションの調子が悪いらしく、2速に入りにくい) 2周目:48.31(2コーナーで2速に入らず苦戦) 3周目:50.09(今度は2コーナーでギアが鳴ってちょっとびっくり。思わずそこでスロー走行) 4周目:47.18(この周は、特に問題なく走れてこのタイム) 5周目:52.71(ヘアピンで2台を先に行かせる) 6周目:45.97(前を行くマシンを追いかけつつ、ベストラップが出た) 7周目:46.38(ほとんど同じペースで走り続けて、チェッカー) 8周目:1'08.86(インラップ)
T氏のMR2は45秒97(2名乗車)。分かってたこととはいえ、7秒以上のぶっちりぎりの差をつけられてしまいました。 特に練習走行1回目で乗った津野選手のランサーと比べても、旋回時の横GはむしろMR2の方が上。 さすがはミッドシップ、さすがは私の師匠T氏である。 ミッドシップはコーナリングスピードの高さが身上。見事にそれを乗りこなしているって感じ。 勉強になります。
同じFF乗りとして、一番見習いたい相手である。 とにかく、速いのだ。そしてマシンも凄い。 1周目:47.65(アウトラップから速い。素晴らしくエンジン音がいいが、これはインテグラTypeRのエンジンに乗せ換えているため) 2周目:45.72(2周目でT氏より速いタイムを叩き出した) 3周目:44.82(さらにそれを更新。E氏は無言の超真剣モードで走ってます) 4周目:46.16(前を行くMR2を抜いたときにちょっとタイムロス) 5周目:45.21(しかし、やっぱりインテRのエンジンは素晴らしい。しかもCR−XはインテRより軽い。その動力性能は推して知るべし) 6周目:44.41(出ましたベスト。めちゃめちゃ速いです。下手すると私より10秒速い) 7周目:52.78(あとはクールダウン) 8周目:53.71(…しかし、クールダウンなのに、私のアルトの全開とタイムが変わらない(笑)) 9周目:1'06.48(インラップ)
で、kyu氏のインプレッサだが、今回は練習走行は一人で走りたい、ということで、同乗は無し。 よって車載映像も無し。 ご了承くださいませ。
しかし、嵐を呼ぶレーサーが巻き起こす波乱は、まだまだ続く。 本番一本目、アルトワークスをとんでもない珍事が襲う。 全世界1億3千万人のグランツーリスモファンも唖然の、大ハプニングとは。 果たして、直江雨続は、二度目のジムカーナで成長の証を見せることが出来るのか。
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