『嵐を呼ぶレース参戦記』
| 第二話「嵐を呼ぶ大特訓」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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桶川サーキット近くにちょっとした空き地(?)があったので、我々はそこでアルトワークスを停めた。 そして、おもむろにドライバー交代。私が運転席に乗り込む。 「じゃあ、まずは発進の練習をしよう」 と、T教官。 「このマシン、結構クラッチ繋がりにくいから、頑張って慣れるように」 と、kyu教官。 二人の鬼教官(?)から直接指導をいただき、私はマニュアル車を乗りこなせるようになるための猛特訓である。 空き地(非舗装)で、発進と停止を繰り返すアルトワークスの姿。一種異様な光景が繰り広げられた。 だが、乗ってる私は必死である。 もうジムカーナの申込書を出してしまった以上、逃げ場はない。 格好悪くても、ひたすら練習するだけだ。
前途多難である…。 「ちゃんと速度と回転数合わせないと、ギアって入らないから」 とか。 「3速はレースで酷使するから、できれば街乗りは2速で引っ張って4速に入れて」 とか。 「可能ならダブルクラッチを使って、マシンをいたわって」 などなど、鬼教官からの注文は多岐にわたる。 教官の教えに従い、私は頑張った。ひたすら頑張った。そりゃ〜もう頑張った。…頑張ったもん。 そして、教習所以来8年間のブランクは、およそ1時間の特訓で埋まった。(…多分) もともとAT車(レンタカー)にはそれなりの頻度で乗っていたわけだし、マニュアルミッションにさえ慣れてしまえば運転に不安はないのだ。(…きっと) 「もう大丈夫だろ。じゃあ、家まで運転よろしく」 というわけで、特訓後、私は先ほどのリベンジとばかりに気合十分でハンドルを握り、桶川サーキットから自宅まで、特に問題なくアルトワークスを走らせることが出来た。 素晴らしいぞ私、さすがは私。 だが、自宅に帰りついたところでさらにもう一仕事残っている。 少し説明が必要である。 5月30日のジムカーナデビューに備え、その前日29日、このアルトワークスの大改造を敢行することになっていた。 改造する場所はkyu氏の住むマンションの駐車場。 今日から29日まで、私がアルトワークスを預かり、1週間運転の練習をすることになっていた。 んで、29日は、私が直接アルトワークスを駆って、その改造場所まで行かなければならないのだ。 私の家からだと、車で40分ほどかかるが、実は私はその道を良く分かっていなかった。 そこで、今日、これからT氏に助手席でナビをしてもらい、kyu氏にはインプレッサで先行してもらい、一度kyu氏の住むマンションまで私の運転するアルトで行くことになったのである。 これこそ道を覚えつつ、運転の練習もしつつの一石二鳥、「29日迎えに来てもらわなくても大丈夫、自力で行けるようになるから」作戦である。 だが、この作戦にはある落とし穴があった。 行きは良いのだ。帰りが問題なのである。 kyu氏とT氏がいなくなったあと、私は一人で自宅まで帰らなくてはならない。 無事kyu氏の自宅に到着したが、そこからが大変である。 今度はナビもいない、先行してくれるインプレッサもいない。 もちろん、カーナビなんて便利なものがついているはずもない。 「大丈夫? AWで一緒に行こうか?」 MR2で先行してあげようか、というT氏のありがた〜い申し出も、丁重に断った。 さすがにそこまでしてもらわなくても、来るときにちゃんと道は覚えた(はず)。 いくら私とはいえ、そうそう道なんか間違えるはずもない(はず)。 それに世の中には道路標識というものがあり、それをちゃんと見て運転すれば、目的地にはどうやったって到着するのだ。 「じゃあ、くれぐれも気をつけてね」 と、T氏。 「ここを出たら、左折してそこの道に入って、最初の信号ですぐ左折。そしたら3つ目の信号でさらに左折だから」 と、最後まで心配そうに道を教えてくれるkyu氏。 「大丈夫だって。俺様を誰だと思ってるんだ? 俺様だぞ」 見送ってくれる二人にそんなことを言いつつ、私はアルトワークスを発進させた。
教訓:慢心は禁物。
ハンドルを握るのは、運転するだけでいっぱいいっぱい、マニュアル車暦約2時間の私。 来るときどんな道を通ってきたか、なんておぼろげな記憶は一発で吹き飛んでしまっていた。 で、案の定、道を間違えた。 しかも2回も。 1回目は間違いにすぐ気付いたので、あわててUターンして事なきを得た。 しかし、2度目は自信満々に違う道を進んでしまい、わかったときにはすでに遅し。 結局はるかに遠回りをするルートとなり、しかも日曜の夕方の渋滞に巻き込まれてしまったのである。 渋滞…、それはマニュアル車の最大の敵。 なにしろ、ひたすらノロノロとしか進まないし、頻繁に停止と発進を繰り返すことになるのだ。 停止と発進…、すなわち、私の最大のウィークポイントである。 渋滞の間、もはや数えるのも嫌になるくらい停止し、冷や汗も枯れるくらいに1速での半クラッチを経験。 恥を承知で書くと、エンストも1回やらかしてしまった。 右足も左足も、もはや疲労のため攣(つ)る寸前である。 GT3の耐久レース以上に疲れ果てたものの、自宅に帰り着く頃にはそれなりに半クラッチを上手に使えるようになり、こと発進に関しては不安は解消したのである。 というわけで、この日の私の運転時間、約4時間。
30日まで、会社から帰ったあとにでも運転の練習をし、少しでもマシンに(というよりはマニュアルミッションに)慣れておかなければならないのである。 かのドリキン土屋圭市師匠も、毎晩峠を走って腕を磨いていたそうである。 私もそれを見習って、ジムカーナまで毎晩走りこむことにしよう。 というわけで月曜日。 仕事で遅くなり、走れず。(あれ?) 火曜日。2時間ほど走行。 水曜日。せっかく車があるんだから、ということで、アルトに乗って会社の先輩と秋ヶ瀬サーキットへGO! 久々に会社帰りのカートを楽しんだ。 カートに乗り始めて何周か走行したとき、私は不思議な違和感を感じていた。 「…怖くない」 そうなのである。アルトワークスで散々恐ろしい体験をしたためか、レンタルカートのスピードがまったく恐ろしくないのである。 なので、思う存分マシンを振り回して遊ぶことが出来た。 ブレーキングで平然とタイヤをロックさせ、リアを出してコーナリングしてみたり、ヘアピンや最終コーナーをドリフトで曲がってみたりとやりたい放題。 これまで以上にカートを振り回せるようになっていたのである。 ちなみにこの日、私は相当久しぶりに自己ベストを更新。 37.669をたたき出した。当然、この日の秋ヶ瀬の1番タイムである。 いや〜、実に嬉しい。アルトに乗るようになって、私のドライビングテクニックが少しは上昇したのだろうか。 30日に向けて、いいカンフル剤になった。 こうしてすっかりご機嫌になった私だが、その後が悪かった。 もろもろの都合により、結局木曜日と金曜日はアルトを走らすことが出来なかったのだ。 結局月曜から金曜まで、私の練習時間はトータル4時間。 かなりの不安を残し、土曜日を迎えたのである。
この日のために先週は「29日迎えに来てもらわなくても大丈夫、自力で行けるようになるから」作戦を敢行したのである。 したのであったが、案の定というか何というか…。
散々迷ってウロウロしたが、あいにく 三越はなかった。 そこで、とりあえずkyu氏の住む街の市役所の駐車場にアルトを停め、そこまで迎えにきてもらうことにした。 市役所なら駐車場も広いし、どこにあるかすぐ分かるから迎えに来てもらうには最適である。 『迷子になったら市役所に行けばいい』ってなもんである。 んで、kyu氏が来るまで暇だったので、アルトちゃんの写真撮影にいそしんだ。
というわけで、kyu氏が迎えに来てくれたので、改造前に洗車とガソリン補給を済ませることにした。 そんな事をやっていたら、1時を過ぎ、予定より遅れて軽量化大作戦が開始された。 軽量化のため、やること。
リアシートを撤去。 当初は私とkyu氏、T氏の3人体制での作業だったが、途中からE氏も加わり夢のオールキャスト(?)である。 作業の様子は敢えて描写をしないでおく(面倒だし)、写真にてお楽しみいただきたい。 百聞は一見にしかず、である。
というわけである。 結局ロールバー取り付けに手間取ったりしたため、作業終了時刻は夜11時。 いやはや、実に疲れた。 明日のジムカーナに向けて、かなり体力を消耗したような気がしないでもない。 本来ならば早く寝なければならなかったが、この日はF1ヨーロッパGPの予選が放送されるのである。 結局それを見たため(佐藤琢磨予選2位!)寝たのは2時過ぎ、起床時刻は5時である…。
睡眠時間3時間の疲労した身体。 全然慣れない車。初出場のプレッシャー。 そして、全国2千万人のグランツーリスモファンからの期待。 さまざまな重圧を払いのけ、直江雨続が爆走する。 果たしてそこにはどんなドラマが待ち受けていたのか? そして“嵐を呼ぶレーサー”が参戦したことにより、当日の天気はどうなった?
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